あのころ

今日も、いつものようにバイトして、雨の中歩いて帰っていた。
歩いてるととめどもなく色んな考えが出てくる。
今日は、ふと小さい頃のくだらないことを思い出した。
私は今でも生粋の間抜けだけど、小さい頃はそれに輪をかけて間抜けだった。
そんなお話をしましょう。

うちの父は、株式会社とは名ばかりの小さい屋根会社（現在の従業員は父と弟だけ）を経営していて、小学校低学年の頃、よく会社のトラックに乗せられていた。
トラックに乗るのは嫌いじゃなかったけど、知り合いに見られたら恥ずかしいという思考が働き、
何を思ったのか家の近所になると自分と悟られないように、よく変な顔をして乗っていた。
あの頃は、我ながらいいアイデアだとか思ってたんだろうけど、今思うと間抜けにもほどがある。
まず第一に、変な顔をしたところで、そこには変な顔をした私がいるだけで、他人にはまず見えない。
そして第二に、決定的なのが、乗っていたトラックだ。
そこには大きくキサバシ㈱と書いてあった。（うちの会社は㈱シバサキ）
どう見ても、うちのトラックに間違いない。
そんなことは町中みんなが知っていることだった。
つまり、町の人たちには、
「香ちゃん、また変な顔してお父さんのトラック乗ってたわよ」
ってことになってたんだろうなー。