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上原ひろみ  ザ・ピアノ・クインテット「シルヴァー・ライニング・スイート」

2021年12月30日 |  pocknのコンサート感想録2021
12月27日(月)
"SILVER LINING SUITE" 上原ひろみ ~ザ・ピアノ・クインテット~

ピアノ:上原ひろみ/ヴァイオリン:西江辰郎、ビルマン聡平/ヴィオラ:中恵菜/チェロ:向井航

オーチャードホール


セットリスト
SOMEDAY
SILVER LINING SUITE

 Isolation
 The Unknown
 Drifters
 Fortitude
UNCERTAINTY
JUMP START
11:49PM
《アンコール》
MOONLIGHT SUNSHINE
RIBERA DEL DUERO


昨年末のブルーノート東京でのライブに心底ほれ込んだ上原ひろみとストリングの精鋭4人によるピアノクインテット、今年は年末にかけて全国ツアーが行われ、千秋楽前夜の公演のチケットを運よく手に入れることが出来た!

去年ヒロミがこのユニットのために書き下ろした「シルバー・ライニング・スイート」を中心に、あらゆる音楽シーンを網羅した多彩でエキサイティングで、心に沁みる演奏を繰り広げた。元々MCは多くないヒロミだが、1曲目の後はアンコールの前までMCなしのぶっ通しの演奏。曲が進めば進むほど大きなオーチャードホールが熱くなり、親密なプライベート空間にいるような気分になった。

冒頭の「サムデイ」から5人の魅力が満載で心を鷲づかみして、次は「シルバー・ライニング」。昨年ブルーノート東京で初めて聴き、CDでもよく聴いているお気に入りの曲だが、「一期一会の、今ここでしか実現しない演奏を楽しんでください」というヒロミの言葉通り、また異なる新しい風が送り込まれた。それは、ライブならではの即興で新たなテイストが楽しめることもそうだし、もっと全体を俯瞰したところで進化と深化を感じた。「コロナなんかに負けるものか」という思いで書いたという組曲が、闘いの次元を凌駕した大きさと深さ、それに加えて世界への愛や包容力まで伝わってきた。

ヒロミのピアノはこの曲に限らず常に一つ一つの音に命が宿り、エネルギーに満ち溢れ、自由自在に飛び回る。繊細に宙を浮遊していたかと思えば、パワー全開でどこまで連れて行かれるかと思うような異次元を体験させてくれる。研ぎ澄まされた音の美しさや多彩さも例えようがない。

そんな天才、上原ひろみとコロナ禍のなかで共演を始め、CDまでリリースした4人の弦のメンバーは、存在感とノリの良さ、舌を巻くパフォーマンスで、このユニットでしか実現できない一期一会の演奏を繰り広げた。

西江さんのヴァイオリンは果敢でアグレッシブ、獲物を狙う猛獣のような凄みすら感じた。ビルマンさんのセカンドヴァイオリンは影の立役者を演じ、アンサンブルに奥行きと陰影を与えた。ヴィオラの中さんは、チェロを思わせるたっぷりとした懐が深くて渋い歌で魅了した。そしてチェロの向井さん、ベースより雄弁ではと思うほど、低音の抜群のリズムとノリがカッコ良すぎ。ピッチカートから弓を使ったアルコに転じれば、アクロバティックなパフォーマンスで主役に躍り出る。

こんな5人のパフォーマンスは、何かが乗り移ったような、何かに突き動かされているようなパッションが弾ける。最後の「11:49PM」ではストリングスによる穏やかな歌を優しくサポートしていたヒロミのピアノが、終盤で火山の噴火のように炸裂して暴れまくり。凄すぎるエンディングで大きな手拍子が続くなか、調律師が出てきてチューニング。アンコールのために調律を求めるヒロミのプロ精神!手拍子が続く。

そして白のコスチュームに着替えたヒロミのトーク。「ツアーは12回あるので、アンコールでは4人の弦のメンバーそれぞれと3回ずつデュオを披露する」という趣向で、今夜の出番はビルマンさん。「常にメンバーの演奏に気を配り、陰に陽にアンサンブルの橋渡しの役目をこなす」と称賛し、私生活でも同様の気配りをすると紹介されたビルマンさんもヒロミのことを絶賛。良いことを沢山言ってたけれど、その後のグッズの宣伝トークのインパクトが強すぎて何を話したか忘れてしまった。。。そのおかげでTシャツ買ってもうた!

2人の「ムーンライト・サンシャイン」、ビルマンさんの甘美に歌うヴァイオリンのロマンチックなこと、そこに合わせるヒロミのピアノは、まるで暖かな空気が絡みつくように優しく優しく虹色の影を添えた。

次はフルメンバーで「リベラ・デル・ドゥエロ」。一転して全員が弾けまくり、エキサイトの頂点を極めた。僕らも一斉のスタンディングオベーションに加わり、素晴らしすぎるライブを讃えた。本当に凄いライブだった。

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