12月4日(火)青木尚佳(Vn)/ウェン=シン・ヤン(Vc)
武蔵野市民文化会館小ホール
【曲目】
1.グリエール/4つの二重奏曲(8つの小品Op.39より)
2.イザイ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第4番ホ短調 Op.27-4
3.オネゲル/ヴァイオリンとチェロのためのソナチネ H.80
4.カサド/無伴奏チェロ組曲
5.コダーイ/ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲 Op.7
【アンコール】
1.レベッカ・クラーク/子守歌
2.グリエール/子守歌
10年来、僕が最も注目しているヴァイオリニストの青木尚佳さん出演のデュオリサイタルを聴いた。会場の武蔵野市民文化会館では、優れたアーティストによる意欲的な内容の演奏会が企画されているが、遠いので随分ご無沙汰だった。去年の大々的なリニューアルで、小ホールは見違える落ち着いた空間に生まれ変わり、響きも素晴らしい。青木さんのデュオの相手、チェリストのウェン=シン・ヤンさんは名前も知らなかったが、輝かしい経歴を持ち世界的に活躍していて、台湾人の両親を持つということでも親近感が湧く。
ソロも交えたプログラムは超マイナー路線。一番有名なのはイザイだろうが、これも含めてどの曲も頭に浮かんで来ない。けれど、アンコールも含めて多彩な魅力に富む名曲揃いだった。最初はラフマニノフと同時代のロシアの作曲家、グリエールのデュオ作品。冒頭から2人の間にはとても親密な空気がゆったりと流れ、一緒に音楽を大切に暖めているよう。2つの楽器の音色が解け合い、暖かくふくよかな響きがホールを満たす。両者が重音を使う場面などは、よく練られた弦楽四重奏を聴いているようだった。最後の楽章ではそれぞれの個も感じさせ、生き生きとしたアンサンブルを聴かせた。
次のイザイの無伴奏で、青木さんは「変身」と云いたいほどの変貌を遂げた。それを一言で云うなら「孤高の美」。磨かれた音の美しさ、気高さに胸がキュンとした。前のデュオでは家族とか友人のなかでリラックスムードの音が、すっくと独り立ち上がった美しい姿の音に変貌した。それにすっとした青木さんの美しい立ち姿が重なる。ヴァイオリンの音が一筋の強い光となってどこまでも真っ直ぐに伸びて行き、漆黒の宇宙空間を駆け抜けて行くようなスペクタクルな世界をイメージさせた。イザイが敬愛するバッハの無伴奏のモチーフを取り入れた作品が、バッハより遥かな太古から現代、更には遥か未来にまで、時空を超えて大きな橋を架けた。
次のオネゲルのソナチネは、最初のグリエールのデュオと比べて、それぞれのプレイヤーにも光が当たる作品で、アンサンブルの楽しみと同時に、青木さんとウェンさんそれぞれの個性と妙技を楽しむこともできた。ヴァイオリンが主導する部分では、青木さんの艶やかで詩情溢れる歌が心を引き付け、チェロに主導権が渡ると、ウェンさんの太く温かく、かつ繊細さも具えた調べに心を奪われ、二人が対等に進むところでは、親密さにエキサイティングなものも加わって、デュオの楽しみも満喫。心の底にしまっていた大切なメッセージを2人で優しくピッチカートで投げかける最後の場面まで、終始聴き手を楽しませてくれた。
プログラム後半は、カサドの無伴奏チェロ組曲で始まった。ここではウェンさんの魅力を存分に味わった。オネゲルでも感じた太い音は、野太さとも云える逞しさを具えながら、粗削りになることなく細部まで丁寧に描いて行く。幅広い音域、連続するハーモニクスなどを縦横無尽に駆け抜けるテクニシャンぶりも披露して、これも楽しめる一曲となった。
最後はコダーイのデュオ。名曲の誉れ高いということで、音楽は非常に多彩な表情に溢れ、民族色も加わって個性豊かな作品だ。ここでも青木さんとウェンさんは、妙技とデュオで引きつけた。青木さんの歌からは濃厚な血も伝わってきた。音楽は思索的で複雑なところもあり、一回聴いただけでは十分に味わい尽くせないところもあった。2月18日、NHK-BSプレミアム「クラシック倶楽部」で放送予定があるので、是非これは2度、3度とこの2人の演奏で繰り返し味わってみたい。
青木尚佳&津田裕也 モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ 2018.3.8 東京文化会館小ホール
♪ブログ管理人の作曲♪
合唱曲「野ばら」(YouTube)
中村雅夫指揮 ベーレンコール
金子みすゞ作詞「さびしいとき」(YouTube)
金子みすゞ作詞「鯨法会」(YouTube)
以上2曲 MS:小泉詠子/Pf:田中梢
「森の詩」~ヴォカリーズ、チェロ、ピアノのためのトリオ~(YouTube)
MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美
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武蔵野市民文化会館小ホール
【曲目】
1.グリエール/4つの二重奏曲(8つの小品Op.39より)
2.イザイ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第4番ホ短調 Op.27-4
3.オネゲル/ヴァイオリンとチェロのためのソナチネ H.80
4.カサド/無伴奏チェロ組曲
5.コダーイ/ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲 Op.7
【アンコール】
1.レベッカ・クラーク/子守歌
2.グリエール/子守歌
10年来、僕が最も注目しているヴァイオリニストの青木尚佳さん出演のデュオリサイタルを聴いた。会場の武蔵野市民文化会館では、優れたアーティストによる意欲的な内容の演奏会が企画されているが、遠いので随分ご無沙汰だった。去年の大々的なリニューアルで、小ホールは見違える落ち着いた空間に生まれ変わり、響きも素晴らしい。青木さんのデュオの相手、チェリストのウェン=シン・ヤンさんは名前も知らなかったが、輝かしい経歴を持ち世界的に活躍していて、台湾人の両親を持つということでも親近感が湧く。
ソロも交えたプログラムは超マイナー路線。一番有名なのはイザイだろうが、これも含めてどの曲も頭に浮かんで来ない。けれど、アンコールも含めて多彩な魅力に富む名曲揃いだった。最初はラフマニノフと同時代のロシアの作曲家、グリエールのデュオ作品。冒頭から2人の間にはとても親密な空気がゆったりと流れ、一緒に音楽を大切に暖めているよう。2つの楽器の音色が解け合い、暖かくふくよかな響きがホールを満たす。両者が重音を使う場面などは、よく練られた弦楽四重奏を聴いているようだった。最後の楽章ではそれぞれの個も感じさせ、生き生きとしたアンサンブルを聴かせた。
次のイザイの無伴奏で、青木さんは「変身」と云いたいほどの変貌を遂げた。それを一言で云うなら「孤高の美」。磨かれた音の美しさ、気高さに胸がキュンとした。前のデュオでは家族とか友人のなかでリラックスムードの音が、すっくと独り立ち上がった美しい姿の音に変貌した。それにすっとした青木さんの美しい立ち姿が重なる。ヴァイオリンの音が一筋の強い光となってどこまでも真っ直ぐに伸びて行き、漆黒の宇宙空間を駆け抜けて行くようなスペクタクルな世界をイメージさせた。イザイが敬愛するバッハの無伴奏のモチーフを取り入れた作品が、バッハより遥かな太古から現代、更には遥か未来にまで、時空を超えて大きな橋を架けた。
次のオネゲルのソナチネは、最初のグリエールのデュオと比べて、それぞれのプレイヤーにも光が当たる作品で、アンサンブルの楽しみと同時に、青木さんとウェンさんそれぞれの個性と妙技を楽しむこともできた。ヴァイオリンが主導する部分では、青木さんの艶やかで詩情溢れる歌が心を引き付け、チェロに主導権が渡ると、ウェンさんの太く温かく、かつ繊細さも具えた調べに心を奪われ、二人が対等に進むところでは、親密さにエキサイティングなものも加わって、デュオの楽しみも満喫。心の底にしまっていた大切なメッセージを2人で優しくピッチカートで投げかける最後の場面まで、終始聴き手を楽しませてくれた。
プログラム後半は、カサドの無伴奏チェロ組曲で始まった。ここではウェンさんの魅力を存分に味わった。オネゲルでも感じた太い音は、野太さとも云える逞しさを具えながら、粗削りになることなく細部まで丁寧に描いて行く。幅広い音域、連続するハーモニクスなどを縦横無尽に駆け抜けるテクニシャンぶりも披露して、これも楽しめる一曲となった。
最後はコダーイのデュオ。名曲の誉れ高いということで、音楽は非常に多彩な表情に溢れ、民族色も加わって個性豊かな作品だ。ここでも青木さんとウェンさんは、妙技とデュオで引きつけた。青木さんの歌からは濃厚な血も伝わってきた。音楽は思索的で複雑なところもあり、一回聴いただけでは十分に味わい尽くせないところもあった。2月18日、NHK-BSプレミアム「クラシック倶楽部」で放送予定があるので、是非これは2度、3度とこの2人の演奏で繰り返し味わってみたい。
青木尚佳&津田裕也 モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ 2018.3.8 東京文化会館小ホール
♪ブログ管理人の作曲♪
合唱曲「野ばら」(YouTube)
中村雅夫指揮 ベーレンコール
金子みすゞ作詞「さびしいとき」(YouTube)
金子みすゞ作詞「鯨法会」(YouTube)
以上2曲 MS:小泉詠子/Pf:田中梢
「森の詩」~ヴォカリーズ、チェロ、ピアノのためのトリオ~(YouTube)
MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美
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