1月27日(水)飯森範親指揮 東京交響楽団
~都民芸術フェスティバル~
東京芸術劇場
【曲目】
1.ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 Op.73「皇帝」
Pf:末永 匡
2.ベートーヴェン/交響曲第6番ヘ長調 op.68「田園」
【アンコール】
モーツァルト/ディヴェルティメント ニ長調K.136~第3楽章
今年の家族揃っての都民芸術フェスティバル鑑賞は東響のオーケストラコンサート。
「皇帝」でソロを弾いた末永匡は名前を目にするのも初めてだったが、この若いピアニストは非常に経験豊富なキャリアを思わせる安定感と存在感を示した。
自然に逆らうことなく、泰然自若に弾き進めながら、硬質で輝きのある音で、強音は充実した心地よい重みのある響きを鳴らし、弱音では魂がピタッと体に寄り添うような、心が満たされる音を奏でる。
斜に構えたり奇を衒うところが全くなく、常に真正面から曲に取り組む正攻法なアプローチで、「ここはこんな風に弾いて欲しい」という聴き手の欲求を余すところなく叶えてくれ、その蓄積が揺るぎのない満足感となって行く。飯森指揮東響もそんなピアノにマッチした正攻法ないい演奏を繰り広げたが、切れ味と燃焼度はもうひとつ。東響の実力からすると更に一皮剥けた演奏を期待したかったが、そんな飯森指揮東響が「田園」ではぐんとポイントを上げた。
ピリオド奏法的な音も聴かれた「田園」だったが、デリケートな表現をとても大切にして心から奏でる演奏が素直に心に入ってきた。ベートーヴェンがこの曲の標題性について「絵画と言うよりはむしろ、感情の表現」とコメントしたというのは有名な話だが、自然を慈しむように、柔らかく細やかに奏でられるこうした演奏を聴いていると、本当に田舎に着いたときのうきうきした気分や、自然の中に抱かれたときに感じる満ち満ちた気分が湧き上がってくる。全体を丁寧に描きながらも速めのテンポで通して、躍動感や活力も申し分ない。
弦楽合奏はデリケートな表情を醸し出しながらもとても冴えていたし、曲中活躍するクラリネット、フルート、オーボエ、ファゴット、ホルンといった管楽器の妙技も素晴らしかった。
アンコールは「今日の誕生日で254歳を迎えたモーツァルト」(飯森さんによる紹介)にちなんでディヴェルティメントが濃厚でホットに演奏された。
♪ ♪ ♪
ところで小3の息子もこの大曲を少しでも楽しめるようにと、子供達が大好きな「野わけ」(夏に行く清里の貸し別荘)を引き合いに、にわか作りのお話を聞かせておいた。
楽しそうに話に聞き入っていたし、このお話にぴったりの演奏だと思ったので期待して感想を聞くと、「ややマンゾク」との答え。これでも誉め言葉の部類に入るかな… ちなみに「皇帝」では船を漕いでた娘の感想は「よかったよ」。言葉は貧しいが、きっと心から楽しんだに違いない!ということにしておこう。
~都民芸術フェスティバル~
東京芸術劇場
【曲目】
1.ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 Op.73「皇帝」
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Pf:末永 匡
2.ベートーヴェン/交響曲第6番ヘ長調 op.68「田園」
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【アンコール】
モーツァルト/ディヴェルティメント ニ長調K.136~第3楽章
今年の家族揃っての都民芸術フェスティバル鑑賞は東響のオーケストラコンサート。
「皇帝」でソロを弾いた末永匡は名前を目にするのも初めてだったが、この若いピアニストは非常に経験豊富なキャリアを思わせる安定感と存在感を示した。
自然に逆らうことなく、泰然自若に弾き進めながら、硬質で輝きのある音で、強音は充実した心地よい重みのある響きを鳴らし、弱音では魂がピタッと体に寄り添うような、心が満たされる音を奏でる。
斜に構えたり奇を衒うところが全くなく、常に真正面から曲に取り組む正攻法なアプローチで、「ここはこんな風に弾いて欲しい」という聴き手の欲求を余すところなく叶えてくれ、その蓄積が揺るぎのない満足感となって行く。飯森指揮東響もそんなピアノにマッチした正攻法ないい演奏を繰り広げたが、切れ味と燃焼度はもうひとつ。東響の実力からすると更に一皮剥けた演奏を期待したかったが、そんな飯森指揮東響が「田園」ではぐんとポイントを上げた。
ピリオド奏法的な音も聴かれた「田園」だったが、デリケートな表現をとても大切にして心から奏でる演奏が素直に心に入ってきた。ベートーヴェンがこの曲の標題性について「絵画と言うよりはむしろ、感情の表現」とコメントしたというのは有名な話だが、自然を慈しむように、柔らかく細やかに奏でられるこうした演奏を聴いていると、本当に田舎に着いたときのうきうきした気分や、自然の中に抱かれたときに感じる満ち満ちた気分が湧き上がってくる。全体を丁寧に描きながらも速めのテンポで通して、躍動感や活力も申し分ない。
弦楽合奏はデリケートな表情を醸し出しながらもとても冴えていたし、曲中活躍するクラリネット、フルート、オーボエ、ファゴット、ホルンといった管楽器の妙技も素晴らしかった。
アンコールは「今日の誕生日で254歳を迎えたモーツァルト」(飯森さんによる紹介)にちなんでディヴェルティメントが濃厚でホットに演奏された。
ところで小3の息子もこの大曲を少しでも楽しめるようにと、子供達が大好きな「野わけ」(夏に行く清里の貸し別荘)を引き合いに、にわか作りのお話を聞かせておいた。
ベートーヴェン作曲 交響曲第6番ヘ長調「野わけ」 第1楽章 車がいつもの見慣れた景色の道に入ればもうすぐ大好きな「野わけ」に着く。嬉しいな。「野わけ」に着くとおじちゃん、おばちゃんが笑顔で出迎えてくれた。何して遊ぼうか。楽しみだな。 第2楽章 今日は遠出もしないし、辛い山登りにも行かないので、ゆっくり「野わけ」で過ごせるぞ。鳥が鳴いて、花が咲いて、トンボやチョウもとんでる。絵を描こうかな、畑で野菜採りの手伝いをしようかな、川で石を拾おうかな… 第3楽章 「野わけ」に合宿にきているおにいさん、おねえさん達がお酒を飲んで歌って大騒ぎしてる。花火も始まって火のついた花火を手に持って踊り出した。「ボクもおいで!」とおねえさんに言われた。 第4楽章 一緒に花火をしてたら急に雷が鳴って大粒の雨が降ってきた。急いで家の中に逃げ帰った。ひゃー、びしょびしょになっちゃった。。。窓から外をみると、道が川みたいになってる。すごい。 第5楽章 朝起きたら雨も上がって太陽が照っていた。今日はもう帰る日だ。とうもろこしやインゲンや、野菜をおみやげにどっさりもらった。リンゴジュースも入れてくれた!おじちゃん、おばちゃん、ありがとう。楽しかったよ。来年もまた来るよ! |
楽しそうに話に聞き入っていたし、このお話にぴったりの演奏だと思ったので期待して感想を聞くと、「ややマンゾク」との答え。これでも誉め言葉の部類に入るかな… ちなみに「皇帝」では船を漕いでた娘の感想は「よかったよ」。言葉は貧しいが、きっと心から楽しんだに違いない!ということにしておこう。