もう、今年はチャートを楽しみにするのを諦めた方がよさそうだ。
どうしてもこのシーズンは大物のアルバム・リリースが重なってしまい、
それらが度々チャートを大きく荒らしてしまう。
さらに、そこにクリスマス・フィーバーも加わるから、本当に最悪だ。
まあでも、最近は好きな曲がめちゃくちゃ多いから、チャートがだめでも満足度は全然維持できそう。
(集計期間:11月4日~11月10日)
title | artist | ||
1 | Anti-Hero | Taylor Swift | → |
2 | Unholy | Sam Smith, Kim Petras | |
3 | Rich Flex | Drake, 21 Savage | |
4 | Miss You | Oliver Tree, Robin Schulz | ↑ |
5 | Major Distribution | Drake, 21 Savage | |
6 | Forget Me | Lewis Capaldi | |
7 | CIRCO LOCO | Drake, 21 Savage | |
8 | Made You Look | Meghan Trainor | ↑ |
9 | Messy In Heaven | Venbee, Goddard. | ↑ |
10 | Hide And Seek | Stormzy |
うーん、残念...。またこうなっちゃうのか。
(コメント)
#1> 自分からすればかなり意外なのですが、テイラー・スウィフトはこれまで全英1位を2曲しかとったことがありません。外国人だから、とはいえ、世界的アーティストだしキャリアも長いのに2曲は少ないです。1曲目が2017年の "Look What You Made Me Do"(1位は2週) で、2曲目が今回の "Anti-Hero" です。"Anti-Hero" は今週で3週目の1位なので、アーティストとしての1位最長記録が更新されました。それでも「3週で最長?」とはなりますけどね。
#2> テイラー・スウィフトに首位を奪われたものの、勢いを落とさずに2位をキープしているのがサム・スミス "Unholy with キム・ペトラス" 。最近のヒット曲は本当にどんどん尺が短くなっていますよね...。ただ、その短さをリスナーに実感させないのがプロだなあと思います。2.5分ほどの間にたくさんの要素を詰め込んで、リスナーを満足させる。実際は2分半なのに、3分半くらいの曲のように感じたりすることもあります。従来と比べてどこが短くなってるの?と聞かれると答えにくいのですが、サビやバースの回数を減らしているのはあるかな、と思います。あとは、全体的な展開の速さとか。⌛
#3> まあ、一言でいうと、今週のドレイク(&21サヴェージ)のチャート・アクションは残念でした。2週前にチャート荒らしがあったばかりなのに、またか...と。2018年のチャートみたいです。それでもUKチャートには「スリー・ソングス・ルール」というものがあるので、影響はひどくはならないのですが、今週はおかげでリアーナやビヨンセが Top10 から追い出されてしまいました。アメリカやカナダを主戦場とする彼ら、イギリスでこんなにいくんだから、北米はもっとすごいことになりそうです。...本音を込めて言い直すと、北米ではもっとひどいことになりそうです。
#4> 何だこのぶっ飛んだ曲は...。さすがオリヴァー・ツリー、もう何がなんだか分からん...!となっていましたが、徐々に曲の背景が分かってきました。元々サウススターというEDMアーティストがオリヴァーからボーカルを提供してもらい、この "Miss You" を作っていたようで、それをロビン・シュルツというドイツの有名DJ(自分は知らなかったのですが...)が使用・リミックスし、結果2バージョンの "Miss You" が同時にヒットすることになりました。サウススターの方は今週30位台にランクインしています。ややこしいのがサウススターのバージョンにはオリヴァーの名義は入っていないのですが、ロビン・シュルツの方には入っていて、しかもなぜかこちらではメイン・アーティスト扱いになっています。...ただ、一番の問題はロビン・シュルツが名義の中にサウススターを入れなかったことでしょう。曲を盗んだかのように見えてしまいますから(何言っているか分かりにくかったらすみません!)。
👉 Oliver Tree "Miss You feat. Robin Schulz" ・・・#4
southstar "Miss You" ・・・#32
#6> デビュー時がすごすぎたというのもあってか、ルイス・キャパルディのチャート・アクションが少し寂しげに感じられます。全米チャートにも最近入ってきて、ホットなはずなのですが、やはり2~3年前の大成功と比較してしまいますね。彼に関して思うのは、とりあえずまだイギリスだけの人にならないでほしい、ということです。本国イギリスでの人気は強固なので、イギリスでは末永くメインストリームを維持できると思われるのですが、どうも他の国のチャートでは今はイギリスほど盛り上がっていないようなので、早くもイギリスオンリーの人になってしまうのではないかと危惧されます。それは、あまりにも早すぎる!!
#8> メーガン・トレイナー!!!失礼ながら2020年のサード・アルバムで早くもメインストリームから外れてしまったことを感じてしまっていたのですが、完全復活ですね!!当時は「もうメーガン・トレイナーの時代、終わり!?」とけっこうショックを受けていたので、アーティストの寿命が延びて本当によかったです。何だか、懐かしい音。
#9> おそらくこれもオーストラリア人DJ、Luude の直近のヒット曲 "Big City Life with MATTAFIX" と同じ構造でしょう。MATTAFIX というアーティストの過去の曲 "Big City Life" を現代DJ Luude がリミックスしてチャートによみがえらせた、という話でした。"Messy In Heaven" はシンガー Goddard. さんがオリジナルを持っていて、それを現代DJ Venbee さんがリミックスし、ヒットさせたイメージです。相変わらずちょっと分かりにくいですけどね。
#10> ええ~っ!?すごい攻め方!!聴きやすい "Crown" (2019) ばかり聴いていたUKラッパーのストームジー氏、ゴリゴリのストリート・ラップをやって大ブレイクした人だと認識しているのですが、新曲 "Hide And Seek" はかなりリラックス系ミュージック!いや、その、まあ、すごい良かったんだけど、驚いた...。これまでの最高位は7位。チャートでは停滞気味ですが、もうちょっと高い所にいった方が相応かも。👑
title | artist | ||
11 | Lavender Haze | Taylor Swift | |
12 | Lift Me Up | Rihanna | |
13 | Cuff It | Beyonce | |
14 | Psycho | Anne Marie, Aitch | |
15 | Snow On The Beach | Taylor Swift, Lana Del Rey | |
16 | Calm Down | Rema, Selena Gomez | ↑ |
17 | Another Love | Tom Odell | ↑ |
18 | Warm | K-Trap | ↑ |
19 | I'm Good ( Blue ) | David Guetta, Bebe Rexha | |
20 | Celestial | Ed Sheeran | ↑ |
11~15位に Top10 から押し出された曲がずらり...。
(コメント)
#11> テイラー・スウィフトのUKチャートにおける大規模チャート・アクションを振り返ってみましょう。2017年『レピュテーション』リリース時はUKシングル・チャート Top10 になんら影響なし。2019年『ラヴァー』も同様。しかし、2020年『フォークロア』リリース時は Top10 に3曲(6、8、10位)がランクイン。さらに、同年『エヴァーモア』リリース時は収録シングル "willow" が3位に初登場。Top10 ランクインは1曲だけだったが、順位は高い。そして今作『ミッドナイツ』リリース時は Top10 に3曲が、それも高順位(1、3、4位)にランクインした。分かりやすくチャート・アクションのレベルが上がっていってますね。
#12> まだ聴いていませんが...リアーナの復帰作です。いや、厳密にはサントラなので「リアーナの所有曲」という感じは薄く、サントラを介しての復帰、といった形になります。自分のアルバムからのシングルではないということですね。その映画、『ブラックパンサー』についてはほとんど、いやまったく詳しくないのですが、2018年にケンドリック・ラマーがレーベルの仲間と一緒に『ブラックパンサー』シリーズにインスパイアされたアルバムを出して大ヒットし、話題になってました。🐆
#13> ビヨンセの新曲、チャート荒らしが起きた影響で上位をなかなか維持できておらず、大ヒットが見えにくくなっていますが確かに大ヒット中です。それにしても、リアーナ、ビヨンセ、テイラー・スウィフトと00年代からの大スターがチャートに集結していますね。ドレイクもデヴィッド・ゲッタもエド・シーランも10年代前半から活躍しているアーティストなので、Top20 をざっと見ると、キャリア長めの人が少なくないです。偶然かもしれないけど、面白い状態。
#17> トム・オデールさん、Wikipedia によるとイギリスのロック系シンガーで、"Another Love" が2012年に全英10位の大ヒットになってメジャー・デビューした人のようです。その "Another Love" が、TikTok で流行って大ヒットから10年後にまたチャートを上昇する事態になっています。すでに「アナザー・ラヴ」として広く知られた曲のようですが、今 TikTok で盛り上げているのは10年前の「アナザー・ラヴ」時代を知らない人たち(若者)かもしれません。
#19> デヴィッド・ゲッタ "I'm Good feat. ビービー・レクサ" 、UKでは思いの外短命でしたが他の国のチャートではまだまだ勢いが強い状態です。デヴィッド・ゲッタの本気!という印象の曲ですね。とはいったものの、思えば自分は彼の曲をほとんど知りませんでした。唯一知ってたのは "Titanium feat. シーア" の別のアーティストによるカヴァー・バージョンです。ただ、原曲も聴きました。迫力あるMVは2回以上見た覚えがあります。なので、"Titanium" は知っていたと言わせてください。そして、デヴィッド・ゲッタについて知ったかぶりになっていたことを許してください!
#20> 本 "Celestial" が挿入歌として使用される予定の某人気ゲームの発売日が近づき、それに伴い "Celestial" もチャートを上昇していますね。発売週には更なるランクアップが予想されます。ちょっとややこしいですが、"Celestial" はエド・シーランのノン-アルバム・シングルで、サントラには区分されないと思います。なので、グラミー賞は今年新しく「ゲーム音楽(ゲームのサウンドトラック)」用の賞を創設しましたが、それにはノミネートされないのではないでしょうか。🎮
ゲーム音楽といえば、ミーゴスの "Superstars" を思い出す。
2018年のサード・アルバム『カルチャーⅡ』収録曲で、
バックで不思議なゲーム音楽を流しながら3人がいつもの掛け合いを繰り返していて、それがたまらなく気持ちいい。
うー...ミーゴス世代には辛すぎる事件、これは痛い...。
"Superstars"、長いかもしれませんが是非聴いてみてください。ちょっと不思議な気持ちになるかも。★