4月10日
まったく外に出ることもない休日だった。人と話すこともほとんどないような日であった。しばらくは仕事もそう忙しくなることはない。気を抜くと怠慢とか退屈に呑み込まれていきそうな日々である。そんなことを言っているうちにきっとGWが始まり、多忙なる日々が自分を呑み込んでいくことも容易に想像できそうではあるのだが。
あまりにも退屈になりがちな日であったので、インターネットで見て興味を抱いたHSPについての本をkindleで衝動買いして読んでいた。そんな、専門的かつ実用的な本を衝動買いするのも変な話ではある。しかも購買理由がamazonのレビュー数の多さと評価の高さという、いかにもな衝動買いである。これは普段の自分にはない購買意欲であった。今すぐに必要でもないものを、そんな即決で買う理由がどこにあったのであろう。買うか買わないかを決めるのに、もっと時間を割いてみてもよかったのではないかと思う現在夜の22時すぎであるが、今更そんなことを考えてもすでに手遅れなわけである。そして自分は今日の昼間、700円ほどの電子マネーを引き換えに手に入れた活字データを読み漁っていたのだ。
わざわざ金を出してまでそのHSPとやらの本を買った理由は一つ、それは自分がHSPではないかという心当たりがあるからである。完全に思い込みならばそれに越したことはないのだが、今までの人生経験上とか、なんかインターネットで出てくる情報とかをあてにする限りでは、おそらくその類であろうことが考えられる。もし自分がHSPではないのだとしたら、それはインターネットの情報が間違っているか、本当に自分の思い過ごしだということだ。しかし心の面でどこか他の人とは違うのではという悩み的なものは現にある。そして自分にあてはまる特徴を探していたらこのHSPとかいう言葉に出くわしたわけだ。なのでそれについての情報が欲しくなった。
今回の本はHSPといういわゆる繊細な気質を持ってしまった人に対して、いかにして人生を過ごしやすく生きていくかを説いた、指南書のようなものである。HSPの特質を持った人は基本的に感受性が強く働いているので、なにかと不便な生き物であったりする。しかもそれは五感に限らず、場の空気感を読む力や、人の感情を読み解こうとする力、雰囲気とかイラつきとかそんなものも含めて、他の人よりも深く見てしまいがちな人なのである。それはプラスに働くこともあるかもしれないが、この情報化社会、仕事や人間関係に時間を割かれがちな現代では、なにかと損な役回りに立たされがちである。いろいろなものに気がついてしまうということは、そのいろいろなものが自分の意識に入ってきているということだ。社会で生きるにあたって、特に気付くことなく、深読みすることなくスルーしまったほうがいいものが多いだろう現代では、かなりの苦痛を要する。
本書はそういった過敏になってしまった人たちがいかにうまく社会に順応できるかと説いているわけある。読んでみた感想は、徳に目新しいことが書かれているわけではなかったが、自分の繊細な一面と向き合うための、お守りになるような内容だったと思う。自分のなかでたくさんの「あるある」のような事例が数多く書かれていたし、それが自分だけでないということに安心させられた気がした。自分がHSPなのかそうではないのか、それはどっちでもいいと思う。ただ自分の繊細さとかたくさんのことに気づく力を生かすためには、本書のようなアドバイスは素直に受け止めるべきだろう。