2010年11月6日(土)アンドレ・プレヴィン指揮 NHK交響楽団
《NHK音楽祭 2010》 NHKホール
【曲目】
1. ブラームス/交響曲 第3番 ヘ長調 Op.90
2.ブラームス/交響曲 第4番 ホ短調 Op.98
NHK音楽祭のN響公演にプレヴィンが登場。巨大なNHKホールは3階席の最上段までびっしりの超満員。昨年のプレヴィンの客演公演はちょっと元気がなかったので、期待半分に不安半分というところだったが、今回の公演でも元気な演奏は聴けなかった。
元気な演奏と言ってもプレヴィン/N響の演奏に期待するのは、文字通りの元気いっぱいの演奏ではないが、生命力に溢れた瑞々しさとか、極上の繊細なニュアンスを今日の演奏から感じとることはなかった。
ブラームスの3番は、本来派手な音楽ではないが、艶やかで瑞々しい魅力がある。けれどプレヴィンのアプローチは「静」と「動」に分けると、常に「静」。とりわけ第2、第3楽章は「静」に支配されていた。天上的な美しい世界を感じたと言いたいところだが、そうしたプレヴィンならではの魅力を感じるまでには至らなかった。
後半の第4シンフォニーも基本路線は変わらない。出だしの「ため息のモチーフ」が、迷うように入り、静々と進んで行く様は、和服を纏って擦り足で歩いているのを見ているような感覚。能の舞いのような凝縮された美が伝わって来そうにも感じたが、N響にしては珍しく、木管アンサンブルにちょっとデリカシーのなさを感じたり、ホルンやトロンボーンの乱れが気になったりして、そうした高次元の世界へ運んでくれない。そう言えば、松崎さんのホルンはもう聴けないんだな… 横川さん(クラ)と松崎さんの退団によるN響の損失は計り知れないほどに大きく感じる。定年だから仕方ないが… 結局は、プレヴィン的な「美」にも盛り上がりにも欠けたまま終演となった。
相思相愛と言われたプレヴィンとN響は、これまで数々の心に残る名演を届けてくれたが、どうしたと言うのだろうか。プレヴィンとN響の間に微妙な心の齟齬が生じたのか、或いは、プレヴィンが単に衰えてしまったのだろうか。おぼつかない足取りで、万雷の拍手のなか、舞台の袖とステージを行き来するプレヴィンと、それを暖かく見守るN響団員の姿を見て、1回券を買ってある来週の定期こそまた素晴らしい演奏会を聴けますようにと、祈る気持ちで会場を後にした。
プレヴィン/N響 2009年10月B定期
プレヴィン/N響 2007年9月B定期
プレヴィン/N響 2007年9月A定期
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《NHK音楽祭 2010》 NHKホール
【曲目】
1. ブラームス/交響曲 第3番 ヘ長調 Op.90
2.ブラームス/交響曲 第4番 ホ短調 Op.98
NHK音楽祭のN響公演にプレヴィンが登場。巨大なNHKホールは3階席の最上段までびっしりの超満員。昨年のプレヴィンの客演公演はちょっと元気がなかったので、期待半分に不安半分というところだったが、今回の公演でも元気な演奏は聴けなかった。
元気な演奏と言ってもプレヴィン/N響の演奏に期待するのは、文字通りの元気いっぱいの演奏ではないが、生命力に溢れた瑞々しさとか、極上の繊細なニュアンスを今日の演奏から感じとることはなかった。
ブラームスの3番は、本来派手な音楽ではないが、艶やかで瑞々しい魅力がある。けれどプレヴィンのアプローチは「静」と「動」に分けると、常に「静」。とりわけ第2、第3楽章は「静」に支配されていた。天上的な美しい世界を感じたと言いたいところだが、そうしたプレヴィンならではの魅力を感じるまでには至らなかった。
後半の第4シンフォニーも基本路線は変わらない。出だしの「ため息のモチーフ」が、迷うように入り、静々と進んで行く様は、和服を纏って擦り足で歩いているのを見ているような感覚。能の舞いのような凝縮された美が伝わって来そうにも感じたが、N響にしては珍しく、木管アンサンブルにちょっとデリカシーのなさを感じたり、ホルンやトロンボーンの乱れが気になったりして、そうした高次元の世界へ運んでくれない。そう言えば、松崎さんのホルンはもう聴けないんだな… 横川さん(クラ)と松崎さんの退団によるN響の損失は計り知れないほどに大きく感じる。定年だから仕方ないが… 結局は、プレヴィン的な「美」にも盛り上がりにも欠けたまま終演となった。
相思相愛と言われたプレヴィンとN響は、これまで数々の心に残る名演を届けてくれたが、どうしたと言うのだろうか。プレヴィンとN響の間に微妙な心の齟齬が生じたのか、或いは、プレヴィンが単に衰えてしまったのだろうか。おぼつかない足取りで、万雷の拍手のなか、舞台の袖とステージを行き来するプレヴィンと、それを暖かく見守るN響団員の姿を見て、1回券を買ってある来週の定期こそまた素晴らしい演奏会を聴けますようにと、祈る気持ちで会場を後にした。
プレヴィン/N響 2009年10月B定期
プレヴィン/N響 2007年9月B定期
プレヴィン/N響 2007年9月A定期
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大好きなブラームスの3番と4番を一緒にやってくれるというので、大嫌いなNHKホールに行きました。2階席の後ろの方でした。
案の定全く演奏に入り込めなくて、マゼールの指揮で涙がこぼれたこともある3番に特に隙間風が吹いていました。特に木管が、、、
ところがちょっと皆さんの反応を探ってみましたら、素晴らしい演奏だった、というコメントばかり。
私の耳がおかしかったのかしら、とちょっと不安に思っておりましたらこちらで、その通り!というご感想に出会えて、うれしくて足跡を残してしてしまいました。
失礼いたしました。
松崎さんの退団、信じたくありませんが、「フィルハーモニー10月号」の38ページに、ヴィオラの田淵さんと共に退団のお知らせが出ています。「これがN響で松崎さんのホルンを聴ける最後の演奏会」というものを認識することなく、松崎さんはお辞めになってしまいました…せめてこの場で、松崎さんの長年の素晴らしいホルンに心から感謝したいと思います。
昨夜、あのすごいブラボーと拍手を送った人達は、きっと心から感動していたはず。決して悪い演奏ではなかったのかも知れませんが、でもプレヴィン/N響の最良の演奏は、絶対こんなもんじゃない!と思っています。それにまた出逢いたくて、これからも通ってしまうことでしょう。
一昨日、書き込みした時はN響のHPのメンバー表にお名前がのっていましたが、今見ましたら、消えていました。N響事務局の方も、facciamo la musica!を見ていらっしゃるんですね