中高一貫教育校は、学校教育法の改正によって1999(平成11)年度から創設された、比較的新しい制度です。
(1)6年一貫教育を実施する「中等教育学校」
(2)同じ設置者による中学校と高校との「併設型」(県立中学校と県立高校の併設など)
(3)設置者の異なる中学校と高校を連携させた「連携型」(市町村立中学校と都道府県立高校の連携など)……の三つのタイプがあります。
このうち中等教育学校と、併設型中高一貫教育校には、学習指導要領を弾力的に取り扱うことが法的に認められています。
なお、以前からある私立の「中高一貫校」は、同じ学校法人が設置した中学校と高校の間で事実上の一貫教育を行っていますが、制度的には「中高一貫教育校」ではありません。
指導要領の弾力的運用を行うためには、改めて中等教育学校か併設型の認可を受ける必要があるのです。
中高一貫教育校は1999(平成11)年度に4校からスタートし、2003(同15)年度に118校と100校を超え、2006(同18)年度には203校、2008(平成20)年度には334校になりました。
334校の内訳を見ると、国立が4校(中等教育学校3校、併設型1校)、公立が158校(中等教育学校20校、併設型60校、連携型78校)、私立172校(中等教育学校13校、併設型158校、連携型1校)となっています。
注目されるのが、公・私立とも併設型の中高一貫教育校が急増し、200校を超えたことです。
公立学校の併設型は2003(平成15)年度に22校でしたが、2008(同20)年度は60校と、5年で2.7倍にも増えています。
また、私立学校でも、新設校が最初から中高一貫教育校の認可を受けているほか、既存の私立でも2007(平成19)年度を境に、認可を受ける学校が増加しています。
公立の中高一貫教育校が増加している背景には、社会の受け止め方の変化があります。
制度発足当初の公立中高一貫教育校は、受験エリート校にしないという前提もあって、地域振興の意味合いが強い連携型が主流で、中等教育学校や併設型の場合も、環境教育など特色ある教育を強調した学校がほとんどでした。
しかし最近では、社会の指導者となるリーダー層の育成を目指したり、進学重視を明確に打ち出したりする学校が増えています。
一方、これまで「制度」とは一線を画してきた私立中高一貫校が「中高一貫教育校」に移行し始めた背景には、指導要領の弾力的運用ができる制度への理解が進んだことがあります。
さらに、大学受験のため世界史などの必修科目を指導要領どおり生徒に学習させていなかった「未履修問題」が2006(平成18)年末に発覚したことが、その傾向に拍車を掛けたと指摘する向きもあります。
[ベネッセ教育情報サイト:教育ニュース 12月8日 (月) 10時00分 ]