11月21日(金)チョン・ミョンフン指揮 東京フィルハーモニー交響楽団
《東京オペラシティ定期シリーズ》 東京オペラシティコンサートホール タケミツメモリアル
【曲目】
1.ルトスワフスキ/ピアノ協奏曲 ~クリスチャン・ツィメルマンに捧ぐ![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/star.gif)
【アンコール】
???![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/star.gif)
Pf:クリスチャン・ツィメルマン
2.マーラー/交響曲第4番ト長調
S:森 麻季
今や大家とも言えるポーランドのピアニスト、ツィメルマンのために同じポーランドの作曲家、ルトスワフスキが書いたピアノコンチェルトをツィメルマン自身のピアノ、そしてミョンフンの指揮で聴けるという滅多に… というか日本でこの先お目にかかれるかわからないような願ってもない組み合わせによる貴重な演目。その演奏は繊細にしてかつエモーショナル、天上的な美しさと土着的なエネルギーが同居する実に中身の濃い充実したものだった。
その一番の立役者はやはりピアニストのツィメルマンだろう。全ての音に細やかな神経が行き渡り集中力がみなぎっている。打てば響く明晰さも、内面から湧き出る熟成された情感も併せ持ち、この曲の様々な表情を的確に描き出しつつ統一感のある演奏を聴かせてくれた。
この曲は無調で書かれチャンスオペレーション的な要素も取り入れられていながら、全体は古典的な枠組みの中で構成されているように聴こえるが、ツィメルマンのアプローチはそうした構成感を重んじ、一本筋の通った揺るぎのない大きな存在を感じさせてくれた。
ミョンフン指揮東フィルは緊張感を保ちつつも活き活きとしてしなやかな演奏で、決めるところもしっかり決めてコンチェルトのおもしろさ、魅力を引き立てていた。
鳴り止まぬ拍手に応えて弾いたアンコールはサティ風に静かに始まり、ドビュッシーの「沈める寺」のような盛り上がりを見せ、また最初の静かな佇まいが戻ってくるとても印象的な曲。これもこれ見よがし的なところが微塵もなく、全曲を貫く高い精神性が感じられるまさに大家の演奏。帰りに曲名を係りの人に尋ねたところ「ツィメルマンが敢えて曲名には触れたくない」とのこと。もしかして自作曲?
後半のマーラーはちょっと期待はずれ。まずミョンフンがこの曲を天上的に美しく表現したいのか、或いは表情たっぷりに官能的に歌いたいのかがわからない。オーケストラは健闘してはいたが、研ぎ澄まされた感覚でもっと空気を敏感に読み取って細やかに反応してもらいたいし、やっぱりこの曲からは水も滴るような魅力的な「歌」を聴かせてもらいたかった。
《東京オペラシティ定期シリーズ》 東京オペラシティコンサートホール タケミツメモリアル
【曲目】
1.ルトスワフスキ/ピアノ協奏曲 ~クリスチャン・ツィメルマンに捧ぐ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/star.gif)
【アンコール】
???
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/star.gif)
Pf:クリスチャン・ツィメルマン
2.マーラー/交響曲第4番ト長調
S:森 麻季
今や大家とも言えるポーランドのピアニスト、ツィメルマンのために同じポーランドの作曲家、ルトスワフスキが書いたピアノコンチェルトをツィメルマン自身のピアノ、そしてミョンフンの指揮で聴けるという滅多に… というか日本でこの先お目にかかれるかわからないような願ってもない組み合わせによる貴重な演目。その演奏は繊細にしてかつエモーショナル、天上的な美しさと土着的なエネルギーが同居する実に中身の濃い充実したものだった。
その一番の立役者はやはりピアニストのツィメルマンだろう。全ての音に細やかな神経が行き渡り集中力がみなぎっている。打てば響く明晰さも、内面から湧き出る熟成された情感も併せ持ち、この曲の様々な表情を的確に描き出しつつ統一感のある演奏を聴かせてくれた。
この曲は無調で書かれチャンスオペレーション的な要素も取り入れられていながら、全体は古典的な枠組みの中で構成されているように聴こえるが、ツィメルマンのアプローチはそうした構成感を重んじ、一本筋の通った揺るぎのない大きな存在を感じさせてくれた。
ミョンフン指揮東フィルは緊張感を保ちつつも活き活きとしてしなやかな演奏で、決めるところもしっかり決めてコンチェルトのおもしろさ、魅力を引き立てていた。
鳴り止まぬ拍手に応えて弾いたアンコールはサティ風に静かに始まり、ドビュッシーの「沈める寺」のような盛り上がりを見せ、また最初の静かな佇まいが戻ってくるとても印象的な曲。これもこれ見よがし的なところが微塵もなく、全曲を貫く高い精神性が感じられるまさに大家の演奏。帰りに曲名を係りの人に尋ねたところ「ツィメルマンが敢えて曲名には触れたくない」とのこと。もしかして自作曲?
後半のマーラーはちょっと期待はずれ。まずミョンフンがこの曲を天上的に美しく表現したいのか、或いは表情たっぷりに官能的に歌いたいのかがわからない。オーケストラは健闘してはいたが、研ぎ澄まされた感覚でもっと空気を敏感に読み取って細やかに反応してもらいたいし、やっぱりこの曲からは水も滴るような魅力的な「歌」を聴かせてもらいたかった。