年始のチャートって、前々から思ってたんだけど、
前年の代表的なヒット曲がけっこう上位に戻ってきたりしてて、
それは大晦日あたりにやる音楽の年末特番(外国でもある)の影響然り、
「今年はこんな曲が大ヒットしてたな~」と、その年をヒット曲を聴いて振り返るという消費者行動によるものだと推測できる。
...というか、自分もそういう人です。💭
新年1発目のUKチャート!!
(集計期間:2022年12月30日~2023年1月5日)
title | artist | ||
1 | Escapism | Raye, 070 Shake | |
2 | Anti-Hero | Taylor Swift | |
3 | Messy In Heaven | Venbee, Goddard | |
4 | Kill Bill | SZA | ! |
5 | Made You Look | Meghan Trainor | |
6 | Let Go | Central Cee | ! |
7 | Miss You | Oliver Tree, Robin Schulz | |
8 | Calm Down | Rema, Selena Gomez | |
9 | Out Of Nowhere | Bugzy Malone & Teedee | |
10 | Another Love | Tom Odell |
1か月前はヒットしていなかった、新しい有望株に!を表示してみました。ちなみに過去2週はTop20のほとんどがクリスマス・ソングに占められていたため、それらがなくなった今週はチャートが一変しています。
(コメント)
#1> イギリスのR&Bシンガー、Raye(レイ)さんが、自身初の全英1位を獲得!!ゲストの 070 Shake さんも初です!UKチャートを運営するオフィシャル・チャート・カンパニー(OCC)の1位獲得に対するインタビューでは、彼女は話の途中で感極まって嬉し涙を流してしまっていました。UKチャートは1位が堅いですからね、1位獲得の意味の大きさを改めて感じました。ラップが激しい曲!!🥇
#2> "Anti-Hero" も戻ってきた!クリスマス・ソングに首位を奪われるまでは6週間連続で1位をキープしていたシングルで、クリスマス・フィーバー下でも水面下で勢いを保っていたようです。ただ、ヒットの新しさでいうと "Escapism" には劣っていて、"Escapism" の新しさゆえの猛烈な勢いにはかなわないのではないかと思います。勢いを保っていたとはいえ、水面下でも "Escapism" には抜かされてました。
#3> 意外な復活!!1か月前のチャートで到達した最高位3位に、また戻ってきました。1か月前は3位だったとはいえ、この1か月の間に水面下で(非クリスマス・ソングの)順位変動は起きており、"Anti-Hero" が勢いを維持していた一方で確か "Messy In Heaven" は(非クリスマス・ソング内で)6位以下にまで落ちていたと記憶しています。なので、いざクリスマス・ソングが全抜けするとなって3位まで復活したのは意外でした。
#4> シザ、自身の曲としては初の全英Top10入り!R&B系歌手の調子がいい週ですね。ゲスト参加の曲としてはケンドリック・ラマーの "All The Stars"、ドージャ・キャットの "Kiss Me More" がこれまでにTop10入りしていました。マルーン5の "What Lovers Do" は、全米ではTop10入りしましたがイギリスではしてませんでしたね。新曲 "Kill Bill"、全英1位までそう遠くないと思います。
#5> 新年1発目のTop5は80%を女性アーティストの曲が占めるかたちになりました。この曲も調子が良い!!MVのYouTube再生回数は7500万回を超えています。前作『トリート・マイセルフ』(2020) からは大ヒット曲が出ず、アルバムもそれまでと比べて不発だったといっても過言ではないと思うのですが、最新作『テイキン・イット・バック』(2022) ではタイトル通り見事にいろいろ取り戻しています。まあ、『トリート・マイセルフ』は流行にもなったメーガンさんの人気のラップ調音楽を彼女が意図的にやらなかった感じもあって、その意味では不発覚悟で新たな音楽を試したアルバムだったといえるのかもしれません。"Evil Twin" という曲が、正式なシングルだったか否かは忘れましたが好きです。👿
#6> セントラル・シーは、流動的なUKラップ界で他のUKブレイク・ラッパーとはけっこう違う気がする。まず、よりグローバルに楽曲が聴かれています。地元オンリーの大人気ではないということですね、このままいけば海外ツアーも大成功しそうな。そして最前線にいる期間も比較的長いです。これでもう最前線は2年目?2年以上トップ・クラスを維持できるUKラッパーは本当に限られていて、最近ではストームジーやデイヴくらい。近いうちにアメリカにも進出できてしまうかもしれません。
#7> "Miss You" もカムバック!!最高位3位を超すことはないと思いますが、ロングヒットがこのカムバックで証明され、嬉しい限りです。なお、オリヴァーさんは去年リリースのセカンド・アルバム『カウボーイ・ティアーズ』のデラックス盤をこの頃リリースしましたが、そこには "Miss You" は入っていませんでしたね。"Miss You" は『カウボーイ・ティアーズ』リリース後の新たなヒットだったのでデラックスに入れたのかなと思ったら、違ってました。
#10> 満を持してようやく聴いた...。2012年にUKチャートで10位を記録する大ヒットになったらしい、トム・オデール氏の出世作 "Another Love" を一聴しました。...これ、ロックだ!!ポップ系バラードかなと思ったら、インディー・ロックの一種じゃん!!...ジャンルのことばかり考えていると、こんな感想になります。ただ、さすが10年振りに10年前の最高位に返り咲くほど長く愛されている(らしい)曲、ゾクゾクしましたね。TikTokでのバズりが要因で異例の10年振り大ヒットになっている同曲は、これからどう動くのか、今のところチャート・アクションがまったく予想できません。
title | artist | ||
11 | Psycho | Anne Marie, Aitch | |
12 | Creepin' | Metro Boomin, The Weeknd, 21 Savage | ! |
13 | Unholy | Sam Smith, Kim Petras | |
14 | Rich Flex | Drake, 21 Savage | |
15 | Pointless | Lewis Capaldi | ! |
16 | I'm Good ( Blue ) | David Guetta, Bebe Rexha | |
17 | Hide And Seek | Stormzy | |
18 | 10:35 | Tiesto, Tate Mcrae | ! |
19 | As It Was | Harry Styles | |
20 | Kiss Me | Dermot Kennedy |
(コメント)
#12> まだ聴いてないけど、アメリカやカナダでヒットしそうな顔ぶれなのに、イギリスでも売れてるということはけっこうすごい曲なのかも。上位の "Psycho" や "Miss You" なんかはそんなに勢いがないと思われるので、それらと入れ替わりでTop10入りが狙えるポジションです。"Creep" って「潜む」って意味じゃなかったっけ?ほんとにそんな感じ。
#13> リリック(歌詞)・ビデオがMVにちなんでか映画のエンドロールみたいになっていました...。"Unholy" について思ったのは、コンセプトが分かりやすくてずっしりしている曲だなあ、ということです。ルイ・トムリンソン "Back To You feat. ビービー・レクサ & デジタル・ファーム・アニマルズ" が真っ先に頭に浮かぶ「やってしまった!」という感じの音楽...久しぶりに聴きました。もしかしたら市場的にも久しぶりのテイストで、それが大ヒットに寄与したのかもしれません。
#14> ドレイクも根強いですね!UKでもアルバムから必ず1曲は大ヒットさせる人気です。2年に1枚アルバムを出すようなイメージだったのですが、過去2年間では合計3枚も新作を出してきました。そのため、世界のヒップホップ・シーンはここのところずっと彼の独壇場になっていたようですね、アメリカのラップ・チャートなんかはドレイクだらけだったようで。今年は彼に代わって天下を取りに行けるようなラッパーは出てくるのでしょうか?💬
#16> LFシステム "Afraid To Feel"、エリザ・ローズ "B.O.T.A. ( Baddest Of Them All ) with Interplanetary Criminal" のような変化球が大ブレイクした2022年のダンス・ミュージック界、とはいえ "I'm Good ( Blue ) feat. ビービー・レクサ" という王道もしっかり大ヒットしていました。正直 "I'm Good" のUKチャートでのこれまでの成績はロングヒットに関してちょっと不満で、もっと長くTop10を維持するべきだったと思っています。1位もとったし、こんなに象徴的で輝いているアンセムなんだから、と。
#17> ストームジーの新作『ディス・イズ・ホワット・アイ・ミーン』(2022) から、この "Hide And Seek" に続くシングル "Firebabe" について。原曲はそんな感じでもなかったのですが、ホリデー・シーズン用のクリスマス・バージョンなるものが配信されていたみたいで、それで、クリスマス・フィーバー中にも定番のクリスマス・ソングに紛れてチャートの上位に食い込んでいたみたいです。クリスマス・ソングではないのでクリスマスが終わった今週、一気にチャートを去ることにはならなかったのですが、クリスマス・バージョンの効果がヒットに大きく貢献していたため、それがなくなったことで今週は(先週の5位から)一気にTop20落ちです。びっくりしました。🎄
#18> ティエストさんは本当に調子がいい!!2021年の "The Business" に始まり、同年は "Don't Be Shy with カロル・G" もヒット。2022年は "The Motto with エイバ・マックス"、"Hot In It feat. チャーリーXCX" の2つが象徴的でした。そして2023年はまずこの "10 : 35 with テイト・マクレー" ですね。旬のアーティストとコラボするのは人気DJなら誰でもやることですが、ティエストさんは何というか、絶対にヒットしそうな斬新な音楽でそのコラボを確実にヒットさせています。約4年前のヒット曲 "Jackie Chan with ジェコ feat. ポスト・マローン & プリーム" を最近聴きましたが、ここ数年のヒット曲とは違って感じられました。"Jackie Chan" の方が、より王道って感じです。🕥
#19> 記事の冒頭でちょっとつぶやいた「年末効果」が、"As It Was" にはあったのではないかと思います。クリスマス・フィーバー前は30位以下だったので、それが去った際に大きな理由なしにTop20入りは不自然です。他にも、"Afraid To Feel" や "I Ain't Worried" が割と高い位置にまで復活したので「年末効果」は本当にあるのかもな、と思うに至ったわけです。そんなに大っぴらじゃなかったから気にしてなかったけど。
(ひとこと)アデル "I Drink Wine" が復活しなかった~!!うー...やっぱりメインストリーム向きではないのかな。でも、一方でダーモット・ケネディの "Kiss Me" やディーン・ルイスの "How Do I Say Goodbye" のような去年もうピークを迎えたように感じられる曲が予想以上に復活してきていて、どちらも意外とあっさり去年のピークを超えてしまうかもしれない。何が起こるかわからない...という感想のUKチャート新年1発目!!
過去の記事とか見るとけっこう有言不実行なブログになってるけど、
今年も月4回程度の更新目指して頑張ります。
🐇 読んでくださった方、ありがとうございました。 🐇