藝祭2017 2日目 9月9日(土)
Molto Fagottittittissimo!!!!!!
東京藝大ファゴット集団
~第2ホール~
♪ ボザ/コントラストⅢ
♪ モンティ/チャルダッシュ
♪ ピアソラ/タンゴ組曲
♪ ベルクト/トリオ~第1,4楽章
♪ ヴィラ=ロボス/ブラジル風バッハ第1番
抽選では全滅の危険があるので、せめて早起きして整理券で聴けるコンサートと思って聴いたファゴットアンサンブル。ファゴットばっかのアンサンブルって、コントラファゴットも加わるとは言ってもどうなんだろう・・・ と勘ぐる気持ちもあったが、これが面白かった。
最初の「コントラスト」は、本来は曲名通りクラリネットとファゴットという異なる楽器のコントラストを狙った曲で、これをファゴットだけでやるとやっぱりドツボにハマってしまう感じ。更に次の「チャールダッシュ」は、あの激しく熱い曲をコントラファゴット3本だけでやるということで益々どうなることかと思ったら、地を這いまわるような様子が、この曲のイメージとのギャップを際立たせ、3人の妙技も手伝って、見事な曲の「変相ぶり」を楽しむことができた。
ピアソラのタンゴ組曲は、椅子式のパーカッション(カホン)に靴でリズムを打つタップも加わり、ラテンならではのノリと切れ味を聴かせただけでなく、4本のファゴットが織り成すハーモニーが胸に染み、歌心が熱く胸を掴んだ。ベルクトのトリオはプログラム唯一、ファゴットのためのオリジナル。古典的なたたずまいを持つ曲を、3人のファゴッティストは品良くやわらかな語り口で、ファゴットならではの魅力を聴かせた。
14人全員が登場した最後のヴィラ=ロボスは圧巻のステージ。ユニゾンで奏でるメロディーは、ファゴットがこんなに熱く歌う楽器でもあることにビックリし、空気を熱く揺さぶり腹にビンビン応える分厚い響きは、オリジナルのチェロとはまた違う魅力。多彩で雄弁、親方的な頼りがいと、おふくろのあったかさを感じるファゴットのパフォーマンスに満足した。
藝祭奏楽堂オルガン科コンサート
~奏楽堂~
♪ブクステフーデ/トッカータ ニ短調 BuxWV155
♪バッハ/トリオソナタ第6番ト長調BWV530
♪ヴィエルヌ/トッカータ
♪ルイ=フローレンツ/賛歌~マリアのたて琴
♪バッハ/トッカータ ニ短調 BWV565
♪ハキム/オーボエとオルガンのための「暁の星のいと美しきかな」による変奏曲
♪レーガー/序奏とパッサカリア ニ短調
♪バッハ/フーガ ト短調BWV578
(ここで退場)
藝祭のオルガンコンサートは毎年楽しみにしている演奏会の一つ。パイプオルガンの響きは非日常的な気分にさせてくれるし、奏楽堂では大オルガンが持つ能力を芸大生が使いこなし、多彩な曲目を楽しめるのがいい。都合で最後の2曲は聴けなかったが、今回もバロックから現代までオルガン音楽の幅広く奥深く多彩な世界を堪能した。
その中からいくつかピックアップしてみよう。内海彩花さんが演奏したブクステフーデは、対位法を駆使して見事に構成されたバラードのよう。音の伸びと安定感のある演奏だった。盲目の作曲家というヴィエルヌのトッカータは、苦悩と官能が入り交じったような色彩豊かで奥深い作品。阿部翠さんは妖しく匂やかなニュアンスを伝えていた。
安井歩さんの演奏によるルイ=フローレンツの曲は、霞たなびく天上界のファンタジックな雰囲気を醸し出した。ファジーな音色とゆらゆらした節回しの妙に酔っていたら、突然バッハの「トッカータとフーガ」の冒頭が鳴り響き「パロディー?」と思ったら、プログラム次の曲に移っていた。「トッカータとフーガ」のトッカータのみを演奏。アグレッシブに畳み掛ける迫力ある演奏だった。
演奏会後半、栗田麻子さんの弾くレーガーのパッサカリアは、バッハの「パッサカリアとフーガ」のテーマに似た旋律をベースにした大聖堂の大伽藍を思わせる壮麗かつ壮大な音楽。懐の深い頼もしさで、弱音から轟くフォルティッシモまで、淀みなくがっしりとした構築を感じる圧巻の演奏。最後に小学生の頃から慣れ親しんだフーガト短調を聴けたのも嬉しかった。佐藤初音さんはストレート感ある音を選び、躍動するバッハを聴かせた。
西洋中世古楽会 藝祭公演
《クラウディオ・モンテヴェルディ生誕450年記念》
~第2ホール~
♪ モンテヴェルディ/4声のミサ曲
♪ モンテヴェルディ/マドリガーレ「ほら、波がさざめき」
♪ モンテヴェルディ/セスティーナ「愛する女の墓に流す恋人の涙」~第1部「灰となった亡骸よ」
♪ カステッロ/ソナタ第3番
♪ モンテヴェルディ/主をほめたたえよ 第3番
モンテヴェルディのアニバーサリー、しかも西洋中世古楽会はこれまでに藝祭で何度も聴いているお気に入りの団体なので是非聴きたいコンサートだった。どうせまた外れるとは思いながらも夫婦で第1希望で抽選に臨んだところ、奥さんが2枚当選。でかした!
プログラムのメインはモンテヴェルディの声楽曲。モンテヴェルディの多様な面を伝えられるようにと、様々なタイプの音楽が紹介された。最初のミサはキリエからアニュスデイまでの全曲演奏。ルネサンススタイルの声楽的ポリフォニーで書かれているように聴こえる音楽は、滑らかで敬虔な祈りを伝えてきた。変化は少ない印象のなかでも、「精霊により処女マリアより肉を受け」の場面では静謐な空気に支配され、「十字架にかけられ」は、歌から痛みが伝わるなど、言葉に沿って作曲されていることを実感した。
次の2曲のマドリガーレやセスティーナになると、音楽は俄然エモーショナルに訴えてきた。配布されたパンフやMCでも説明があったが、ミサとは全く別のアプローチでアクティブに心情を吐露してくる。メンバーの生き生きとした躍動感、感情の高ぶりに沿った声の張りと輝きも素晴らしい。
そして再び宗教曲のモテットは、紹介された通り宗教作品でありながら世俗的で官能的で生命力に溢れた音楽。14人が気持ちを寄せ合って、神様を身近な存在として讃える表現に、歓びと親しみを覚えた。ソプラノソロの高音域の、心を震わせるようなメリスマも見事だった。
このグループには声楽科のメンバーは2人だけとのことだが、取り上げる音楽の歴史的な位置づけや特徴をキチンと研究し、更に言葉に共感を持って大切に伝えてくる姿勢から、説得力のある演奏が生まれるのだろう。現在の五線譜ではなく、まだ記譜法が確立されていない当時のオリジナル譜を使用する姿勢も、生きた演奏を生むことに貢献しているのだろう。馴染み深いというほどではないモンテヴェルディの音楽の様々な魅力を、限られた時間で最大限堪能することができた。
またプログラム中、1曲だけ挿入された器楽曲は、モンテヴェルディと同門というカステッロの作品。ここではMCでテオルボやコルネットといった珍しい当時の楽器を面白く紹介し、学生達は主専攻の楽器を手に、快活で躍動感溢れる演奏を楽しそうに聴かせてくれた。
Choral Works for Summer
~第2ホール~
Ⅰ夏を描く合唱曲たち
♪ 松下耕/今、ここに
♪ 木下牧子/にじいろの魚
♪ 上田真樹/海の4あなたの
♪ 三善 晃/麦藁帽子
Ⅱ信長貴富/無伴奏混声合唱小品集「雲は雲のままに流れ」より
♪ たっけだっけの歌
♪ 青空
♪ 逝く夏の歌
♪ それじゃ
アンコール:松下耕/夕焼け
声楽科を中心に、一部他学科の学生も加わった合唱団による「夏」にちなんだ日本の合唱曲のコンサート。新しさの中にどこか懐かしい、心温まる曲目が並んだ。
声楽科の学生というと、合唱でも自分の美声や声の張りを競うような演奏になってしまうこともあるが、この合唱では心と声を互いに合わせ、美しく透明感のあるハーモニーを生み出し、心が洗われるよう。歌詞を丁寧に発音して、自分の言葉として語りかけてくる姿勢からは、柔らかな詩情が伝わって来て心に沁みた。
とりわけ女声のハーモニーは高級シルクのように優美で聴き惚れてしまった。女声合唱の三善作品、良かった~! アンコールも含め、日本の歌の「やさしさ、おいしさ」をたっぷりと味わうことができた。
D年オーケストラの祭典!
Yオーケストラ
~奏楽堂~
♪ ブラームス/交響曲第4番ホ短調Op.98
合唱コンサートのあと、奏楽堂に駆けつけてオケのコンサートの後半を聴いた(前半では組曲「アルルの女」を演奏)。D年オケは学部2年生から成るオーケストラ。腕達者で若さ溢れる学生達が選んだのは渋いブラ4。これを「聴かせる」のはタイヘンかもしれないが、フレッシュなパワーにみなぎる演奏をすれば、この曲の別の魅了を聴けるかも、と期待。
山下紘生さん指揮するD年オケは、実際第3楽章やフィナーレ終盤などで、アグレッシブに全身全霊でぶつかってくるシーンもあるにはあったが、やっぱりこの曲の味わい深さを表現するのは難しいなぁと感じた。フレーズの表情が乏しくて音を置きに行っていると感じることが多く、表情豊かな歌を聴かせても、それが次へと繋がらず、全体の中の役割が見えない。ただ、深い表現力が必要な曲に挑戦したことは、学生達にとって大切な修行にもなり、学ぶことは多いはず。これを糧に、今後の飛躍と深化を期待したい。
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CDリリースのお知らせ
さびしいみすゞ、かなしいみすゞ ~金子みすゞの詩による歌曲集~
拡散希望記事!STOP!エスカレーターの片側空け
Molto Fagottittittissimo!!!!!!
東京藝大ファゴット集団
~第2ホール~
♪ ボザ/コントラストⅢ
♪ モンティ/チャルダッシュ
♪ ピアソラ/タンゴ組曲
♪ ベルクト/トリオ~第1,4楽章
♪ ヴィラ=ロボス/ブラジル風バッハ第1番
抽選では全滅の危険があるので、せめて早起きして整理券で聴けるコンサートと思って聴いたファゴットアンサンブル。ファゴットばっかのアンサンブルって、コントラファゴットも加わるとは言ってもどうなんだろう・・・ と勘ぐる気持ちもあったが、これが面白かった。
最初の「コントラスト」は、本来は曲名通りクラリネットとファゴットという異なる楽器のコントラストを狙った曲で、これをファゴットだけでやるとやっぱりドツボにハマってしまう感じ。更に次の「チャールダッシュ」は、あの激しく熱い曲をコントラファゴット3本だけでやるということで益々どうなることかと思ったら、地を這いまわるような様子が、この曲のイメージとのギャップを際立たせ、3人の妙技も手伝って、見事な曲の「変相ぶり」を楽しむことができた。
ピアソラのタンゴ組曲は、椅子式のパーカッション(カホン)に靴でリズムを打つタップも加わり、ラテンならではのノリと切れ味を聴かせただけでなく、4本のファゴットが織り成すハーモニーが胸に染み、歌心が熱く胸を掴んだ。ベルクトのトリオはプログラム唯一、ファゴットのためのオリジナル。古典的なたたずまいを持つ曲を、3人のファゴッティストは品良くやわらかな語り口で、ファゴットならではの魅力を聴かせた。
14人全員が登場した最後のヴィラ=ロボスは圧巻のステージ。ユニゾンで奏でるメロディーは、ファゴットがこんなに熱く歌う楽器でもあることにビックリし、空気を熱く揺さぶり腹にビンビン応える分厚い響きは、オリジナルのチェロとはまた違う魅力。多彩で雄弁、親方的な頼りがいと、おふくろのあったかさを感じるファゴットのパフォーマンスに満足した。
藝祭奏楽堂オルガン科コンサート
~奏楽堂~
♪ブクステフーデ/トッカータ ニ短調 BuxWV155
♪バッハ/トリオソナタ第6番ト長調BWV530
♪ヴィエルヌ/トッカータ
♪ルイ=フローレンツ/賛歌~マリアのたて琴
♪バッハ/トッカータ ニ短調 BWV565
♪ハキム/オーボエとオルガンのための「暁の星のいと美しきかな」による変奏曲
♪レーガー/序奏とパッサカリア ニ短調
♪バッハ/フーガ ト短調BWV578
(ここで退場)
藝祭のオルガンコンサートは毎年楽しみにしている演奏会の一つ。パイプオルガンの響きは非日常的な気分にさせてくれるし、奏楽堂では大オルガンが持つ能力を芸大生が使いこなし、多彩な曲目を楽しめるのがいい。都合で最後の2曲は聴けなかったが、今回もバロックから現代までオルガン音楽の幅広く奥深く多彩な世界を堪能した。
その中からいくつかピックアップしてみよう。内海彩花さんが演奏したブクステフーデは、対位法を駆使して見事に構成されたバラードのよう。音の伸びと安定感のある演奏だった。盲目の作曲家というヴィエルヌのトッカータは、苦悩と官能が入り交じったような色彩豊かで奥深い作品。阿部翠さんは妖しく匂やかなニュアンスを伝えていた。
安井歩さんの演奏によるルイ=フローレンツの曲は、霞たなびく天上界のファンタジックな雰囲気を醸し出した。ファジーな音色とゆらゆらした節回しの妙に酔っていたら、突然バッハの「トッカータとフーガ」の冒頭が鳴り響き「パロディー?」と思ったら、プログラム次の曲に移っていた。「トッカータとフーガ」のトッカータのみを演奏。アグレッシブに畳み掛ける迫力ある演奏だった。
演奏会後半、栗田麻子さんの弾くレーガーのパッサカリアは、バッハの「パッサカリアとフーガ」のテーマに似た旋律をベースにした大聖堂の大伽藍を思わせる壮麗かつ壮大な音楽。懐の深い頼もしさで、弱音から轟くフォルティッシモまで、淀みなくがっしりとした構築を感じる圧巻の演奏。最後に小学生の頃から慣れ親しんだフーガト短調を聴けたのも嬉しかった。佐藤初音さんはストレート感ある音を選び、躍動するバッハを聴かせた。
西洋中世古楽会 藝祭公演
《クラウディオ・モンテヴェルディ生誕450年記念》
~第2ホール~
♪ モンテヴェルディ/4声のミサ曲
♪ モンテヴェルディ/マドリガーレ「ほら、波がさざめき」
♪ モンテヴェルディ/セスティーナ「愛する女の墓に流す恋人の涙」~第1部「灰となった亡骸よ」
♪ カステッロ/ソナタ第3番
♪ モンテヴェルディ/主をほめたたえよ 第3番
モンテヴェルディのアニバーサリー、しかも西洋中世古楽会はこれまでに藝祭で何度も聴いているお気に入りの団体なので是非聴きたいコンサートだった。どうせまた外れるとは思いながらも夫婦で第1希望で抽選に臨んだところ、奥さんが2枚当選。でかした!
プログラムのメインはモンテヴェルディの声楽曲。モンテヴェルディの多様な面を伝えられるようにと、様々なタイプの音楽が紹介された。最初のミサはキリエからアニュスデイまでの全曲演奏。ルネサンススタイルの声楽的ポリフォニーで書かれているように聴こえる音楽は、滑らかで敬虔な祈りを伝えてきた。変化は少ない印象のなかでも、「精霊により処女マリアより肉を受け」の場面では静謐な空気に支配され、「十字架にかけられ」は、歌から痛みが伝わるなど、言葉に沿って作曲されていることを実感した。
次の2曲のマドリガーレやセスティーナになると、音楽は俄然エモーショナルに訴えてきた。配布されたパンフやMCでも説明があったが、ミサとは全く別のアプローチでアクティブに心情を吐露してくる。メンバーの生き生きとした躍動感、感情の高ぶりに沿った声の張りと輝きも素晴らしい。
そして再び宗教曲のモテットは、紹介された通り宗教作品でありながら世俗的で官能的で生命力に溢れた音楽。14人が気持ちを寄せ合って、神様を身近な存在として讃える表現に、歓びと親しみを覚えた。ソプラノソロの高音域の、心を震わせるようなメリスマも見事だった。
このグループには声楽科のメンバーは2人だけとのことだが、取り上げる音楽の歴史的な位置づけや特徴をキチンと研究し、更に言葉に共感を持って大切に伝えてくる姿勢から、説得力のある演奏が生まれるのだろう。現在の五線譜ではなく、まだ記譜法が確立されていない当時のオリジナル譜を使用する姿勢も、生きた演奏を生むことに貢献しているのだろう。馴染み深いというほどではないモンテヴェルディの音楽の様々な魅力を、限られた時間で最大限堪能することができた。
またプログラム中、1曲だけ挿入された器楽曲は、モンテヴェルディと同門というカステッロの作品。ここではMCでテオルボやコルネットといった珍しい当時の楽器を面白く紹介し、学生達は主専攻の楽器を手に、快活で躍動感溢れる演奏を楽しそうに聴かせてくれた。
Choral Works for Summer
~第2ホール~
Ⅰ夏を描く合唱曲たち
♪ 松下耕/今、ここに
♪ 木下牧子/にじいろの魚
♪ 上田真樹/海の4あなたの
♪ 三善 晃/麦藁帽子
Ⅱ信長貴富/無伴奏混声合唱小品集「雲は雲のままに流れ」より
♪ たっけだっけの歌
♪ 青空
♪ 逝く夏の歌
♪ それじゃ
アンコール:松下耕/夕焼け
声楽科を中心に、一部他学科の学生も加わった合唱団による「夏」にちなんだ日本の合唱曲のコンサート。新しさの中にどこか懐かしい、心温まる曲目が並んだ。
声楽科の学生というと、合唱でも自分の美声や声の張りを競うような演奏になってしまうこともあるが、この合唱では心と声を互いに合わせ、美しく透明感のあるハーモニーを生み出し、心が洗われるよう。歌詞を丁寧に発音して、自分の言葉として語りかけてくる姿勢からは、柔らかな詩情が伝わって来て心に沁みた。
とりわけ女声のハーモニーは高級シルクのように優美で聴き惚れてしまった。女声合唱の三善作品、良かった~! アンコールも含め、日本の歌の「やさしさ、おいしさ」をたっぷりと味わうことができた。
D年オーケストラの祭典!
Yオーケストラ
~奏楽堂~
♪ ブラームス/交響曲第4番ホ短調Op.98
合唱コンサートのあと、奏楽堂に駆けつけてオケのコンサートの後半を聴いた(前半では組曲「アルルの女」を演奏)。D年オケは学部2年生から成るオーケストラ。腕達者で若さ溢れる学生達が選んだのは渋いブラ4。これを「聴かせる」のはタイヘンかもしれないが、フレッシュなパワーにみなぎる演奏をすれば、この曲の別の魅了を聴けるかも、と期待。
山下紘生さん指揮するD年オケは、実際第3楽章やフィナーレ終盤などで、アグレッシブに全身全霊でぶつかってくるシーンもあるにはあったが、やっぱりこの曲の味わい深さを表現するのは難しいなぁと感じた。フレーズの表情が乏しくて音を置きに行っていると感じることが多く、表情豊かな歌を聴かせても、それが次へと繋がらず、全体の中の役割が見えない。ただ、深い表現力が必要な曲に挑戦したことは、学生達にとって大切な修行にもなり、学ぶことは多いはず。これを糧に、今後の飛躍と深化を期待したい。
藝祭2017タイトルページへ
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さびしいみすゞ、かなしいみすゞ ~金子みすゞの詩による歌曲集~
拡散希望記事!STOP!エスカレーターの片側空け