藝祭2017 1日目 9月8日(金)
藝祭 能楽自主公演
~第4ホール~
(仕舞)田村/羽衣
(舞囃子)敦盛
(仕舞)笹之段/野守
(狂言語)奈須与一語
(仕舞)嵐山/花月/鞍馬天狗
(舞囃子)班女
(舞囃子)西王母
娘の幼なじみが芸大にいるおかげで、藝祭で能楽の公演を鑑賞する機会ができ、第4ホールの能舞台に来るのも3回目。今回は初めて公演を最初から最後まで観ることができ、静謐で幽玄な中に強い魂が宿る能の世界を堪能した。
能舞台で唄い、舞うのは男性というイメージが強いが、芸大で能楽を専攻する学生は女子の割合が高く、今日も女子が地謡や音曲演奏だけでなく主役の舞いも披露した。これが、全く違和感がないどころか、ストーリーで女性が主役の演目などではとりわけ女性の活躍が生えていた。なかでも「笹之段」で我が子と生き別れになった母を演じた竹原麻美さんは、地から湧き上がるような声、鬼気迫る凄みすら感じさせる表情と舞いで観る者を釘づけにした。
娘の幼なじみの佐野幹さんは、取りの「西王母」で舞を披露し、益々の成長ぶりを感じさせた。そして、プログラムにもう一人、同じ母校出身の野村拳之介さんを見つけた。一人狂言「奈須与一語」を演じた野村さんの緊張感とリアリティー溢れる演技にも引きつけられた。
とは言うものの、やっぱりお能を本当に楽しむには勉強が必要なのだろう。プログラムに書かれた筋を読んでも、どれがその場面か判然としないことが多いし、笛も加わった音曲と、それに乗って舞台を回る舞いは、演目が違ってもみな同じ繰り返しに思えてしまい、永遠に続くようで「え、また。。?」という気分になったことも白状しておこう。前にも書いたが、是非入門的なレクチャー公演をやってくれると嬉しい。
東京藝術大学バッハカンタータクラブ
~第6ホール~
1.バッハ/カンタータ第47番「自らを高くする者は、低められねばならず」BWV47→聴けず。。
2.バッハ/カンタータ第99番「神の御業は善きことなり」BWV99
藝祭で、いつの年だって全てのイベントのなかで特別に大切で、楽しみにしているのがバッハカンタータクラブの演奏会。抽選になると知ってからずっと「聴けなかったらどうしよう…」と心配だったのだが、その心配が現実のものになってしまった。夫婦共々第1希望で臨んだ抽選に2人ともキャンセル待ちも含めて落選。こんなときのために用意してきた「カンタータクラブのチケット求む!」と大書きした紙を掲げ、チケット配付所と、その後ホール前でも立っていたが、チケットは手に入らないまま開演。。
キャンセル待ち券を持っている人たちは開演時に一度に全員案内されたので、一縷の望みをかけてホール入口で待ち続け、前半が終わる頃、係の方に「席が空いたら入れて頂けませんか。」とお願いしたところ、特別に後半開始前に入場させてもらえた。諦めて帰った方には申し訳ないが、これほど熱心に行動し、待っていたことに免じてお許しを。とにかく藝祭で後半だけでもカンタータクラブの演奏を聴けたことはせめてもの救い。冒頭合唱が始まったらウルウルしてしまった。
ただ、慌ただしく席に着き、いつもはしっかり読むプログラム解説も読まず、落ち着かない気持ちのまま聴いてしまったため、正直演奏がどうだったか、よくわからないまま終わってしまった。小池優介さんの朗々としたレチタティーヴォを素晴らしいと感じ、最後のコラールでは「カンタータクラブのバッハが聴けた」という感慨が訪れはしたが。なので、いつものような感想を書くことはできない。
気になったのは、入場したら空席は連席で容易に見つかり、しかもその場で見渡しただけで優に20席以上の空席があったこと。待っている人がいたら空席状況を確認して対応してもらいたいものだ。それでも、新システムで不公平がないよう均一の対応に徹せざるを得なかったなか、後半だけでも聴かせてもらえたことには感謝したい。
30年来通っている藝祭でこんなことは初めて。平日でこれでは土日に行われることが多いカンタータクラブは来年以降も聴けるかわからない思うと、人生の楽しみを一つ失った気持だ。抽選と先着順を併用するなど、システムを見直してもらうことを願うばかりだ。
余談だが、8/12に家族旅行で偶然日光の真光教会の前を車で通りがかったとき、カンタータクラブのポスターが出ているのが見え「そういえばカンタータクラブはいつも日光で合宿して、ここでコンサートもやってたっけ…」なんて思いながら通り過ぎてしまった。後から、丁度あの通りかかったとき、演奏会の開演30分前だったことを知ったときのショックと言ったら!「藝祭で同じ演目を聴ける」と思い直したが、益々これが悔やまれた。
カルテット・ホールケーキ
~キャッスル~
♪(アイリッシュ風なダンスミュージック)
♪ ドラマ「カルテット」主題歌「おとなの掟」
♪ DRAGON QUEST
♪ シューベルト/弦楽四重奏曲「死と乙女」第1楽章より
♪ トトロのテーマ
♪ ピアソラ/リベルタンゴ
アンコール:
(アイリッシュ風なダンスミュージック)
カンタータクラブのショックですっかり意気消沈してしまったうえに、その後のコンサートの抽選も全てハズレ。。いつもの「藝祭テンション」が萎え切っていたところに、「ゲリラ的にキャッスルでコンサートがあります」という係の学生の案内が耳に入った。「これは聴かねば」とキャッスルに行くと、開演15分前なのにお客はまばら。本当に予告なしの「ゲリラ的」コンサートのようだ。
聴いたのは今年の藝祭で結成されたという「カルテット・ホールケーキ」という女性4人の弦楽四重奏団。テレビやアニメの主題歌など親しみやすいナンバーから、シューベルトの深い音楽、アイリッシュ風やピアソラなど民族色溢れる音楽まで多彩なプログラムで綴って行った。
ファーストヴァイオリンを担当している学生さんは、「大人の掟」ではヴォーカル、「トトロのテーマ」ではピアノも披露、変化に富んだ楽しく心温まるステージを聴くことができた。4人の奏でるハーモニーは美しく、語りかけやノリも良く、シューベルトでも情感と哀愁と切迫感のある詩情を聴かせてくれ、落ち込んでいた気持ちを癒してくれた。感謝。。
MANTO VIVO スペシャルライブ
管打楽専攻生によるビッグバンド
~ピロティ~
「カルテット・ホールケーキ」を聴けて少し元気が戻ったところで、ピロティでMANTO VIVOのビッグバンドのライブを聴いた。いつもは通りすがりで数曲立ち聞きするだけだったが、2曲目から最後までスタンディングで楽しんだ。
「A列車で行こう」などのスタンダードナンバーから、チャイコフスキーの「花のワルツ」まで、いろんな曲を、抜群のノリとパフォーマンスで聴かせてくれて、客席も最高に盛り上がった。各楽器のソロでは芸大生の腕の見せどころを披露、さすが上手い!音楽って熱くて楽しい!という原点を伝えてくれるライブに元気をもらった。オリジナルTシャツも買っちゃった!
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CDリリースのお知らせ
さびしいみすゞ、かなしいみすゞ ~金子みすゞの詩による歌曲集~
拡散希望記事!STOP!エスカレーターの片側空け
藝祭 能楽自主公演
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(舞囃子)班女
(舞囃子)西王母
娘の幼なじみが芸大にいるおかげで、藝祭で能楽の公演を鑑賞する機会ができ、第4ホールの能舞台に来るのも3回目。今回は初めて公演を最初から最後まで観ることができ、静謐で幽玄な中に強い魂が宿る能の世界を堪能した。
能舞台で唄い、舞うのは男性というイメージが強いが、芸大で能楽を専攻する学生は女子の割合が高く、今日も女子が地謡や音曲演奏だけでなく主役の舞いも披露した。これが、全く違和感がないどころか、ストーリーで女性が主役の演目などではとりわけ女性の活躍が生えていた。なかでも「笹之段」で我が子と生き別れになった母を演じた竹原麻美さんは、地から湧き上がるような声、鬼気迫る凄みすら感じさせる表情と舞いで観る者を釘づけにした。
娘の幼なじみの佐野幹さんは、取りの「西王母」で舞を披露し、益々の成長ぶりを感じさせた。そして、プログラムにもう一人、同じ母校出身の野村拳之介さんを見つけた。一人狂言「奈須与一語」を演じた野村さんの緊張感とリアリティー溢れる演技にも引きつけられた。
とは言うものの、やっぱりお能を本当に楽しむには勉強が必要なのだろう。プログラムに書かれた筋を読んでも、どれがその場面か判然としないことが多いし、笛も加わった音曲と、それに乗って舞台を回る舞いは、演目が違ってもみな同じ繰り返しに思えてしまい、永遠に続くようで「え、また。。?」という気分になったことも白状しておこう。前にも書いたが、是非入門的なレクチャー公演をやってくれると嬉しい。
東京藝術大学バッハカンタータクラブ
~第6ホール~
1.バッハ/カンタータ第47番「自らを高くする者は、低められねばならず」BWV47→聴けず。。
2.バッハ/カンタータ第99番「神の御業は善きことなり」BWV99
藝祭で、いつの年だって全てのイベントのなかで特別に大切で、楽しみにしているのがバッハカンタータクラブの演奏会。抽選になると知ってからずっと「聴けなかったらどうしよう…」と心配だったのだが、その心配が現実のものになってしまった。夫婦共々第1希望で臨んだ抽選に2人ともキャンセル待ちも含めて落選。こんなときのために用意してきた「カンタータクラブのチケット求む!」と大書きした紙を掲げ、チケット配付所と、その後ホール前でも立っていたが、チケットは手に入らないまま開演。。
キャンセル待ち券を持っている人たちは開演時に一度に全員案内されたので、一縷の望みをかけてホール入口で待ち続け、前半が終わる頃、係の方に「席が空いたら入れて頂けませんか。」とお願いしたところ、特別に後半開始前に入場させてもらえた。諦めて帰った方には申し訳ないが、これほど熱心に行動し、待っていたことに免じてお許しを。とにかく藝祭で後半だけでもカンタータクラブの演奏を聴けたことはせめてもの救い。冒頭合唱が始まったらウルウルしてしまった。
ただ、慌ただしく席に着き、いつもはしっかり読むプログラム解説も読まず、落ち着かない気持ちのまま聴いてしまったため、正直演奏がどうだったか、よくわからないまま終わってしまった。小池優介さんの朗々としたレチタティーヴォを素晴らしいと感じ、最後のコラールでは「カンタータクラブのバッハが聴けた」という感慨が訪れはしたが。なので、いつものような感想を書くことはできない。
気になったのは、入場したら空席は連席で容易に見つかり、しかもその場で見渡しただけで優に20席以上の空席があったこと。待っている人がいたら空席状況を確認して対応してもらいたいものだ。それでも、新システムで不公平がないよう均一の対応に徹せざるを得なかったなか、後半だけでも聴かせてもらえたことには感謝したい。
30年来通っている藝祭でこんなことは初めて。平日でこれでは土日に行われることが多いカンタータクラブは来年以降も聴けるかわからない思うと、人生の楽しみを一つ失った気持だ。抽選と先着順を併用するなど、システムを見直してもらうことを願うばかりだ。
余談だが、8/12に家族旅行で偶然日光の真光教会の前を車で通りがかったとき、カンタータクラブのポスターが出ているのが見え「そういえばカンタータクラブはいつも日光で合宿して、ここでコンサートもやってたっけ…」なんて思いながら通り過ぎてしまった。後から、丁度あの通りかかったとき、演奏会の開演30分前だったことを知ったときのショックと言ったら!「藝祭で同じ演目を聴ける」と思い直したが、益々これが悔やまれた。
カルテット・ホールケーキ
~キャッスル~
♪(アイリッシュ風なダンスミュージック)
♪ ドラマ「カルテット」主題歌「おとなの掟」
♪ DRAGON QUEST
♪ シューベルト/弦楽四重奏曲「死と乙女」第1楽章より
♪ トトロのテーマ
♪ ピアソラ/リベルタンゴ
アンコール:
(アイリッシュ風なダンスミュージック)
カンタータクラブのショックですっかり意気消沈してしまったうえに、その後のコンサートの抽選も全てハズレ。。いつもの「藝祭テンション」が萎え切っていたところに、「ゲリラ的にキャッスルでコンサートがあります」という係の学生の案内が耳に入った。「これは聴かねば」とキャッスルに行くと、開演15分前なのにお客はまばら。本当に予告なしの「ゲリラ的」コンサートのようだ。
聴いたのは今年の藝祭で結成されたという「カルテット・ホールケーキ」という女性4人の弦楽四重奏団。テレビやアニメの主題歌など親しみやすいナンバーから、シューベルトの深い音楽、アイリッシュ風やピアソラなど民族色溢れる音楽まで多彩なプログラムで綴って行った。
ファーストヴァイオリンを担当している学生さんは、「大人の掟」ではヴォーカル、「トトロのテーマ」ではピアノも披露、変化に富んだ楽しく心温まるステージを聴くことができた。4人の奏でるハーモニーは美しく、語りかけやノリも良く、シューベルトでも情感と哀愁と切迫感のある詩情を聴かせてくれ、落ち込んでいた気持ちを癒してくれた。感謝。。
MANTO VIVO スペシャルライブ
管打楽専攻生によるビッグバンド
~ピロティ~
「カルテット・ホールケーキ」を聴けて少し元気が戻ったところで、ピロティでMANTO VIVOのビッグバンドのライブを聴いた。いつもは通りすがりで数曲立ち聞きするだけだったが、2曲目から最後までスタンディングで楽しんだ。
「A列車で行こう」などのスタンダードナンバーから、チャイコフスキーの「花のワルツ」まで、いろんな曲を、抜群のノリとパフォーマンスで聴かせてくれて、客席も最高に盛り上がった。各楽器のソロでは芸大生の腕の見せどころを披露、さすが上手い!音楽って熱くて楽しい!という原点を伝えてくれるライブに元気をもらった。オリジナルTシャツも買っちゃった!
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さびしいみすゞ、かなしいみすゞ ~金子みすゞの詩による歌曲集~
拡散希望記事!STOP!エスカレーターの片側空け