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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

アルゲリッチ Meets プロコフィエフ

2018年05月19日 | pocknのコンサート感想録2018
5月16日(水)Pf:マルタ・アルゲリッチ/チョン・ミョンフン指揮 桐朋学園オーケストラ
~第20回記念 別府アルゲリッチ音楽祭参加公演~
東京オペラシティコンサートホール・タケミツメモリアル

【曲目】
1.ブラームス/交響曲第1番ハ短調Op.68
2.プロコフィエフ/ピアノ協奏曲第3番ハ長調Op.26
【アンコール】
1.シューマン/リスト編/献呈
2.山本正美/三浦一馬編/ねむの木の子守歌
Pf:マルタ・アルゲリッチ

アルゲリッチを聴くのは何年ぶり、いや何十年ぶりだろうか。そして、なんでこんなに長くアルゲリッチを聴かなかったのだろうか。僕がクラシックを夢中で聴くようになった中学生の頃、アルゲリッチは既に絶大な名声を得ていた。NHKで放映された来日リサイタルでのショパンの 24の前奏曲に釘付けになった記憶は深く心に刻まれている。僕がコンサートに通うようになった頃にはソロ活動はやめてしまったが、マイスキーやクレーメルとのデュオやアンサンブルなどで、アルゲリッチの魅力は味わってきた。後で調べたら、最後にアルゲリッチを聴いたのは1994年、クレーメルとのデュオだった。24年ぶりのアルゲリッチとの再会となった。

今夜の感想を、いつもの調子でツラツラと書くことはできないし意味がない。アルゲリッチの演奏は、たった一つの音やフレーズ、息遣い、何もかもが別次元にある。「プロコフィエフの魂が乗り移ったような…」なんて表現さえ陳腐に響く。強いて言えば、プロコフィエフさえ驚嘆して絶賛するような「音楽の女神」の所業だ。アルゲリッチのピアノの全てが、無条件に、理屈抜きに、音楽の「真理」だ。アルゲリッチが「こうだ」と音で示せば、それはもうそうでしかない。「神」なんだから不老不死だし、衰えなんて言葉は存在しない。いつだって真のパワーに溢れ、宇宙空間に燦然と輝く星のように普遍的だ。ピアノの音が全く違うのだ。これ以上は何も言えない。

桐朋学園オーケストラは、ミョンフンとアルゲリッチの間でビンビンと交わされた交感に刺激されたかのように気に満ち、アルゲリッチとの白熱のやり取りが実現した。プロコフィエフの前にやったブラームスの第1シンフォニーも、ミョンフンならではの切れ味が冴え、筋肉質でグイグイと押し進む、エネルギーに溢れた濃厚で艶やかな演奏だった。このテンションがプロコフィエフにうまく繋がった。

アンコールで、打てば心の琴線に響く「献呈」に陶酔したあと、譜面台がセットされて譜面を見ながら弾いたのは、心に明かりを灯すような優しい曲。誰かの書き下ろしかな?と思ったら、美智子さまの作詞による歌だと後から知った。

ブラ1が終わったあとの休憩で、僕が座っている3階の真下の2階席にライトが当てられ、報道陣が一斉にカメラを向け、1階席のお客がみんな立って拍手を送った。天皇皇后ご両人だな… と思ったが、真下なので見えない。コンサートの帰り、ホール近くの交差点に警察官がたくさんいたので「通るんですか」と訊いたら、「もうすぐ通りますよ」。お見送りしようと待っていたら、白バイに先導された黒塗りの車には美智子さまがお一人。ピアノが得意な美智子さまなら、天ちゃんを置いてでもアルゲリッチを聴きたかったのかも。おかげで、アンコールでのアルゲリッチからの素敵なプレゼントのご相伴に預かれた。
ブログ管理人作曲によるCD
さびしいみすゞ、かなしいみすゞ ~金子みすゞの詩による歌曲集~(MS:小泉詠子/Pf:田中梢)

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