2020年 3月21日(土)
新型コロナウイルスによるコンサート中止に思う ~KAJIMOTOの英断~
世界を震撼させている新型コロナウイルスは日本でも感染拡大の歯止めがかからず、終息の見通しは立たない。そんな中、文化イベントも次々と中止に追い込まれ、人々は日常の楽しみや喜びを失っている。植物でも動物でも、生き物の行動は全て自らが生き延びるため、そして自分の遺伝子を後世に残すことが目的と云われる。人間にとっては食・睡眠・性に関する行動だけでなく、スポーツやダンス、アートや音楽など、命とは関わりがないように思えることも、実はそれらが免疫力を高め、「より良く生きる」ことに繋がっていると思う。僕にとって音楽はまさに生きる糧だ。コロナ騒ぎでの今の状況で、大切な生きる糧を奪われている。
音楽を提供する側の状況は更に深刻だ。一回のライブが中止になると、保険の対象にもならず何千万、時に億にもおよぶ損失を被るという。中小が殆どの音楽産業は倒産に追い込まれ、アーティストも仕事を失う。長年築いてきた音楽文化が失われ、音楽を愛する人たちにとって、精神的にも金銭的にも失われるものは計り知れない。もしかするとコロナウイルスに感染して死ぬ人の数よりも多くの人たちが、自ら命を絶つようなケースも含めて生命の危機に瀕していると云ってもいい。これを「仕方ない」と放置していいわけがない。
こんな状況のなか、東京オペラシティコンサートホールでアンドラーシュ・シフのリサイタルが開催された。1632席がほぼ満席となったコンサートを主催したのは、1951年の創設時からトップレベルのアーティストによる演奏会を提供し続け、日本の音楽文化の発展に貢献してきたKAJIMOTO。「恐怖ではなく勇気を持ってこの難しいときを乗り越えていきたい」という声明のもと、リサイタルが行われた。KAJIMOTOは目に見えないウイルスの恐怖から聴衆やスタッフを守るために出来る限りの対策を施した。事前に送られた通知には、具体的な対策や協力依頼が記されていた(下に添付)。
ここまで徹底した感染防止策を取ってくれれば、人込みの街中や満員電車などより感染リスクはずっと少ないはず。しかも有料のプログラムの一部をHP上で無料公開したり、心配ならばチケットの払い戻しにも応じたりするなどの気配りもあり、音楽文化の灯を消さないための熱意と誠意が感じられた。ここまでやってくれるなら、僕にはコンサートに行くことを躊躇する理由はない。
コンサート当日、チケットは目視確認のみで入場した会場のあちこちに感染予防の掲示と消毒液が置かれ、来場者が次々に手を消毒していた。ステージには大型スクリーンに感染予防を呼びかける映像が映され、アナウンスも度々入った。主役のシフ氏と、主催の梶本氏からの、このコンサートの意義についてのメッセージも紹介された。そしてシフの感動的なリサイタルが実現した。
アンドラーシュ・シフ ピアノリサイタル 2020.3.19 東京オペラシティコンサートホール
このコンサートは、政府が自粛要請している屋内での大規模イベントに該当するだろう。どんな対策を施しても感染リスクをゼロにすることは不可能だし、ネガティブな意見もあるはず。クレームも少なくなかったに違いない。けれど、それを理由にコンサートを中止してしまえば音楽文化は衰退するばかりで、人々から生きる糧を奪ってしまうことになる。昨今はクレームや「もしも」のリスクへの過剰反応で大切なイベントが中止されることが多いが、徹底した対策を施したうえでリサイタルを実現した主催のKAJIMOTO、そして素晴らしいピアノを聴かせてくれたアンドラーシュ・シフに、心からの賛辞と敬意を送りたい。こうした行動に対して、私たち聴衆の立場からも積極的に賛意を寄せ、音楽文化の灯を絶やさないことに少しでも役に立ちたいと思いこのブログ記事を書いた。
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♪ブログ管理人の作曲♪
「星去りぬ」~フルートとギターのための~
Fl:佐々木真/G:岩永善信
拡散希望記事!やめよう!エスカレーターの片側空け
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世界を震撼させている新型コロナウイルスは日本でも感染拡大の歯止めがかからず、終息の見通しは立たない。そんな中、文化イベントも次々と中止に追い込まれ、人々は日常の楽しみや喜びを失っている。植物でも動物でも、生き物の行動は全て自らが生き延びるため、そして自分の遺伝子を後世に残すことが目的と云われる。人間にとっては食・睡眠・性に関する行動だけでなく、スポーツやダンス、アートや音楽など、命とは関わりがないように思えることも、実はそれらが免疫力を高め、「より良く生きる」ことに繋がっていると思う。僕にとって音楽はまさに生きる糧だ。コロナ騒ぎでの今の状況で、大切な生きる糧を奪われている。
音楽を提供する側の状況は更に深刻だ。一回のライブが中止になると、保険の対象にもならず何千万、時に億にもおよぶ損失を被るという。中小が殆どの音楽産業は倒産に追い込まれ、アーティストも仕事を失う。長年築いてきた音楽文化が失われ、音楽を愛する人たちにとって、精神的にも金銭的にも失われるものは計り知れない。もしかするとコロナウイルスに感染して死ぬ人の数よりも多くの人たちが、自ら命を絶つようなケースも含めて生命の危機に瀕していると云ってもいい。これを「仕方ない」と放置していいわけがない。
こんな状況のなか、東京オペラシティコンサートホールでアンドラーシュ・シフのリサイタルが開催された。1632席がほぼ満席となったコンサートを主催したのは、1951年の創設時からトップレベルのアーティストによる演奏会を提供し続け、日本の音楽文化の発展に貢献してきたKAJIMOTO。「恐怖ではなく勇気を持ってこの難しいときを乗り越えていきたい」という声明のもと、リサイタルが行われた。KAJIMOTOは目に見えないウイルスの恐怖から聴衆やスタッフを守るために出来る限りの対策を施した。事前に送られた通知には、具体的な対策や協力依頼が記されていた(下に添付)。
ここまで徹底した感染防止策を取ってくれれば、人込みの街中や満員電車などより感染リスクはずっと少ないはず。しかも有料のプログラムの一部をHP上で無料公開したり、心配ならばチケットの払い戻しにも応じたりするなどの気配りもあり、音楽文化の灯を消さないための熱意と誠意が感じられた。ここまでやってくれるなら、僕にはコンサートに行くことを躊躇する理由はない。
コンサート当日、チケットは目視確認のみで入場した会場のあちこちに感染予防の掲示と消毒液が置かれ、来場者が次々に手を消毒していた。ステージには大型スクリーンに感染予防を呼びかける映像が映され、アナウンスも度々入った。主役のシフ氏と、主催の梶本氏からの、このコンサートの意義についてのメッセージも紹介された。そしてシフの感動的なリサイタルが実現した。
アンドラーシュ・シフ ピアノリサイタル 2020.3.19 東京オペラシティコンサートホール
このコンサートは、政府が自粛要請している屋内での大規模イベントに該当するだろう。どんな対策を施しても感染リスクをゼロにすることは不可能だし、ネガティブな意見もあるはず。クレームも少なくなかったに違いない。けれど、それを理由にコンサートを中止してしまえば音楽文化は衰退するばかりで、人々から生きる糧を奪ってしまうことになる。昨今はクレームや「もしも」のリスクへの過剰反応で大切なイベントが中止されることが多いが、徹底した対策を施したうえでリサイタルを実現した主催のKAJIMOTO、そして素晴らしいピアノを聴かせてくれたアンドラーシュ・シフに、心からの賛辞と敬意を送りたい。こうした行動に対して、私たち聴衆の立場からも積極的に賛意を寄せ、音楽文化の灯を絶やさないことに少しでも役に立ちたいと思いこのブログ記事を書いた。
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「星去りぬ」~フルートとギターのための~
Fl:佐々木真/G:岩永善信
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