5月22日(土)ジョナサン・ノット指揮 東京交響楽団
特別演奏会
東京オペラシティコンサートホール タケミツメモリアル
【曲目】
1.アダムス/ザ・チェアマンダンス(歌劇「中国のニクソン」による)
2.ドビュッシー/バレエ音楽「遊戯」
3.マーラー/交響曲第4番 ト長調 S:森 麻季
ジョナサン・ノットはずっと聴きたいと思っていた指揮者だった(10年前にN響で聴いていたことが後で判明)。昨年、来日が叶わないノットが、自身の指揮姿の映像を用いて東響との演奏会を行ったのが話題になったが、こんなことが出来てしまうのは、ノットと東響の強い信頼関係があってこそで、このコンビでの演奏を益々聴きたくなっていたところ、この状況下でノットが来日を果たし、オペラシティでの演奏会が実現することになった。これは行かない手はない。
まずは日本初演となったアダムスの作品。解説から、延々と繰り返されるミニマルミュージックを想像したが、いくつものシーンに分かれた変化に富んだ音楽だった。最初は遠くの祭囃子の音が風に乗って聴こえてくる感じ、それが、様々なコスチュームを纏った人達のパレードの様子になり、終盤は万華鏡を覗いているような華やかな色彩感に溢れ、また遠くの祭囃子となって消えていく、という印象。ノット/東響は、この色彩豊かな情景を、クリアでかつデリケートな演奏で聴かせた。
続くドビュッシーの「遊戯」では、更なるデリケートな世界を体感した。地球の重力から解放された空間で繰り広げられるバレエを見ているような浮遊感。自分の体も宙にふわっと舞い上がるような感覚。デリケートに表情と色彩を変化させる弦楽合奏の美しさ。オケ全体が淡い光を放ち、妖艶な夢幻の世界へと誘(いざな)ってくれた。
そしてマーラーは、これまでに聴いたどの演奏とも異なる忘れ難い体験となった。豊かなアゴーギクで生き物のように歌われた開始のヴァイオリンの旋律が、音楽全体を物語っていたとも云える。ノット/東響は、今このシーンで何をどう聴かせたいかを、聴き手の「心の耳」に明瞭に語りかけてくる。それぞれのパートが独自のコントラストやテクスチャーを持ち、アンサンブル全体がデリケートで敏感で、透明な美しさに彩られる。そして、ここぞという場面で天から強烈に差し込む光!スピリチュアルで神々しい世界を描いて行った。第2楽章の死神が踊る様子がリアルに浮かび上がったのも、第3楽章の美しい弦楽合奏が抒情に溺れてしまわなかったのも、その先にある天上の世界を見据えたアプローチだった。
そして天上に達した第4楽章での森麻季の歌の素晴らしかったこと!艶やかな美しい声で、天上界の様子を変幻自在に描き、最終盤、天上の音楽の素晴らしさを歌う場面では、穏やかな歌とオーケストラの調べが不思議な浮力をもたらし、静かに高みへ昇っていくような高揚感を覚えた。まだまだ恍惚感に浸っていたいと思ううちに音は消え入り終演。じんわりと涙腺が弛んだ。心から満ち足りた気持ち。
会場は大喝采が続き、最後はステージにノット一人が姿を現し、スタンディングオベーションは最高潮に。ノット/東響が実現した最高に幸福な時間を共有できた幸せをかみしめた。
ジョナサン・ノット指揮 NHK交響楽団 2011.2.17 サントリーホール
#文化芸術は生きるために必要だ
コンサートを中止にしないで!
コロナ禍で演奏会の中止が続く欧米、やっている日本
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1.アダムス/ザ・チェアマンダンス(歌劇「中国のニクソン」による)
2.ドビュッシー/バレエ音楽「遊戯」
3.マーラー/交響曲第4番 ト長調 S:森 麻季
ジョナサン・ノットはずっと聴きたいと思っていた指揮者だった(10年前にN響で聴いていたことが後で判明)。昨年、来日が叶わないノットが、自身の指揮姿の映像を用いて東響との演奏会を行ったのが話題になったが、こんなことが出来てしまうのは、ノットと東響の強い信頼関係があってこそで、このコンビでの演奏を益々聴きたくなっていたところ、この状況下でノットが来日を果たし、オペラシティでの演奏会が実現することになった。これは行かない手はない。
まずは日本初演となったアダムスの作品。解説から、延々と繰り返されるミニマルミュージックを想像したが、いくつものシーンに分かれた変化に富んだ音楽だった。最初は遠くの祭囃子の音が風に乗って聴こえてくる感じ、それが、様々なコスチュームを纏った人達のパレードの様子になり、終盤は万華鏡を覗いているような華やかな色彩感に溢れ、また遠くの祭囃子となって消えていく、という印象。ノット/東響は、この色彩豊かな情景を、クリアでかつデリケートな演奏で聴かせた。
続くドビュッシーの「遊戯」では、更なるデリケートな世界を体感した。地球の重力から解放された空間で繰り広げられるバレエを見ているような浮遊感。自分の体も宙にふわっと舞い上がるような感覚。デリケートに表情と色彩を変化させる弦楽合奏の美しさ。オケ全体が淡い光を放ち、妖艶な夢幻の世界へと誘(いざな)ってくれた。
そしてマーラーは、これまでに聴いたどの演奏とも異なる忘れ難い体験となった。豊かなアゴーギクで生き物のように歌われた開始のヴァイオリンの旋律が、音楽全体を物語っていたとも云える。ノット/東響は、今このシーンで何をどう聴かせたいかを、聴き手の「心の耳」に明瞭に語りかけてくる。それぞれのパートが独自のコントラストやテクスチャーを持ち、アンサンブル全体がデリケートで敏感で、透明な美しさに彩られる。そして、ここぞという場面で天から強烈に差し込む光!スピリチュアルで神々しい世界を描いて行った。第2楽章の死神が踊る様子がリアルに浮かび上がったのも、第3楽章の美しい弦楽合奏が抒情に溺れてしまわなかったのも、その先にある天上の世界を見据えたアプローチだった。
そして天上に達した第4楽章での森麻季の歌の素晴らしかったこと!艶やかな美しい声で、天上界の様子を変幻自在に描き、最終盤、天上の音楽の素晴らしさを歌う場面では、穏やかな歌とオーケストラの調べが不思議な浮力をもたらし、静かに高みへ昇っていくような高揚感を覚えた。まだまだ恍惚感に浸っていたいと思ううちに音は消え入り終演。じんわりと涙腺が弛んだ。心から満ち足りた気持ち。
会場は大喝采が続き、最後はステージにノット一人が姿を現し、スタンディングオベーションは最高潮に。ノット/東響が実現した最高に幸福な時間を共有できた幸せをかみしめた。
ジョナサン・ノット指揮 NHK交響楽団 2011.2.17 サントリーホール
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