11月7日(日)鶴原裕子(Pf◇◆)/旭 潔(Bar◆) デュオ リサイタル
川越西文化会館(メルト)
【曲目】
◇スカルラッティ/ソナタ ホ長調 k.531
◇スカルラッティ/ソナタ ト長調 k.455
◇ショパン/マズルカ ロ短調 op.30-2
◇ショパン/マズルカ イ短調 op.17-4
◇ショパン/マズルカ 二長調 op.33-3
◇リスト/ペトラルカのソネット第104番
◇リスト/ラ・カンパネラ
♪♪♪
◆杉山長谷夫/出船(勝田香月)
◆本居長世/白月(三木露風)
◆滝 廉太郎/荒城の月(土井晩翠)
◆高島 豊/花屋の爺さん(金子みすゞ)
◆小林秀雄/落葉松(野上 彰勝)
◆レンディーネ/望郷
◆ファルヴァオ/君に告げてよ
◆ラーマ/静かなる歌い手
【アンコール】
◆古関裕而/白鳥の歌(若山牧水)
ピアニストの鶴原裕子さんと、バリトン歌手の旭潔さんのデュオリサイタルは、プログラム前半が鶴原さんのピアノソロ、後半では鶴原さんは伴奏にまわり、旭さんによる歌の演奏という構成。
前半、鶴原さんのソロ、スカルラッティでは性格の異なる2つの作品を、ペダリングを効果的に使って弾き分け、ショパンでは、心のなかの熱い歌や叫びを素直に表出し、リストはピアニスティックで輝きのある音色を響かせ、3人の作曲家の音楽をそれぞれに楽しむことができた。
後半の旭さんによる日本歌曲とカンツォーネによるプログラムでは、どの曲も心にジーンと響く本物の歌を堪能した。いつもながらの、ちょっぴりおどけたトークでは、しきりに声の調子が良くないことを訴えていらしたが、不調が気になることはなかったし、歌の真髄は何の不足もなく心に届いてきた。旭さんの磨かれた声は、ホールいっぱいに朗々と響き渡る豊かな声量と、声にも表現にも、常に一点を見据え、凝縮された集中力があり、聴く者の心を捉え続ける。歌い手の心からのメッセージがストレートに聴き手の心に届いてくる。日本歌曲とイタリア・カンツォーネという、一見性格の異なる曲の組み合わせで、何の違和感もなく一貫性を持って、ひとつのステージを作り上げることができるのは、表面的な違いを越えて、作品たちの真のメッセージを伝えていることの証しと言えよう。
拙作の「花屋の爺さん」を3月のサロンコンサートに続きプログラムに入れてくださり、「花屋の爺さん」の孤独感、寂しさ、自分が育て、売った花への愛情を切々と、そして時に熱く歌い上げ、手前味噌だが、聴き入っているうちに胸が熱くなってきたのは、ひとえに旭さんの名唱のおかげ。そして鶴原さんのビアノ伴奏も、柔らかく、歌のひだに入り込むようなニュアンスに富んだ表情で、みすゞが伝えようとしたであろう寂寥感と愛情を表現してくださった。この曲に限らず、鶴原さんのビアノ伴奏は歌の中身を汲み取り、旭さんの歌に寄り添っていた。
大変充実した、内容の濃いリサイタル、会場にはアンコールを求める手拍子が続き、お客さんは皆とても満足している様子だった。
来年の4月、旭さんとお弟子さんとで、「花屋の爺さん」を始め、「積もった雪」や「山ざくら」など、みすゞの詩に作曲した拙作を演奏してくださることを終演後にうかがった。とても楽しみであり、嬉しく有難いことである。
「金子みすゞの歌曲」を試聴する
川越西文化会館(メルト)
【曲目】
◇スカルラッティ/ソナタ ホ長調 k.531
◇スカルラッティ/ソナタ ト長調 k.455
◇ショパン/マズルカ ロ短調 op.30-2
◇ショパン/マズルカ イ短調 op.17-4
◇ショパン/マズルカ 二長調 op.33-3
◇リスト/ペトラルカのソネット第104番
◇リスト/ラ・カンパネラ
◆杉山長谷夫/出船(勝田香月)
◆本居長世/白月(三木露風)
◆滝 廉太郎/荒城の月(土井晩翠)
◆高島 豊/花屋の爺さん(金子みすゞ)
◆小林秀雄/落葉松(野上 彰勝)
◆レンディーネ/望郷
◆ファルヴァオ/君に告げてよ
◆ラーマ/静かなる歌い手
【アンコール】
◆古関裕而/白鳥の歌(若山牧水)
ピアニストの鶴原裕子さんと、バリトン歌手の旭潔さんのデュオリサイタルは、プログラム前半が鶴原さんのピアノソロ、後半では鶴原さんは伴奏にまわり、旭さんによる歌の演奏という構成。
前半、鶴原さんのソロ、スカルラッティでは性格の異なる2つの作品を、ペダリングを効果的に使って弾き分け、ショパンでは、心のなかの熱い歌や叫びを素直に表出し、リストはピアニスティックで輝きのある音色を響かせ、3人の作曲家の音楽をそれぞれに楽しむことができた。
後半の旭さんによる日本歌曲とカンツォーネによるプログラムでは、どの曲も心にジーンと響く本物の歌を堪能した。いつもながらの、ちょっぴりおどけたトークでは、しきりに声の調子が良くないことを訴えていらしたが、不調が気になることはなかったし、歌の真髄は何の不足もなく心に届いてきた。旭さんの磨かれた声は、ホールいっぱいに朗々と響き渡る豊かな声量と、声にも表現にも、常に一点を見据え、凝縮された集中力があり、聴く者の心を捉え続ける。歌い手の心からのメッセージがストレートに聴き手の心に届いてくる。日本歌曲とイタリア・カンツォーネという、一見性格の異なる曲の組み合わせで、何の違和感もなく一貫性を持って、ひとつのステージを作り上げることができるのは、表面的な違いを越えて、作品たちの真のメッセージを伝えていることの証しと言えよう。
拙作の「花屋の爺さん」を3月のサロンコンサートに続きプログラムに入れてくださり、「花屋の爺さん」の孤独感、寂しさ、自分が育て、売った花への愛情を切々と、そして時に熱く歌い上げ、手前味噌だが、聴き入っているうちに胸が熱くなってきたのは、ひとえに旭さんの名唱のおかげ。そして鶴原さんのビアノ伴奏も、柔らかく、歌のひだに入り込むようなニュアンスに富んだ表情で、みすゞが伝えようとしたであろう寂寥感と愛情を表現してくださった。この曲に限らず、鶴原さんのビアノ伴奏は歌の中身を汲み取り、旭さんの歌に寄り添っていた。
大変充実した、内容の濃いリサイタル、会場にはアンコールを求める手拍子が続き、お客さんは皆とても満足している様子だった。
来年の4月、旭さんとお弟子さんとで、「花屋の爺さん」を始め、「積もった雪」や「山ざくら」など、みすゞの詩に作曲した拙作を演奏してくださることを終演後にうかがった。とても楽しみであり、嬉しく有難いことである。
「金子みすゞの歌曲」を試聴する