facciamo la musica! & Studium in Deutschland

足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

やっとかめ室内管弦楽団 第11回演奏会

2024年08月14日 | pocknのコンサート感想録2024
8月12日(月)𠮷﨑理乃 指揮 やっとかめ室内管弦楽団
  ~第十一回演奏会~
小金井宮地楽器ホール(大ホール)

【曲目】
1.メンデルスゾーン/序曲「静かな海と楽しい航海」Op.27
2.メンデルスゾーン/交響曲第3番イ短調 Op.56「スコットランド」
3.シベリウス/交響曲第5番変ロ長調 Op.82
【アンコール】
♪ シベリウス/悲しきワルツ Op.44

昨年に続いてやっとかめ室内管弦楽団の演奏会を聴いた。今回も意欲的なプログラム。メンデルスゾーンの「スコットランド」を前半に聴く演奏会は初めてではないだろうか。それにシベリウスの5番とメンデルスゾーンの序曲もなんて凄いプロだ。

演奏もとても立派だった。指揮の𠮷﨑さんは、ファビオ・ルイージの指揮講座で「熱血指導」を受ける様子がNHKで放映されたのを見たばかりの期待の若手指揮者。前半から頼もしい指揮ぶりだった。フレーズをしっかりと明確に捉えて、音楽を大きく構築してゆく様子がよく伺えた。やっとかめはこの指揮に的確に応え、朗々と音を鳴らし、安定感のある能動的な演奏を繰り広げた。

いい音でハイレベルの演奏を聴かせる「上手いアマオケ」なので望みも高くなってしまうが、「静かな海と・・・」の序奏は、静かなだけでなく、波のうねりのような心の揺らぎが欲しく、本編ではメンデルスゾーンならではの迸るワクワク感をもっと伝えて欲しかった。「スコットランド」も、やるべきことをきっちりこなして音を積み上げていく姿勢はいいのだが、例えば第1楽章の始めの方に現れるヴァイオリンの濃厚な歌はもっと熱く歌って欲しいし、第1楽章後半の嵐のような場面ではもっと暴れて欲しい。それでも第2楽章では心浮き立つシーンはあったし、フィナーレの盛り上がりでの底力を感じることはできた。

そんなやっとかめが、後半のシベリウスでは俄然テンションを何段階も上げたようなエキサイティングな演奏で圧倒した。冒頭から熱を帯び、弦のうねりが熱い脈動のようにグワングワンと迫って来て、一気に心を惹きつけた。第1楽章最終盤の一気呵成に攻めるワイルドな演奏にはトリハダ立ちまくり。第2楽章は静かななかに自然の熱い息吹が感じられ、そんな大自然の息吹が第3楽章では大きく全体を包み込み、終盤では団員一人一人の食らいつくような気合いと熱が感動的なクライマックスを作り上げた。武骨にさえ感じられる野性味が大地を揺るがす壮大な世界に、ここでもまたトリハダが!コーダで何度も現れる長い休符が、緊迫を保って更に気分を高めてくれた。

これまで聴いたやっとかめの演奏のなかでも、最も心を惹きつけられた演奏だったし、これまで聴いたシベリウスの5番のなかでも忘れ難い演奏になった。𠮷﨑さんは、おっとりした見た目とは裏腹のワイルドな音楽を作る指揮者だと思った。それに一丸となって応えたやっとかめの大健闘を心から称えたい。

そんな興奮をゆっくりと冷ますような、けれどそれをまた時に煽るようなアンコールの「悲しきワルツ」、そして弦のsoliの静かな締めを聴いたら、𠮷﨑/やっとかめで別のシベリウスも聴いてみたくなってしまった。「やっとかめ」、やっぱりただ者ではない!

やっとかめ室内管弦楽団 第10回演奏会 2023.8.11 杉並公会堂
やっとかめ室内管弦楽団 第6回演奏会 2019.8.12 杉並公会堂
やっとかめ室内管弦楽団 第5回演奏会 2018.6.9 小金井宮地楽器ホール

pocknのコンサート感想録について
拡散希望記事!
コロナ禍とは何だったのか? ~徹底的な検証と総括を求める~
コロナ報道への意見に対する新聞社の残念な対応
やめよう!エスカレーターの片側空け

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 湯浅譲二 95歳の肖像 ~室内... | トップ | ミシェル・プラッソン指揮 東... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

pocknのコンサート感想録2024」カテゴリの最新記事