10月20日(火)床屋と動物たちの音楽会
~第394回 新宿三井ビルディング「55癒しの指定席」ランチタイムコンサート~
新宿三井ビルLb階ロビー
【曲目】
♪ 山田耕筰/慌て床屋 (Duo)
♪ ロッシーニ/歌劇「セヴィリアの理髪師」~私は街のなんでも屋(A)
♪ ロッシーニ/歌劇「セヴィリアの理髪師」~今の歌声は (Y)
♪ ロッシーニ/歌劇「セヴィリアの理髪師」~偉いもんだ!全て聞いたぞ~それじゃ私なのね(Duo)
♪ ♪ ♪
♪ 木下牧子/ロマンチストの豚 (Duo)
♪ 木下牧子/犬が自分のしっぽを見て歌う歌(Duo)
♪ 高島豊/鯨法会(Y)
♪ 木下牧子/鷗(A)
♪ ロッシーニ/ピアソル/猫の二重唱(Duo)
♪ 武満徹/小さな空(Duo)
【演奏】
MS:吉成文乃/Bar:赤木克行/Pf:新納芳奈
メゾソプラノの吉成文乃さんが、拙作のみすゞの歌曲「鯨法会」を演奏してくださるランチタイムコンサートに出かけた。
三井ビルのランチタイムコンサートは、ビル内の音響のいいロビーを利用して毎週継続して行われている催しで、有望な若手演奏家による1時間ほどの無料コンサート。仕事の昼休みに立ち寄る人達だけでなく、開演の随分前からお年寄りの方々で席はだいぶ埋まっていて、開演時には100席ほどの席はほぼ満席。毎週楽しみに来ている人も多そうだ。「床屋と動物たちの音楽会」ということで、床屋と動物にちなんだ曲が選ばれ、メゾの吉成さんとバリトンの赤木さんが、新納さんのピアノと共に多彩な歌を楽しませてくれた。
吉成さんの歌はこれまでにも聴かせて頂いているが、いつもながら音楽に誠実に向き合う姿勢は好感が持て、品のある表現には一層細やかで柔らかな落ち着いた表情が加わっているように感じた。ロジーナのアリアでは、低音から高音まで滑らかで良い響きを聴かせ、とりわけ美しい伸びと張りのある高音が耳を引いた。また、ロジーナ登場のシーンや「ネコの二重唱」での表情豊かで自然な演技力も、聴き手を歌の世界に引き込むための大切なパフォーマンスとして巧さが光る。
「鯨法会」は全体が温かさに包まれ、言葉を大切にしつつ鯨の悲哀を紡いでいった。最後の音が海の彼方へ遠ざかって行く表現も素晴らしかった。弱音を大切にしながら各声部の音の名残りを印象深く聴かせた新納さんのピアノからも詩情が感じられた。
バリトンの赤木さんはよく通る磨きのかかった美声で鮮やかな切れ味の表現を聴かせてくれた。フィガロの早口なアリアも軽々とこなし、レジェッロな歌い回しで高音へ駆け上る。その高音域での声の輝きはテナーを思わせた。デュオでは、柔らかな色合いの声でバランスよく吉成さんの歌う主旋律を優しく色づけしていた。
このランチタイムコンサート、なんと今回で394回目、ということはもう7~8年も続いていることになる。ここから若い才能を大きく開花させた演奏家も少なくないのでは。固定客も多く、聴衆にも支えられたこうしたコンサートは演奏する側にとっても貴重な機会だ。主催している三井不動産にはこれからも末永く支援して行ってもらいたい。
拡散希望記事!STOP!エスカレーターの片側空け
~第394回 新宿三井ビルディング「55癒しの指定席」ランチタイムコンサート~
新宿三井ビルLb階ロビー
【曲目】
♪ 山田耕筰/慌て床屋 (Duo)
♪ ロッシーニ/歌劇「セヴィリアの理髪師」~私は街のなんでも屋(A)
♪ ロッシーニ/歌劇「セヴィリアの理髪師」~今の歌声は (Y)
♪ ロッシーニ/歌劇「セヴィリアの理髪師」~偉いもんだ!全て聞いたぞ~それじゃ私なのね(Duo)
♪ 木下牧子/ロマンチストの豚 (Duo)
♪ 木下牧子/犬が自分のしっぽを見て歌う歌(Duo)
♪ 高島豊/鯨法会(Y)
♪ 木下牧子/鷗(A)
♪ ロッシーニ/ピアソル/猫の二重唱(Duo)
♪ 武満徹/小さな空(Duo)
【演奏】
MS:吉成文乃/Bar:赤木克行/Pf:新納芳奈
メゾソプラノの吉成文乃さんが、拙作のみすゞの歌曲「鯨法会」を演奏してくださるランチタイムコンサートに出かけた。
三井ビルのランチタイムコンサートは、ビル内の音響のいいロビーを利用して毎週継続して行われている催しで、有望な若手演奏家による1時間ほどの無料コンサート。仕事の昼休みに立ち寄る人達だけでなく、開演の随分前からお年寄りの方々で席はだいぶ埋まっていて、開演時には100席ほどの席はほぼ満席。毎週楽しみに来ている人も多そうだ。「床屋と動物たちの音楽会」ということで、床屋と動物にちなんだ曲が選ばれ、メゾの吉成さんとバリトンの赤木さんが、新納さんのピアノと共に多彩な歌を楽しませてくれた。
吉成さんの歌はこれまでにも聴かせて頂いているが、いつもながら音楽に誠実に向き合う姿勢は好感が持て、品のある表現には一層細やかで柔らかな落ち着いた表情が加わっているように感じた。ロジーナのアリアでは、低音から高音まで滑らかで良い響きを聴かせ、とりわけ美しい伸びと張りのある高音が耳を引いた。また、ロジーナ登場のシーンや「ネコの二重唱」での表情豊かで自然な演技力も、聴き手を歌の世界に引き込むための大切なパフォーマンスとして巧さが光る。
「鯨法会」は全体が温かさに包まれ、言葉を大切にしつつ鯨の悲哀を紡いでいった。最後の音が海の彼方へ遠ざかって行く表現も素晴らしかった。弱音を大切にしながら各声部の音の名残りを印象深く聴かせた新納さんのピアノからも詩情が感じられた。
バリトンの赤木さんはよく通る磨きのかかった美声で鮮やかな切れ味の表現を聴かせてくれた。フィガロの早口なアリアも軽々とこなし、レジェッロな歌い回しで高音へ駆け上る。その高音域での声の輝きはテナーを思わせた。デュオでは、柔らかな色合いの声でバランスよく吉成さんの歌う主旋律を優しく色づけしていた。
このランチタイムコンサート、なんと今回で394回目、ということはもう7~8年も続いていることになる。ここから若い才能を大きく開花させた演奏家も少なくないのでは。固定客も多く、聴衆にも支えられたこうしたコンサートは演奏する側にとっても貴重な機会だ。主催している三井不動産にはこれからも末永く支援して行ってもらいたい。
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