8月24日(日)山下一史指揮 東京ジュニアオーケストラソサエティ
杉並公会堂
【曲目】
1.ヴェルディ/歌劇「運命の力」序曲
2.グノー/歌劇「ファウスト」よりバレエ音楽
3. リムスキー=コルサコフ/交響組曲「シェヘラザード」
【アンコール】
ハチャトリアン/組曲「ガイーヌ」から(?景気のいい曲)→「レスギンカ」
音楽仲間のisseiさんがこの演奏会のために上京、お誘いを受けて出掛けた久しぶりのコンサート。東京ジュニアオーケストラソサエティは1996年にN響コンサートマスターのマロさん(篠崎史紀さん)の呼びかけで結成された9~20歳までの子供たち(青年たち)によるオーケストラ。マロさんを始め、超一流のオーケストラプレーヤーをトレーナーに迎えている。オーケストラに入るためのオーディションは行われるが、「上手に演奏できる」ことよりも「仲間と一緒に素敵な音楽を作って行きたい」という「やる気」が重視されるとのこと。
とは言え、きっとレベルの高いオーディションを通って来たやる気のある子供達の演奏は想像していた通りにうまかった。「運命の力」での大地をえぐるようなエネルギッシュな弦の冒頭モチーフや、グノーでのエレガントな舞曲もよかったが、予想を超えて更に素晴らしかったのは「シェヘラザード」。
力強く厳粛な金管のユニゾンに続いて現れた優美で妖艶で、哀愁を帯びたソロ・ヴァイオリンが入った瞬間からステージ上に漂う空気が美しい色に染まり、それが会場全体へと広がるのを感じた。それほどにコンサートミストレスの青木尚佳さんのヴァイオリンは一身にスポットライトが当たっているかのような孤高の魅力を放っていた。軟らかく滑らかなボーイング、自然で大きな息遣い、体温を感じる温かで美しく濃密な音色… 青木さんはソリストに求められる要素の数々を高次元で備えている。
そんな「語り」に導かれて始まったオーケストラによる「シェヘラザード」の物語はヴァイオリンが染めた空気をそのままの色で引き継いで、熱っぽく、雄弁に物語り始めた。
大きくうねる弦に木管が絡みつき、金管が鮮やかな光を照らす。リムスキー=コルサコフのオーケストレーションの魅力がサウンド的にだけでなく、高いテンションと熱いハートで迫ってくる。木管が少々荒削りだったり危なっかしかったりするところもあったが、無難にこなすよりも積極的に挑む子供達の意気込みが伝わってむしろ好感が持てた。
どの楽章もそれぞれの楽曲の特徴を捉え、ドラマティックな場面でもロマンティックな場面でも「上手に合わせる」というレベルを遥かに超え、それぞれの明確な「色」を描き出していた。これは子供達がこの音楽を消化し、心から共感し、何をどう表現するかをはっきりとイメージできていることの証しで、子供達の「一緒に音楽をやりたい」という気持ちをここまで高めて行ったマロさんを始めとするトレーナー、そしてそれを1つにまとめ上げた指揮者の山下氏の熱意と力の賜物だろう。
NPO「オーケストラ創造」を設立し山下氏とも懇意にしているisseiさんのおかげで、演奏会のあとうまい焼肉屋で山下さんからいろいろお話を伺うことができた。山下さんは、子供達の多くがプロを目差しているわけではないのに、ここまでやれることの素晴らしさを説いていらっしゃった。こんな素敵な体験ができる子供達はきっとこれから色々な方面で豊かな心を育んでいくだろうし、音楽の素晴らしさを多くの人達に伝えてゆく役割も担ってくれるだろう。プロを目差している子供達にはなおのこと、個人レッスンに明け暮れるだけでなく、できるだけ早い時期にこうした大きくて素敵な世界を体験してもらいたいものだ。
杉並公会堂
【曲目】
1.ヴェルディ/歌劇「運命の力」序曲
2.グノー/歌劇「ファウスト」よりバレエ音楽
3. リムスキー=コルサコフ/交響組曲「シェヘラザード」
【アンコール】
ハチャトリアン/組曲「ガイーヌ」から(?景気のいい曲)→「レスギンカ」
音楽仲間のisseiさんがこの演奏会のために上京、お誘いを受けて出掛けた久しぶりのコンサート。東京ジュニアオーケストラソサエティは1996年にN響コンサートマスターのマロさん(篠崎史紀さん)の呼びかけで結成された9~20歳までの子供たち(青年たち)によるオーケストラ。マロさんを始め、超一流のオーケストラプレーヤーをトレーナーに迎えている。オーケストラに入るためのオーディションは行われるが、「上手に演奏できる」ことよりも「仲間と一緒に素敵な音楽を作って行きたい」という「やる気」が重視されるとのこと。
とは言え、きっとレベルの高いオーディションを通って来たやる気のある子供達の演奏は想像していた通りにうまかった。「運命の力」での大地をえぐるようなエネルギッシュな弦の冒頭モチーフや、グノーでのエレガントな舞曲もよかったが、予想を超えて更に素晴らしかったのは「シェヘラザード」。
力強く厳粛な金管のユニゾンに続いて現れた優美で妖艶で、哀愁を帯びたソロ・ヴァイオリンが入った瞬間からステージ上に漂う空気が美しい色に染まり、それが会場全体へと広がるのを感じた。それほどにコンサートミストレスの青木尚佳さんのヴァイオリンは一身にスポットライトが当たっているかのような孤高の魅力を放っていた。軟らかく滑らかなボーイング、自然で大きな息遣い、体温を感じる温かで美しく濃密な音色… 青木さんはソリストに求められる要素の数々を高次元で備えている。
そんな「語り」に導かれて始まったオーケストラによる「シェヘラザード」の物語はヴァイオリンが染めた空気をそのままの色で引き継いで、熱っぽく、雄弁に物語り始めた。
大きくうねる弦に木管が絡みつき、金管が鮮やかな光を照らす。リムスキー=コルサコフのオーケストレーションの魅力がサウンド的にだけでなく、高いテンションと熱いハートで迫ってくる。木管が少々荒削りだったり危なっかしかったりするところもあったが、無難にこなすよりも積極的に挑む子供達の意気込みが伝わってむしろ好感が持てた。
どの楽章もそれぞれの楽曲の特徴を捉え、ドラマティックな場面でもロマンティックな場面でも「上手に合わせる」というレベルを遥かに超え、それぞれの明確な「色」を描き出していた。これは子供達がこの音楽を消化し、心から共感し、何をどう表現するかをはっきりとイメージできていることの証しで、子供達の「一緒に音楽をやりたい」という気持ちをここまで高めて行ったマロさんを始めとするトレーナー、そしてそれを1つにまとめ上げた指揮者の山下氏の熱意と力の賜物だろう。
NPO「オーケストラ創造」を設立し山下氏とも懇意にしているisseiさんのおかげで、演奏会のあとうまい焼肉屋で山下さんからいろいろお話を伺うことができた。山下さんは、子供達の多くがプロを目差しているわけではないのに、ここまでやれることの素晴らしさを説いていらっしゃった。こんな素敵な体験ができる子供達はきっとこれから色々な方面で豊かな心を育んでいくだろうし、音楽の素晴らしさを多くの人達に伝えてゆく役割も担ってくれるだろう。プロを目差している子供達にはなおのこと、個人レッスンに明け暮れるだけでなく、できるだけ早い時期にこうした大きくて素敵な世界を体験してもらいたいものだ。
アンコール曲は「レスギンカ」だそうです。
「シェヘラザード」の後にですから、若い力ってすごいですね。