オコジョ、チャート・レビュー

洋楽チャートの感想や予想を長々と述べます。速報性はありません。

ハロウィンがチャートに与えた影響のまとめ

2023-11-10 | チャートまとめ

 

ジェリー・ロールの "Save Me with レイニー・ウィルソン" が、思った以上にチャートを上昇している。

お茶の間で流すには重すぎる曲だから、正直びっくり。苦手な人もいそう。

だけど、こういう曲も必要としている人がけっこういるのかもしれない。

ちなみに "Save Me" は何年も前にソロのオリジナル・バージョンがリリースされていて、

それが、今年レイニー・ウィルソンを加えた「新バージョン」として再リリースされ、最新アルバムの収録曲にもなった。

 


 

初のハロウィン・チャート・アクションまとめ!!

タイトル通りハロウィンがチャートに与えた影響を、UK / US チャートそれぞれで確認していきます。

ずっと気になってはいたのですが、ついにやる気になったので、良かったら軽く読んでみてください。🎃

 

~目次~

1.ハロウィン効果とは

2.UKチャートにおけるハロウィン効果

3.USチャートにおけるハロウィン効果

4.結論

 

1.ハロウィン効果とは

 10月31日になると、アメリカやイギリスでもハロウィンのブームが起きて、多くの人々が仮装したりイベントを楽しんだりしますが、同時に「ハロウィン・ソング」なるものの音楽消費も増え、それらのストリーミングが急上昇します。「ハロウィン・ソング」とは、お化けや血などホラー系の要素が何かしらある楽曲のうち、毎年ハロウィンの時期にパーティーやイベントのBGM等でたくさん使われ、この時期に流すのが定番となった曲と、明確にハロウィンのブームを狙ってリリースされた曲の2種類があって、それらはどちらもチャートに影響を及ぼします。これを、とりあえず「ハロウィン効果」と呼ぶことにしました。なお、基本的には前者が比較的古い曲で、後者が新しい曲ですね。前者の方が影響力が強いのでそちらをメインに見ていきますが、新曲についても確認します。🦇

 

2.UKチャートにおけるハロウィン効果

 まず、UKチャートでのアクションを見ていきます。10月31日が集計期間に含まれる週を2017年から見ていき、ハロウィン・ソングが当週にいくつランクインしているか、どの順位にランクインしているかを調べました。以下の通りです。

(すみません、スクショなのでぼやけています...。

 

 最初に、ランクイン数に注目します。2017年の時点ですでに3曲、ランクインしていたのですが、それは年々減っていきました。2017年の3曲(マイケル・ジャクソン「スリラー」、レイ・パーカー・ジュニア「ゴーストバスターズ」、ボビー・ピケット「モンスター・マッシュ」)がイギリスでもアメリカでもド定番の3曲なのですが、2019年はそれらはいずれもチャートインしておらず、代わりに新曲が1曲だけ、100位にギリギリで入っています。しかし、翌年以降ハロウィン効果は復活し始め、定番の3強以外のハロウィン・ソングも入ってきてランクイン数は増加傾向に転じました。今年は過去7年では最多の8曲です。個人的には、クリスマスほど激しいアクションにはまだなっていないものの、十分興味深い傾向ですね。

 次に、順位についてです。2017~2019年はランクイン数と同様全体的に下がっていますが、2020年に復活して以降は全体的に上がってきています。これまではやや下位の方で起きていた効果だったのが、今年はもうTop20にまできてしまいました。上位に変動を起こすレベルです。いよいよ見逃せませんね。

 最後に、新曲に関して。上表のうち、2017年以降にリリースされた新曲ハロウィン・ソングは2019年のAJトレイシー & Young Adz "Halloween" のみです。新しいものがリリースされてはいるのでしょうが、音楽で行事を楽しむというブームがやはりまだクリスマスほどにはなっていないことでハロウィン用でもあまりストリーミングが伸びず、チャートインしない感じで、それを受けてハロウィン・ソングのリリース自体も少なくなっていると思われます。...ただ、チャートを見ていくうえで少し面白いものを発見しました。序章で定義した2種類のハロウィン・ソングのうち、前者に該当するのですが、2019年リリース、2020年大ヒットのザ・ウィークエンド「ブラインディング・ライツ」が定番曲になりつつあります。ピークを終えてチャートから消えてからも、毎年この時期にはなぜかリエントリーしていて、不思議だったのですが、調べたら仮装した人たちのダンス動画なんかがあって、2021年には曲の「ハロウィン・バージョン」も出ていたみたいです。歌詞の内容は恋愛についてですが、同曲はMVが確かにちょっとホラーで、血まみれのザ・ウィークエンドが踊ったりするのが印象的。「しつつ」なので定番ハロウィン・ソングとしてカウントしなかったのですが、自分の時代に大ヒットした曲がそうなるのを見るのは、面白いです。👻

 

3.USチャートにおけるハロウィン効果

 続いて、USチャートでのハロウィン効果です。アメリカも、シングル・チャートを7年分調べました。先に言ってしまうと、「古いヒット曲は50位より上にしか再ランクインできない」というチャートのルール(より詳しくはこの記事参照)により、効果はイギリスより小規模なものになっていて、そのためランクインする曲は簡単に数えられるほどです。そうした事情もあって表を少し変えましたが、以下の通りです。

 

  2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023
マイケル・ジャクソン「スリラー」 - 31 44 48 19 26 21
Bobby Pickett「モンスター・マッシュ」 - - - - 37 47 38
レイ・パーカー・ジュニア「ゴーストバスターズ」 - - - - 40 49 45
ロックウェル「サムバディ・イズ・ウォッチング・ミー」 - - - - 42 - -
リル・ウージー・ヴァート「ディーモン・ハイ」 - - - - 61 - -
シチズンズ・オブ・ハロウィーン「ディス・イズ・ハロウィーン」 - - - - - - 41

 

 まず、ランクイン数ですね。2017年はゼロで、2018~2020年は1。「スリラー」のみで、上記ルールがあったとはいえ本当に小規模な出来事に見えます。ところが、2021年は急増。不自然なくらい増えています。思い当たることとしては、パンデミックやロックダウンでしょうか。2020年は規制や閉塞感が強くて、とてもハッピーにハロウィンを楽しめない、みたいな人が多かったのかもしれませんが、翌年にはだいぶそれらはマシになって、前年の反動でハロウィン・ブームが一気に強まった可能性があります。それにともなって、ハロウィン・ソングのストリーミングも増えたということでしょう。2022年以降は落ち着きましたが、水準は2020年以前より明らかに高くなっています。

 そして、順位。イギリスと同様最初の方は下がっていますが、2021年以降はどちらかというと上昇傾向です。分かりにくいのが、2022年・2023年はどちらもテイラー・スウィフトの新アルバム・リリースの効果がある週と時期が被ってしまっている、ということで、今年は再録版『1989』のリリースと同時期、去年は10thアルバム『ミッドナイツ』のリリース2週目でした(2週目ですが、リリース初週のインパクトが強すぎて翌週も効果が色濃く残りました。)仮にテイラー・スウィフトの新曲をチャートからすべて除いて上表に載せた曲の順位を再記録すると、2022年は「スリラー」が17位、「モンスターマッシュ」が34位、「ゴーストバスターズ」が36位。わずかではありますが、それぞれ前年から順位が上がっています。さらに、2023年は「スリラー」が9位、「モンスターマッシュ」が21位、「ゴーストバスターズ」が26位でした。もうTop10にまできていて、かなりびっくりしましたね。テイラー・スウィフトのアクションと、チャートのルールが無かったら、かなり大規模にハロウィン効果が表れていた可能性があります。主張ですが、後者に関してはメリットがあるからいいものの、前者に関しては何度も言っているようにチャートの機能不全を起こす要因になっているので、そろそろどうにかしてほしいです。今回も正確なハロウィン効果がはかれなかったし。

 次に、新曲についてです。アメリカでは、過去7年間では2021年のリル・ウージー・ヴァート「ディーモン・ハイ」のみ。新曲なら51位以下でも大丈夫なので、やはりアメリカでも新曲ハロウィン・ソングはチャートインしづらく、それゆえにリリースも少なそうです。このあたりは、音楽的なブームとしてはまだまだ弱いですね。💀

 最後に、アメリカに関してはアルバム・チャートにおける影響も追加で調べてみました。アメリカのアルバム・チャートは200位まであって影響を計りやすいのと、イギリスのアルバム・チャートはホリデー・シーズンの効果の影響を受けにくいのとで...です。特に近年ののみですが、2022年はまず、「スリラー」を収録したアルバム『スリラー』が61位から19位に上昇。そして、(ソング・チャートにはルールの影響でランクインしなかったものの)定番曲「ディス・イズ・ハロウィーン」を収録したサントラ『ザ・ナイトメア・ビフォー・クリスマス』が131位から22位にジャンプアップしてました。さらに、「モンスターマッシュ」収録アルバム、「ゴーストバスターズ」収録アルバム、アンドリュー・ゴールドのハロウィン・アルバムも下位に登場していて、はっきりと効果が観測できます。また、2023年も、前年と同様に『スリラー』が78位から32位、『ザ・ナイトメア・ビフォー・クリスマス』が54位から25位に上昇。「モンスターマッシュ」収録アルバム、「ゴーストバスターズ」収録アルバム、アンドリュー・ゴールドのハロウィン・アルバムのランクインも確認しました。前年と順位はそれほど変わっていないとはいえ、やはり一定の効果が見てとれます。

 

4.結論

 以上、イギリスとアメリカのチャートにおけるハロウィン効果を見てきましたが、分かったこととしていえるのは、どちらもブームが拡大傾向にあるということです。各国ある程度(屋外での騒動を)規制はするでしょうが、音楽でハロウィンを楽しむことは仮装やイベント参加よりも簡単で、規制されないので、もしかしたら規制が厳しくなるほど音楽のハロウィン効果は強まるかもしれません。また、新曲ハロウィン・ソングはまだまだマイナー市場であることも分かりました。新手の定番曲も、少ないです。しかしながら、定番曲を中心にした音楽的なブームが拡大する中で、付随的に新曲の市場も拡大する可能性があります。将来的には、レーベルにとってハロウィンがビジネスチャンスになる、なんてこともあるのかもしれませんね。ただ事実をまとめただけの記事でしたが、まとめはここまでです。最後にめちゃくちゃ重要なことをいうと、私はハロウィンをもう何年も楽しんでいないし、特に楽しもうともしていません。そんな薄暗い人が書いた記事ですが、読んでくださった方ありがとうございました。

 


 

11/10現在、グラミー賞のノミネート発表生配信をYouTubeで待機中...。

11/10だと思っていたけど、日本時間ではギリ11/11だった(深夜)。

同じ待機者のコメントを暇つぶしに読んでたら、割とK-Popアイドル推しの海外ユーザーが多いことが判明。

K-PopはホントにBTSくらいしかノミネートされないから、まだまだグラミーでは弱いけど、今年はどうなんだろう。

 グラミー、採点結果と感想の記事は、疲れるのでもう少ししてから出します!! 

 



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