最近何かと昔の曲を聴くことが多くなってきた。
聴いてるうちに思ったのは、サビの繰り返しが多い...ということ。
今の曲のそれが少ない影響で、そう思ったんだと思う。
繰り返し、洋楽聴き始めたころは3回が標準だったけど、今は2回でも全然珍しくない。
繰り返しが少ない曲が嫌いっていうわけじゃないんだけど、なんか時代の変化を感じた...。
(以下、昨年の記事よりコピペ)
「ロック / オルタナティブ・ソングス・チャート」とは
2020年に従来の「ロック・ソングス・チャート」から転身して作られた専門チャート。
「ロック・ソングス・チャート」がロックのみを対象としていたのに対して、「ロック / オルタナティブ・ソングス・チャート」はロックとオルタナティブ・ミュージックを対象にしている。
オルタナティブ・ミュージックは大きくオルタナティブ・ロックとオルタナティブ・ポップに分けられ、前者はロックの一種なので従来のチャートでも対象とされていたが、後者はポップの一種(※諸説あり)であるため、従来のチャートでは対象ではなかった。
下の図で、左側の四角形が従来の対象範囲、それにオルタナ・ポップを加えたものが新設の対象範囲。
※「ロック・ソングス・チャート」は2022年に復活しました!一方で「ロック / オルタナティブ・ソングス・チャート」も残っています!
...突然ですが、
2023年はもう8月なので、ここで一度今年のロック事情を整理しておこうと思いました。
ロックの、チャートにおける存在感云々の具体的な話です。
結論から言うと、今のところは「悪いけど、良い兆しが見えている」...といった感じ。
以降、「ロック・アーティストの活躍」と「他ジャンルのアーティストのロック・ヒット」を見ていきます。
↓去年の似たようなテーマの記事(参照)
1. ロック・アーティストの活躍
まず、純粋なロック・アーティストのヒット・チャートにおける活躍を振り返ってみます。ロック / オルタナティブ・ソングス・チャート(以下、「専門チャート」と略)だけでなく、総合チャート(オールジャンルのチャート)にも1週以上ランクインしたロック・アーティストの曲は、2023年は今のところ「8」曲です。そのうちヒットが去年からの続きではなく、確実に今年がピークだと思われるものが「7」曲で、ちなみに去年のそれは「11」曲でした。以下、今年の8曲です。
※緒論あるかもしれませんが、基本的にはチャートの権威は「総合チャート > 専門チャート」です。
①マック・デマルコ "Heart To Heart"
カナダ出身のインディー・ロック・シンガー、マック・デマルコさんの4年前の曲 "Heart To Heart" がバイラル・ヒットし、専門チャートのみならず総合チャートにもランクイン。総合チャートの方では下位ではありましたが、約1か月ほどランクインを続けていました。1回聴けば分かると思うのですが、すごく特徴的な曲です。リラックスを極めたかのようなスローテンポな曲で、思わず笑ってしまいました。ゆったりしすぎていて、面白いです。マック・デマルコという名前は聞いたことはあったものの、こんな音楽なの?って感じで...。
②オリヴァー・ツリー "Miss You feat. ロビン・シュルツ"
2020年にアルバム・デビューし、翌年 "Life Goes On" がバズってブレイクしたオリヴァー・ツリーの、2つ目のヒットです。これだけは2022年にすでにチャートインしていて、ピークも2022年だった可能性があるので確実に今年がピークになると思われる曲にカウントしませんでした。また、オリヴァー・ツリーはオルタナティブ・ロック系の歌手ですが、この "Miss You" は彼の "Jerk" という曲をDJのロビン・シュルツがダンス・ミュージック風にリミックスして生まれた曲なので、専門チャートにはランクインしておらず、ダンス・ソングとしてヒットしたかたちになっています(※)。ただ、ロック・アーティストの活躍ではあるので個人的には嬉しいですね。
※単純化のためこう記載しましたが、本当は別のDJ、サウススターがロビン・シュルツに先行して前述のようなことをしていました。ロビン・シュルツは自身のリミックスにおいてサウススターの活動をシャウトアウトしなかったため、彼は多くのネット・ユーザーから盗み疑惑を持たれています。ただ、ロビン・シュルツのバージョンの方がより大きく、広範にヒットしました。
③ThxSoMch "Spit In My Face!"
今年5月にEPデビューした、新人ロック・シンガー ThxSoMch(サンクスソーマッチ)のメジャー・デビュー・シングル。今年の8曲の中では、唯一の新人です。パンク・ロック曲で、去年から専門チャートでややロングヒットしていましたが、今年に入って総合チャートにも、100位に一瞬ですがランクインしてきました。パンク・ロックならではの疾走感が気持ちいいですね。他ジャンルのアーティストがパンクに進出することが増えてきた直近、彼らの融合的な音楽も好きになれるのですが、純粋なパンク・ロッカーの曲も質が高く、かっこよくて良いです。なお、彼は何かと作品のジャケットに強面の女性を起用したりするのですが、ThxSoMch は男性です。
④リンキン・パーク "Lost"
大ヒットしたセカンド・アルバム『メテオラ』(2003) の発売20周年を記念して今年『メテオラ』の20周年記念デラックス盤が発売されたリンキン・パークですが、発売に際して当時の未発表曲 "Lost" が思いもよらず見つかったため、同曲もリリースとなりました。こうしたケースでリリースされる未発表曲は、チャートとはほぼ無縁のものだと勝手に思っていましたが、"Lost" は全米総合チャートにまさかのランクイン。こんなこともあるんだ、と思いました。ただ、実際聴いてみたら、チャートインも納得のすごい良い曲!逆に当時何でお蔵入りになったの!?と思ってしまいました。チェスターさんのボーカルがあるリンキン・パークの最後の新曲としても話題になった曲です。
⑤ホージア "Eat Your Young"
2014年に「テイク・ミー・トゥ・チャーチ」で一世を風靡したオーストラリアのシンガー、ホージアが新曲 "Eat Your Young" で久しぶりに全米総合チャートにカムバックしました。間にセカンド・アルバム『ウェイストランド、ベイビー!』(2019) をリリースしてはいるのですが、当アルバムからはシングルがあまりヒットしなかったためシングルのヒットは本当に久しぶりです。同曲はつい最近(8月中旬)リリースされた彼のサード・アルバム『アンリアル・アンアース』からの先行シングルで、これまたクセ強曲。遊園地の何かのアトラクションに乗っているかのような感覚を覚えましたね...、新鮮で忘れられない曲です。
⑥フォール・イン・リヴァース "Watch The World Burn"
ハードロック・バンド、フォール・イン・リヴァース初の全米総合チャート入り曲です。これまで専門チャートの方で何曲かヒットが出ていたのでバンドの名前は知っていたのですが、総合チャートの方まで届いていなかったこともあって曲を聴いたことはありませんでした。非常に激しいラップ・ロックでしたね...鳥肌立ちました。ラップを取り入れたハードロックといえばリンキン・パークが第一人者みたいな感じで有名ですが、ラップの破壊力としてはフォール・イン・リヴァースはマイク・シノダを超えている気がします(個人的な感想ですが)。エミネムを想起させる超早口ラップと、この世の終わりを表現したかのようなハイテンポで激しいロック・ミュージックが「何だこれは!?」と頭を混乱させます。メタル・ラップというジャンルの存在は知っていましたが、みんなこんな感じなのでしょうか...?
⑦ノア・カハン "Dial Drunk"
ノア・カハンさんは10年代後半にアルバム・デビューしたフォーク・ロック・シンガーで、去年リリースしたアルバム『スティック・シーズン』と、同名のシングル(タイトル曲)が専門チャートでヒットして去年プチブレイクしました。特に気にしていなかったのですが、彼は今年6月にその『スティック・シーズン』のデラックス盤を発売。その時に新たに収録された曲 "Dial Drunk" が突然全米総合チャート入り(43位)したのと、新たに収録された他の数曲がみんな専門チャートの上位にデビューしたのを見て、驚くと同時に私はようやく彼に注目し始めました。チャート・アクション的には彼はストリーミング・アーティストですが、ストリーミングが強いロック・シンガーなんてこれまでいたことがありません。イマジン・ドラゴンズですらセールス主導ですから。...また、"Dial Drunk" はポスト・マローンを追加したリミックスも後にリリースされており、最近はそれを要因にチャートをさらに上昇しています。今年はまだTop20入りしたロック・ソングがありませんが、最も近いのがこの曲ですね。
⑧フォール・アウト・ボーイ "We Didn't Start The Fire"
最後に、最も新しいものでフォール・アウト・ボーイがビリー・ジョエルのカバー曲を総合チャート94位にランクインさせました。「ハートにファイア」という邦題の昔の大ヒット曲で、個人的には6、7年前にドハマりしていた思い出がある曲です。また、さらに私情ですがフォール・アウト・ボーイは人気ロック・バンドであるにもかかわらずこれまで聴いたことがなかったので、初のフォール・アウト・ボーイでもありました。オリジナルはポップ調ですが、フォール・アウト・ボーイは見事にロック化させていましたね。ちなみに、カバー曲のジャンル定義については、基本的にはカバーした人の所属ジャンルを適用させますが、カバーされたアーティストのジャンルがカバーした人のジャンルと異なるとき(例えば、ポップ歌手がロック・バンドの曲をカバーしたとき)は、その曲がチャート上で受けたジャンル区分を適用することにしています。なので、ポップ歌手がロック・バンドの曲をカバーして、それが結果的にR&Bと判断された場合は曲のジャンルをR&Bと判断してしまいます。カバーは色々複雑なので、ジャンル区分をチャート任せにした感じですね(※これもあくまで私情でした!!)。
以上、今年総合チャート入りした8曲を紹介してきましたが、言いたいことが2つあります。まず、どれも「ヒットした」とは言っているものの、現時点では8曲すべて専門チャート内でのヒットにとどまっており、総合チャートで2か月以上継続的なヒットを記録した事例は今年はまだ皆無。どれも一時的なランクインにすぎません。ノア・カハンの "Dial Drunk" のみ現在上昇中でしっかりした総合チャート・ヒットになる見込みがありますが、去年は4曲、一昨年は8曲もそれがあったことを考えると、今年のロックはかなり弱いです。2020年はたった1曲でしたが、このままでは当時の状況に戻ってしまいそう。2021年にロックは若干復活した感があったのですが、実際そんなことはなかったのかも...。
...とはいえ、今年は2020年とは明らかに違うところがあります。後述しますが、他ジャンルのアーティストが当時以上にロックに進出し、ロック業界が盛り上がっていることと、ロック・ソングに対するメインストリーム・チャートの「壁」が、かなり低くなってきているということです。2020年は、当年をピークとする(総合チャートにも入った)ロック・ヒットが本当にトゥエンティ・ワン・パイロッツの "Level Of Concern" とクレイロの "Sofia" くらいだったのですが、今年はそれが8曲もあります。メインストリームが、継続的にヒットはさせてくれなくても、短期的にはロックに寛容になり始めた証拠でしょう。壁が低くなることは非常に重要なことだと思います。
あと、今年は何かとソロ・アーティストの数が多いですね。去年の「11」のうちソロは3でしたが、今年の「8」のうちソロは5です。ピンクパンサレスは結局ロックとはしませんでしたが、していたら6でしたね。メインストリームの主要5ジャンルで唯一グループ構成のアーティストが多数派のジャンルであるロックも、足元ではソロ・アーティストの小規模デビューが増えています。ロックまでそうなっちゃうの~...?と、これに関しては私は否定的な感想を持ってしまいますね...。
2.他ジャンルのアーティストのロック・ヒット
次に、ロック以外のジャンルのアーティストが今年輩出したロック・ヒットを振り返ります。ロックを自身のジャンルと融合させ、成功させたパターンですね。今年は、カントリー界から2人、ヒップホップ界から2人、ポップ界から1人、フォーク界から1人取り上げられそうです。フォークに関しては、フォーク・ロックはロックの一種として意識していますが、純粋なものはフォークとして意識しています。
>カントリー
昨年から大ブレイクしている人ですが、アメリカ出身のカントリー・シンガー、ザック・ブライアンがロック / オルタナティブ・ソングス・チャートで猛威を振るっています。1発目 "Something In The Orange" は昨年に引き続き大ヒットを続け、専門チャートでは1位をとりました。2発目 "Dawns feat. マギー・ロジャーズ" も、同チャートで安定的にヒット。そして直近では、"Oklahoma Smoke Show" が3発目候補としてチャートを昇っています。ザックさんは元海軍の軍人だそうで、軍人の経歴を経てデビューした人というと、ジェイムス・ブラントが思い浮かびますね。
同じく昨年からブレイクしている人で、カントリーもロックもやっている人にジェリー・ロールさんがいます。昨年 "Son Of A Sinner" で成功して、今年は "Need A Favor" が大ヒットしました。後者は専門チャート1位です。また、ジェリーさんは今年は最新アルバム『Whitsitt Chapel』もヒットさせていて、彼は今が明らかにキャリアのハイライトだと思われます。というのも、調べてみたらジェリーさんはすごい苦労人で、2010年頃にデビューしたものの、なかなか芽が出ず、表に出るまでにすごく時間がかかった人だということが分かりました。ちなみに私は、タイトル通り重くて聴く時は選ぶけど、彼の "Save Me" という曲が好きです。
>ヒップホップ
従来よりそんな感じはあったのですが、ポスト・マローンは最新作でさらにオルタナティブ・ロックに接近してきました。2019年の "Circles" や "Take What You Want feat. トラヴィス・スコット & オジー・オズボーン" の時点ですでに彼の音楽にロックの影響をところどころ感じていたのが、今作『オースティン』からの "Overdrive" なんかはオアシスすら感じるロック・ミュージックになっていて、しかも質が高いのですごいです。私はてっきり、彼はあくまでヒップホップをメインに作品を作り続けていくものと思っていましたが、今作も前作『トゥエルブ・カラット・トゥースエイク』もシングルは歌唱がメインになっていて、「そっちの道でいくのか!」と思いました。
もう一人は、まだあまり詳しくないのですが、d4vd(デイヴィッド)という若手です。パンクやハードロックというより、オルタナティヴ・ミュージックとヒップホップを掛け合わせたようなスタイルで、24Kゴールデンやドミニク・ファイクが近いかなと思います。"Romantic Homicide" で昨年ブレイクして、今年は "Here With Me" が続きました。今年は私は行きませんでしたが、サマソニで最近来日を果たしたみたいですね。
>ポップ
昨年はニッキー・ユーアという新人ポップ・シンガーがプロデューサーの dazy さんと組んだ曲 "Sunroof" で大ブレイクし、同曲はオルタナティヴ・ミュージックの要素もあったので専門チャートでも大ヒットしていたのですが、今年はスティーブン・サンチェスという新人が初頭にチャートで大活躍していましたね。その曲が "Until I Found You" という曲で、エム・ベイホールドさんとコラボしたリミックス・バージョンも公開して昨年から超ロングヒットを記録し、チャートを長らく賑わせてくれました。個人的には、よくこんな昔っぽい曲が売れるな...と驚きですが、それが逆にいいのかもしれません。
>フォーク
純粋なフォークにしろフォーク・ロックにしろ、フォーク・シンガーが現代のメインストリームで売れることは珍しいことだと思います。ノア・カハンさんの他にも最近リジー・マカルパインさんが売れました。ブレイク曲 "Ceilings" はインディー・ポップ感もあって、キャッチーではないかもしれませんが、独特でこんな音楽もあるのかと勉強になります。早い話ですが、グラミー賞の最優秀新人賞にノミネートされそうな雰囲気がありますね。
追加ですが、専門チャートにランクインしているサントラでドミニク・ファイクの "Mona Lisa" (スパイダーマン)とビリー・アイリッシュの "What Was I Made For ?(バービー)" も人気です。後者はもう既に大ヒットしていますね。以上紹介してきたアーティストと曲は、ロック以外のジャンルから専門チャートにランクインし、総合チャートでもヒットした曲。ロック・アーティストのときと違うのは、これらはほとんど総合チャートでもヒットしているということです。やはり何かと融合したものの方が人気が出る、とまとめると少し悲しいですが、一方でアーティスト側はこれら融合的なヒットがたくさん生まれたことにより、ロックは取り入れやすいのだ、と考えてさらにロックへの進出が増えるかもしれません。そしてそれは、リスナーが融合的なものであれロックに触れる機会を自然と増やすものであり、長期的に、潜在的なロック・ファンが増える効果が期待されます。つまり、他ジャンルのアーティストがロックをやって成功することは、将来ロックに良い結果をもたらし得るのです。これも、けっこう重要なことではないでしょうか。
結論です。もう先に言っていましたが、今年のロックは「悪いけど、良い兆しが見えている」!!!繰り返しになりますが、他ジャンルのアーティストがたくさんロックに進出して音楽としてのロックが再評価されているのと、メインストリームがロックに対してかなり寛容になってきているのがロック復興の素晴らしい兆しです。これが、ロックの復活(今度こそ)に寄与しますように...!!!
追記:記事のタイトルの趣旨と、内容がずれました。簡単に現状を述べるだけのつもりでしたが、もう「1年のまとめ」みたいな深いことを書いてますね...。今度からは趣旨ズレ気を付けます。