オコジョ、チャート・レビュー

洋楽チャートの感想や予想を長々と述べます。速報性はありません。

チャート・レビュー USチャート 2023年6月

2023-06-28 | チャート・レビュー (US)

 

ピンクパンサレスのジャンル分けに、未だに困っている。

これまでは一応ロックに分類していたけれど、

にしても、特殊過ぎる。ロックに分けるにはやはり無理がある気が。

そもそも大分類に分けようとしなければいいんだけど...性格的に、とりあえず大分類に分けたい。

だから、この手のアーティストが出てくると、毎回懲りずに困っている。

 


 

6月の全米チャート・レビューです!

6月の全米シングル / アルバム・チャートにおいて、活躍が目覚ましかったアーティストを主観で6組選び、それを振り返ります。

最後にシングル / アルバム・チャートの全体的なレビューもして、終わる形です。よかったら読んでみて下さい。

 

<シングル・チャート>

1.リル・ダーク

 思うところはたくさんあるのですが...、とりあえずリル・ダークは初のTop10ヒット!新曲 "All My Life feat. J.コール" が大ヒットして、リル・ダークは自身のタイトル曲としては初の全米Top10入りを果たしました。この人は...とにかく波が遅かった!いや、遅かったというか、緩やかだったという方が適切かもしれません。10年代中盤でアルバム・デビューして、チャートに出てき始めはするものの、他にもたくさんのブレイク・ラッパーがいる時代でなかなか目立つヒットは出せず、いつも脇役でした。ただ、ドレイクの "Laugh Now Cry Later feat. リル・ダーク" (2020) が全米2位の大ヒットになったあたりから彼の株はどんどん上がっていって、彼が有名ラッパーとコラボする回数もそこからどんどん増えていったイメージ。翌年のリル・ベイビーとのコラボ・アルバム『The Voice Of The Heroes』がアルバム・チャート1位の大成功になって彼の株はさらに上がり、2022年のアルバム『7220』で遂にソロとして初のアルバム・チャート1位を達成しました。コラボじゃなくても、ソロでも人気はめちゃくちゃある...というのがはっきり証明された感じでしたね。そして今年!ついにシングル・チャートの方でも自身のタイトル曲がTop10に入って、ようやく彼の絶頂が来たような印象です。彼と同じような境遇だったラッパーにヤングボーイネヴァーブロークアゲインがいると思うのですが、これで良くも悪くもヤングボーイネヴァーブロークアゲインは唯一無二になりました。

 

2.トゥージー

 珠玉のバラード "Favorite Song" がTop5入り & Top10内で安定ヒット確実!トゥージーさんは今月、2020年のアルバムに続くセカンド・アルバム『Naujour』もリリースしていて、先行シングル "Favorite Song" の成功もありアルバムは全米19位と大健闘。今のところロング・ヒットも見込めるチャート・アクションです。"Favorite Song" はR&Bシンガーのカリードとコラボしたリミックス・バージョンをリリースしたことでストリーミングが加速し、先月全米シングル・チャートTop10入りしました。リミックスのリリースを知ったとき、二人とも歌声めっちゃ似てるだろ...と思ったのですが、実際聴いて案の定似てました。カリードの方が声が低いので一応聴き分けられましたが、それにしてもすごいリミックスのアイデアです。

 

3.テイラー・スウィフト

 2022年の10thアルバム『ミッドナイツ』から、3発目 "Karma" のリミックス・バージョンが公開され、その効果で同曲は全米2位へと急上昇しました。リミックスで加わったアーティストは米新人ラッパーのアイス・スパイス。アイス・スパイス効果で2位、ということで、同じようなパターンで今年はピンクパンサレスの "Boy's A Liar Pt.2 + アイス・スパイス" も大ヒットしたのですが、改めてちょっと違和感です。彼女が期待のドリル・ラッパーとして大注目されているのは分かるのですが、明確なビッグ・ヒットがまだなく、「期待」だけでチャートが過剰に動いているような感じがします。まだ全然値上がりしてないのに、有望株で、しかもみんなそれが有望株だと分かってるからみんなその株への投資を常に考えてて、だから有事にはやたら値動きが激しくなる、みたいな。まあ、それはともかく、テイラーさんは4年前のアルバム『ラヴァー』から "Cruel Summer" がツアー効果か何かでリバイバル・ヒットの兆候を見せ始めたことを背景に同曲をレーベルとの協議のもと最新シングルにすることに成功したり(異例中の異例!!)、7月に『スピーク・ナウ』(2010) の再録版を出すことを発表したりと相変わらずすごいニュースが多いです。"Cruel Summer" は聴いてなかったけど、『ラヴァー』のそれまでのシングル("ME!" とか)は良かった!

 

<アルバム・チャート>

4.Stray Kids

 正直に言って Stray Kids の音楽を聴いたことはまだないのですが、彼らはもはやチャート・レビューをするうえで無視できない存在です。新作『★★★★★』が無敵だったモーガン・ウォーレンの『ワン・シング・アット・ア・タイム』(2023) を破り、1位をとったわけですから。久しぶりに新作アルバムがアルバム・チャートで初登場1位になりました。Stray Kids の何がすごいかって、昨年リリースしたデビューEPでいきなり1位をとって、今作まで3作連続で堂々と1位を取り続けているのもそうなんですが、英語圏でシングルがほぼヒットしたことがないという事実が異常です。先行シングルのヒット一切なしに3連続でアルバム・チャート1位をとるのは英語圏出身のアーティストではとても珍しくて、ヴァンパイア・ウィークエンドがそれに該当するバンドとして自分の中で有名だったのですが、Stray Kids はおそらく4連続以上もいくと思うので、ヴァンパイア・ウィークエンドは敵ではないかもしれません。

 

5.ジェリー・ロール

 ぽっと出の新人かと思いきや、実際はめちゃくちゃ苦労人だった...ということを知った人です、ジェリー・ロールさん。アルバム・デビューは10年以上前でした。白人ラッパーとしてデビューして、アルバムを頻繁に(年1~2枚)リリースしてきましたが、どれもチャートには入らなかったよう。アルバムの枚数はすごかったですね...ヤングボーイネヴァーブロークアゲインを想起します。転機があったのは2021年頃で、カントリー・ミュージック風の音楽を作ってみたところ、うけがよかったそう。そして2022年、カントリー・ミュージックを取り入れた新作『バラーズ・オブ・ザ・ブロークン』からカントリー・ソング "Son Of A Sinner" が大ヒットして、遂にメジャー・デビュー!さらに、今年は今月完全にカントリー・ミュージックに転向した新アルバム『Whitsitt Chapel』をリリースして、全米3位!アルバム・チャートでも大きな結果が出ました。なお、本作からは "Need A Favor" が "Son Of A Sinner" に続いて大ヒット中です。ラッパーがカントリーで売れるなんて、びっくりですね。

 

6.ノア・カハン

 この人も名前を見るようになったのは最近だけど、キャリアはそこそこ長かった人です。フォーク・ロック系の男性ソロ・シンガーで、昨年ロック・チャートでヒットした "Stick Season" を収録したアルバム『スティック・シーズン』(2022) がヒットしたのですが、そのデラックス版が今月発売され、その効果でアルバムのセールスとストリーミングが急上昇しました。その結果、チャートでは3位に一気に躍り出てきて、これまではTop10入りすらできていなかったので、当アルバムはデラックス盤の効果で一気に最高位更新が起きたことになります。率直な感想、彼の音楽は自分の好みではないのですが、好みではなくても曲の安定感ははっきりと伝わってきます。フォーク・ロックというとマムフォード & サンズやザ・ルミニアーズを連想するのですが、ノア・カハンさんも確実にそこに加わるでしょう。

 

(全体レビュー)

全米シングル・チャート・・・硬かったTop3の一角が崩れ、ルーク・コムズ "Fast Car" が新たな1位を狙う...。「勢いよく上昇中」は減ったものの、硬かった上位に少しずつ変化が! & ヒップホップ ⇒ メトロ・ブーミン、R&B ⇒ シザ、ポップ ⇒ テイラー・スウィフト、カントリー ⇒ モーガン・ウォーレン、ラテン ⇒ ペソ・プルマがチャートで圧倒的なシェアを確立!

全米アルバム・チャート・・・一時的だったけど、無敵のモーガン・ウォーレンを破る者が現れた! & 止まらない新作の出だし好調ラッシュ!アルバム・チャートはまだまだ好景気!!

 


 

チャートの音楽から、どんどん心離れしていってる...。

嫌いでもないんだけど、好きでもないヒット曲が多くなってきた現状、

そろそろチャートだけを出どころにして音楽を聴くという考えを捨てるべきかもしれない。

↑こんなこと言ってるの、客観的には滑稽かもしれないけど、なんか縛られちゃってて...。

🐼 今月は以上です!読んでくださった方ありがとうございました! 🐼

 



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