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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィル(1999/ベルリン・フィルハーモニー)

2014年01月27日 | pocknのコンサート感想録(アーカイブ)
アバドがこの世を去って間もなく1週間。悲しんでばかりいても仕方ないので、前から時間ができたらやろうと思っていた、ブログ開設前の公演で心に残ったものの感想を紹介する「アーカイブス」を始めることにしました。最初に載せるのはもちろんアバドの公演です。全部で6公演分の感想を順次アップします。

pocknのコンサート感想録アーカイブス ~ブログ開設以前の心に残った公演~

1999年 9月6日(月)
クラウディオ・アッバード指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
フィルハーモニー(ベルリン)
○ マーラー/交響曲第9番ニ長調   ☆

 7年ぶりにベルリンのフィルハーモニーでベルリン・フィルを聴いた。指揮もそのときと同じアバド。またまたベルリン・フィルの力に圧倒された。
アバドの棒も冴えてすごい集中力。どんなに音が大量に渦巻いても明晰さを失わなず、それがどんなに高揚して行っても行き止まりを感じさせないダイナミックレンジの広さはすごい。 緊張感と迫力、音の炸裂、鮮やかに飛び散る火花、そして4楽章のこれも集中力と情感溢れる歌! アバドの柔らかくデリケートでほれぼれするような美しい歌が次々と織り成されていくのを聴いているのは本当に幸せを感じる。
 最後の音が鳴り止んだ後も聴衆は物音一つたてず、最後の音の消えた行方をいつまでも追って長い沈黙が続いた。そしてそのあとのものすごい拍手とブラボー。早くもスタンディングオヴェーションが始まり、最後はアバド一人がステージに呼び戻された。
 そうした大喝采の渦中にいて感動を覚えたのは確かなのだが、実はこの演奏の最中の気持ちを思うと「やっぱりよかったんだな」と聴衆の反応を見て認めるところがあった。マーラーのこの交響曲に私が抱いているある種の重苦しさ、深刻さ、そして終楽章では死と隣り合わせのような刹那的な美しさと息が絶えていくような悲しさ、こういったものをこの日の演奏からは感じられなかった。元気がよすぎてきれいすぎる。クリアすぎて明るすぎ・・・ アバド/ベルリン・フィルのここまでの力のこもった、それに歌心もこもった、美しい快演を前にして贅沢な思いかも知れないが、感動しきれなかったというのはやはり事実。 別の場所で聴いていたホシイさんも同じ感想で、妙に話しが合ってしまった。 とは言ってもこれだけの演奏を聴かせてくれたことへはやっぱり聴いてよかったと思う。 これも事実。


当時「ベルリン芸術週間」(Berliner Festwochen)と呼ばれ、毎年9月にベルリンで行われていた音楽祭では毎年テーマが設けられ、そのテーマのもとに様々な公演が行われていた。1999年のテーマは「グスタフ・マーラー全作品」という壮大なもので、1ヶ月の間にマーラーの全作品が演奏された。演奏陣の顔ぶれも垂涎もので、交響曲だけで見ても・・・
1番:マズア指揮ベルリン・フィル
2番:ラトル/ウィーン・フィル
3番:ナガノ/ベルリン・ドイツ交響楽団
4番:シノーポリ/ドレスデン・シュターツカペレ
5番:ヤンソンス/ピッツバーグ交響楽団
6番:ギーレン/SWRバーデンバーデン&フライブルク交響楽団
7番:アバド/グスタフ・マーラー・ユーゲントオーケストラ
8番:ハイティンク/ベルリン・フィル
大地の歌:ウェルザー=メスト/シャロウン・アンサンブル
9番:アバド/ベルリン・フィル
10番(クック版):ラトル/ベルリン・フィル







このなかから、アバドがベルリン・フィルを振った9番と、その翌日にやったラトル指揮ウィーン・フィルの「復活」を聴いた。こうしてプログラムを改めてみると、他にももっと聴いておけばよかったと思う。
この翌年(2000年)もドイツへ行く機会があり、9月にフライブルクでアバド指揮ベルリンフィルがブルックナーの7番を振る演奏会のチケットを買っていたのだが、アバドは病気のために指揮者はハイティンクに、曲もドンキホーテとベートーヴェンの7番に変更になった。この時はアバドが胃がんを患っていたなんて知らなかったが、病気を克服したアバドは更なる高みへと上って行くことになる。(2014.1.26)

アバドが逝ってしまった・・・

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