オコジョ、チャート・レビュー

洋楽チャートの感想や予想を長々と述べます。速報性はありません。

チャート・レビュー USチャート 2022年9月

2022-09-30 | チャート・レビュー (US)

 

『トップガン』、『ミラベル』、『エルヴィス』。

そしてゲーム『リーグ・オブ・レジェンド』のアニメ『アーケイン』の主題歌。

サントラの大ヒットが、本当に多い。

「サンフラワー」(スパイダーマン)と「シャロウ ~ 愛のうた~」(アリー / スター誕生)が全米1位をとっていた時期より、多い。

グラミーの「映像作品用楽曲」部門、絶対激戦区になると思う。

 


 

9月の注目アーティスト(主観)6名について、そのチャート・アクションを振り返ります。

 

1.ポスト・マローン

 気づいたらもう全米3位!!彼はドージャ・キャットとのコラボレーション "I Like You ( A Happier Song )" が大ヒット中ですが、個人的には曲が最高位を更新するたびに、「もうこれ以上は上がらないだろう」と低評価をしてしまっていました。ですが、3位まで来たらもうどうなるか分かりません。最新アルバム『トゥエルヴ・カラット・トゥースエイク』(2022) は過去作と比べシングルのヒットが弱いのが目立ってしまっていましたが、"I Like You ( A Happier Song )" が大ヒットしてそれは覆りそうです。最近はこういうブラック・ミュージックの暗い曲の大ヒットがなかったので、久しぶりの感覚。そもそも暗い曲を大ヒットさせられるブラック・ミュージックの歌手は彼とドレイクくらいで、限られてますからね。☁

 

2.ケイン・ブラウン

 情報不足でチャートを見るまで新アルバムのリリースを知らなかったのですが、4年ぶりの新作『ディファレント・マン』がリリースされていました。アルバム・チャートでの順位は5位、デビュー・アルバムから3作連続の Top5 入り達成です。ただ、前作『エクスペリメント』(2018) が1位をとっていたことを考えると今回はランクダウンで、彼のような高い人気が安定しているアーティストでも続けて1位をとることは難しいんだなと改めて思いました。チャートから分かったことですが、ここ数年でカントリーやロックのアーティストは特にアルバムの売上が伸び悩んでいます。代わりにライブ事業で稼ぐようになっているとも聞いていて、それは特定の層をメイン・ターゲットにした集中戦略ともとれるので、それを聞くとどうしてもロックやカントリーのサブ・ジャンル感を感じてしまいます。

 

3.ワンリパブリック

 映画『トップガン マーベリック』に提供した楽曲、"I Ain't Worried" が全米でも Top10 入りの大ヒットに!!曲のタイトルを訳すと「心配してない」という意味で、映画に準じて全体的にポジティブな歌詞になっています。ワンリパブリックの全米 Top10 入りは4曲目、"Counting Stars" から約8年ぶりの Top10 入り(現在7位)!これまでは「映画見てないし歌詞見ても何言ってるかわかんないだろう」と思っていたのですが、見たら映画に特化した歌詞というわけではなく、元気が出る強気で明るい歌詞が目立っていて、曲のメロディとも合わせて良かったです。🛫

 

4.ドージャ・キャット

 ワンリパブリックと同様、サントラが大ヒット中!エルヴィス・プレスリーの人生を描いた映画『エルヴィス』に提供された "Vegas" という曲がチャートを上昇してますね。彼女はラップも歌もこなすアーティストですが、特に最近の曲ではラップとも歌ともとれる複合的なヴァース(部分)を含む曲が多く、最初の大ヒット "Say So" のようにラップと歌をはっきり分けるやり方は使わなくなってきたなと思っていました...が、この "Vegas" ははっきり分かれてるタイプで、このスタイルのドージャ・キャットもいいなと改めて思ったまでです。音楽活動引退宣言が話題になりましたが、結局新しいアルバムについても考えているようで引退はしなそう。よかったよかった。

 

5.BLACKPINK

 セカンド・アルバム『BORN PINK』で念願の全米1位を達成!!!バッド・バニーとの一騎打ちでしたが、見事勝利しました。...とはいえ、ここだけの話私は BLACKPINK 含め K-Pop をほとんど聴いていません。BLACKPINK に関しては "Lovesick Girls" をクールでいいな~と思った程度で、チャートの結果に喜ぶ資格があるのか、疑わしいところです。...痛々しい反論をしましょう。なんていうか、マイノリティの活躍を見るのが好きなんですよ... K-Pop の全米1位はBTSを除けばまだまだ超珍しいことだし、女性のみのグループのアルバムが1位をとったのはなんと14年振りらしくて、その意味では今回の全米1位が意味するところは大きいはずです。前作『The Album』(2020) が2位で1位を逃したときもしっかり残念がりました。とにかく、そんなわけで9月は全米アルバム・チャートにいいことがありました。👌

 

6.ハリー・スタイルズ

 ハリー・スタイルズの "As It Was"、全米シングル・チャートでの1位獲得週が15週目に入り、歴代3位の長さになりました。もういつ2位のスティーヴ・レイシー "Bad Habit" に抜かされてもおかしくないのに、驚異の粘り強さです。"As It Was" がすごいのは1位への復帰回数ですね、4回も復帰していて。首位の入れ替わりは、一度起こったらもう抜かされた側が1位に復帰することはない、というのが普通です。初登場曲によって首位が奪われた場合はそれは一時的である場合が多いため、翌週か翌々週に抜かされた曲が1位に復帰することはよくあるのですが、他の曲の自然なチャート上昇で首位が奪われた場合はもう「新旧交代」といった感じで1位には戻れなくなるものです。その常識が、外れました。9月の出来事ではありませんが、リゾの "About Damn Time" の首位獲得は明らかに自然なチャート上昇で、抜かされた "As It Was" は普通だったらもう勢いを落としてしまうところ、そうはならずにその後自然な感じで再び "About Damn Time" を抜き返し、1位に返り咲いています。アルバム・チャートではバッド・バニー『Un Verano Sin Ti』が相変わらず1位をとり続けていますが、今年の年間チャート覇者はシングル→ハリー・スタイルズ、アルバム→バッド・バニーで間違いなさそうですね。⏱

(そういえば、最近やっと "As It Was" のMV見た...。最後の方はけっこう緊迫感あって良かったと思う。「ヒット曲のMV」って感じ!)

 


 

スリーパー・ヒット・・・発売当初は人気が出なかったものが、数年後に何らかの理由で出始めて起こるヒット。

無名アーティストの TikTok 経由のスリーパー・ヒットは少なくないけど、

有名アーティストのそれはなかなか見ない。

なのに、今それが3連続で起こっている。怖い。

🐍 今月は以上です。ありがとうございました。 🐍

 



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