小澤征爾さんの訃報を機に、このブログを始める前に書いていた小澤征爾指揮の公演の感想から、とりわけ感銘を受けたものの感想をアーカイブで紹介します。
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小澤征爾音楽塾は、ロームの社長だった佐藤研⼀郎と⼩澤征爾がオペラを通じて若い⾳楽家を育成することを⽬的に⽴ち上げた教育プロジェクト。その活動として初めてのオペラ公演を観たわけだが、このプロジェクトは現在まで脈々と継続している。小澤が後半生に並々ならぬ情熱を傾けて取り組んだ若い演奏家を育てる活動が「塾生」たちに与えた影響は計り知れないことだろう。当時の感想では、オケはサイトウキネンのメンバーが中心と書いているが、重鎮のプレイヤーを要所に配しながらもオケの中心はアジアの若い演奏家たちだった。そんな若い息吹が迸るプロジェクトの記念すべき発進の公演となった「フィガロ」が、その後四半世紀近くに渡って大きな花を咲かせて行くのである。
(2024.3.1)
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pocknのコンサート感想録アーカイブス ~ブログ開設以前の心に残った公演~ 2000年 6月 6日(火)小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトⅠ ◎ モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」 (優) (配役)アルマヴィーヴァ伯爵:オラフ・ベーア(Bar) /伯爵夫人:クリスティーン・ゴーキー(S) /スザンナ: サリ・グルーバー(S)/フィガロ:ジェラルド・フィンリー(Bar)/ケルビーノ:ルクサンドラ・ドノーゼ(MS)/マルチェリーナ:ジェディス・クリスティン(S)/バルトロ:ドナート・ディ・ステファーノ(B)/バジーリオ:デニス・ピーターーセン(T)/ドン・クルツィオ:アンソニー・ラチューラ(B)/バルバリーナ:藤田美奈子(S)/アントニオ:ジェームズ・コートニー(B) (演出) デイヴィッド・ニース (装置・衣裳)ザック・ブラウン 小澤征爾 指揮 小沢征爾音楽塾オーケストラ/小沢征爾音楽塾合唱団 東京文化会館 日本での小澤の新たなオペラプロジェクトシリーズの初年度は「フィガロの結婚」。 サイトウキネンのメンバーを中心としたオーケストラ、世界から集まってきた一流の歌手達、美しい舞台装置に説得力のある演出、オペラの上演のための好条件をすべて備えたたいへん充実した公演だった。 どれも素晴らしかった歌手陣の中でも一際映えていたのが、スザンナを歌ったサリ・グルーバー。 彼女はフォッチレが急病のためバルバリーナ役からスザンナに昇格したのだが、これが大当たり。フォッチレがどんなスザンナを歌ったかは知らないが、「グルーバーを聞けて良かった」と思った。 瑞々しくなめらかで伸びのある美声は耳にたいへん心地よく、チャーミングで心優しく聡明なスザンナを堪能した。 他の歌手もみんな粒ぞろい、ベーアの伯爵は育ちの良さが出ていておれ好み、フィンリーのフィガロはよく通る声で表情がくっきりと描き出されて鮮やか、ケルビーノのドノーゼも見事な演技と共に、溢れる思いを歌い上げ、伯爵夫人のゴーキーはちょっぴり大味ながら貫禄は十分でふくよかで包容力がある。 個々の歌もよかったし、アンサンブルも生き生きしてるし、演出は格調の高さとコミカルさを兼ね備えていた。 オケがまた最高で、何だかウィーンのシュターツオーパーにいるような錯覚さえ覚えた。 小澤のオペラの指揮にケチをつける人は多いが、あのオケの雄弁さ、木目の細かい肌触り、音の端々まで神経が行き届き、若葉が生き生きと伸びて行くような柔らかな感覚など、小澤の持ち味がよく出ていた。 もちろん宮本文昭や工藤重典などの錚々たるメンバーを揃えたオケに負うところも大きいだろうが、それだけではここまで演奏をまとめることはできないと思った。それに「フィガロ」や「魔笛」のいい公演に接したあとに感じる、切なくなるほどの「モーツァルトってどうしてこんなにも優しく、愛に溢れているんだろう」というえも言われぬ感慨に身を任せる幸せに浸れたのが、何より嬉しい。気になったのは客の質がよくなかったこと。チューニング中も騒々しく、公演中も雑音が多く、遅刻も含めて立ち歩く人も多く、度々いい気分を阻害された。 |
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小澤征爾音楽塾は、ロームの社長だった佐藤研⼀郎と⼩澤征爾がオペラを通じて若い⾳楽家を育成することを⽬的に⽴ち上げた教育プロジェクト。その活動として初めてのオペラ公演を観たわけだが、このプロジェクトは現在まで脈々と継続している。小澤が後半生に並々ならぬ情熱を傾けて取り組んだ若い演奏家を育てる活動が「塾生」たちに与えた影響は計り知れないことだろう。当時の感想では、オケはサイトウキネンのメンバーが中心と書いているが、重鎮のプレイヤーを要所に配しながらもオケの中心はアジアの若い演奏家たちだった。そんな若い息吹が迸るプロジェクトの記念すべき発進の公演となった「フィガロ」が、その後四半世紀近くに渡って大きな花を咲かせて行くのである。
(2024.3.1)
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