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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

ヒロ・クロサキ&リンダ・ニコルソン/モーツァルトのソナタ

2008年03月19日 | pocknのコンサート感想録2008
3月19日(水)ヒロ・クロサキ(バロック・ヴァイオリン)/リンダ・ニコルソン(フォルテピアノ)
~オール・モーツァルト・プログラム~
王子ホール
【曲目】
1. モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ 第35番 ト長調 K379
2. モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ 第41番 変ホ長調 K481
3. モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ 第28番 ホ短調 K304
4. モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ 第40番 変ロ長調 K454
【アンコール】
1. モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ ニ長調 K306~第2楽章
2. モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ ト長調 K301~第2楽章

これまで名前はよく聞いていたが演奏は一度も聴いたことがなかったヒロ・クロサキ。このカタカナ表記や髪を短く刈った風貌から「変わり者」「鬼才」といったイメージを抱いていた。フォルテピアノとの共演でモーツァルトばかりのプログラムではそんなイメージから連想される演奏を期待していたが、演奏はいたってスタンダードだった。

ニコルソンとニコやかにステージに登場。柔らかなタッチのフォルテピアノの響きに導かれ、ヒロ・クロサキのヴァイオリンもとても柔らか。バロック・ヴァイオリンではあるが、普通にヴィヴラートをかけて穏やかにメロディーを奏でる。テンポ、語り口、アーティキュレーション、ディナミーク、どれもが調和が取れている。ニコルソンのフォルテピアノは陰影に富み、上品な歌いまわし。二人の奏でるモーツァルトはサロン的な平和な空気に満ち、王子ホールの雰囲気によく合っている…

でも、ヒロ・クロサキのヴァイオリンは一身に脚光を浴びるようなソリスト的なヴァイオリンではない。きれいな音色ではあるが、どちらかと言えば単調。活き活きとしたフレージングを聴かせてはくれるが、目の覚めるような、あるいはグッと惚れ込むような表現とまではいかない。音は自然に発っせられるが、その発する瞬間に研ぎ澄まされた集中力が凝縮されているとか、優美このうえない語り口というほどではない。

なごやかで中庸な演奏は平和ではあるが、音だけに集中して耳を澄ましていると肩透かしを食らう。こうした演奏はもっとリラックスした気分で聴けば楽しめるのかも知れないが、別のものを期待してやってきた僕としてはやっぱり物足りなさが残る演奏会となった。ヒロさんファンの方、ごめんなさい。

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