オコジョ、チャート・レビュー

洋楽チャートの感想や予想を長々と述べます。速報性はありません。

カントリー・スタット!米音楽市場におけるカントリー事情

2022-06-08 | アーティスト別チャート分析

 

パニック!アット・ザ・ディスコが戻ってくる!

さすがに "High Hopes" レベルのヒットはないかもしれないけど、

パワフルなミュージカル・ロックでまたロック・シーンが盛り上がるかも!

 


 

全米アルバム・チャートにおけるカントリー・ミュージック事情をまとめてみました。

といっても、上位だけの話です。範囲広げると大変なので...。

久々の更新ですが、今後も少しずつこういうことをやっていきたいですね。

 

↓今回の項目

①年間で新たにチャートTop10にランクインしたカントリー・アルバムの数

②①のうち1位を記録したアルバムと、それらの具体

 

①年間で新たにチャートTop10にランクインしたカントリー・アルバムの数 🌾

 まず、定義をします。新たに、という言葉を狭くとって「初登場(登場1週目)でTop10入り」したもののみを対象とします。そもそもアルバム・チャートにおいて登場2週目以降に初のTop10入り、というのはあまりないので、無理のない定義だと思います。...まあ、こうすることで調べるのが楽になるのでこう狭く定義したわけですが。 また、他ジャンルのアーティストとのコラボ・アルバムはカウントしないことにします。逆にカントリー・アーティスト同士のコラボ・アルバムならOKですね。最後に、これはもう具体的なことですが、テイラー・スウィフトの再録アルバムもカウントしません。アルバム自体はカントリーですが、テイラーさんはもうカントリー・シンガーではないということで、頭の固い定義かもしれませんが対象外にしました。以上をふまえて、新規Top10入りカントリー・アルバムの数(年間)です。⇓

 

 

 たった5年の記録ですが、明らかに数が減っていますね。2017年は25枚でしたが、翌年にはそれがほぼ半減。2019年に少し取り直したものの、翌年再び半減となっています。2021年は8枚で、5年間で3分の1になったともいえ、チャート上のカントリー事情が急変したととっても過言ではないでしょう。2022年6月現在、2022年のチャートでは4枚の新カントリー・アルバムがTop10入りしており、この調子でいけば2021年と同レベルの数になりそうです。つまり、停滞しているということですね。なお、2016年以前は面倒なので調べておらず、そのために2017年の25枚がどのような数字なのか全然分かりませんが、年間アルバム・チャートの記録から、少なくとも2016年は2017年と同じくらいカントリーの影響力が強かったと思われます。

 カントリー・アルバムのアルバム・チャートでの影響力が弱まったのは、ストリーミング消費の普及が関係しています。ロックやカントリーのアルバムは、ストリーミングよりもCD・LPなどフィジカルの媒体の方が人気で、そういったセールスがチャート上のポイントに繋がるのですが、ストリーミングの普及でまずストリーミング人気の高いヒップホップ、ラテンなどのジャンルがチャート優位に立ち、逆にロック/カントリーは劣位を得ました。次に、ストリーミングという方法自体が人気になっていくにつれ、多くの人々がストリーミングでアルバムを聴くようになり、自然とストリーミング消費に(戦略として)特化したヒップホップ/ラテン・アルバムがより聴かれるようになり、そうではないロック/カントリーのアルバムはストリーミングが解禁されていてもアルバム単位では聴かれなくなっていったと思われます。最後に、2020年のパンデミックも効きました。ダウンロード・通販などの購入方法もありますが、やはりロックダウンによって「外に出てアルバムを買う」という行為が激減したのはフィジカル・セールス全体の落ち込みに効いたと思います。その落ち込みの影響を受けるのは、先述の通りフィジカル媒体が人気のロック/カントリー・アルバムなわけですね。

 

②①のうち1位を記録したアルバムと、それらの具体 

 上と同じように、時系列で見ます。

 

 

 こちらもゆっくり減少していますね...。カントリー・アルバムはTop10入りはできてもナンバーワンはなかなか難しいというのが実際で、それは恐らく2016年以前もです。有名なカントリー・シンガーのディスコグラフィーを見ても、1位をとれているアルバムは多くなく、1位をとったアルバムに特にハイライトが当たっている感じです。📌 1位をとったカントリー・アルバム数は減ってはいますが、新規Top10入り枚数に占める割合でいえば大きくは変わっていないでしょう。以下、年ごとの簡単なまとめです。

 

2017年・・・ 9月にトーマス・レットの3rdアルバム『ライフ・チェンジズ』が初登場1位を記録し、2017年度初、また約1年ぶりのカントリー・アルバム首位としてちょっとしたニュースに。その後、シャナイア・トゥエイン『ナウ』、ケニー・チェズニー『ライヴ・イン・ノー・シューズ・ネイション』が立て続けに首位を記録しました。特にケニー・チェズニーはライブ・アルバムで、同じ週にケリー・クラークソンとクリス・ブラウンが新アルバムを出していたのにもかかわらず、それらを下してチャート1位を奪い取りました。基本的にはチャートの数字で言えば スタジオ・アルバム > ライブ・アルバム なわけですが、ケリーを2位、クリスを3位にとどめて1位をとってしまいました。2017年は年末にルーク・ブライアンの『ホワット・メイクス・ユー・カントリー』も1位を記録しており、アルバムからはたくさんのヒット曲が出ています。ちなみに、『ライフ・チェンジズ』で一番好きなのは "Craving You feat. マレン・モリス" ですかね~..."Marry Me" も大好きなんですが。

 

2018年・・・ 2017年もそうでしたが、中堅やベテランの活躍が主でした。最初の1位アルバムはジェイソン・アルディーン『リアヴュー・タウン』。新たにTop10入りするカントリー・アルバムが減っていく中、堂々と1位を記録しました。これまた多くのヒット曲を輩出したアルバムですね。次に出た1位は、キャリー・アンダーウッドの『クライ・プリティ』。彼女はこれ以降の作品がゴスペル・アルバムだったりクリスマス・アルバムだったりするので、現時点ではこれが最も新しいカントリー・アルバムということになります。そして最後に、ケイン・ブラウンのセカンド・アルバム『エクスペリメント』が1位を獲得しました。これも驚きで、同週にイマジン・ドラゴンズの『オリジンズ』がリリースされていたので首位獲得は彼らだと思っていたのですが、まさかの刺客!といった感じで彼が1位を奪い取っていきました。イマドラは好きなので1位を逃したのは残念でしたが、ケイン・ブラウンならまあいいか、となったのを覚えています。彼も好きな曲多いので。

 

2019年・・・ 初登場2位で、その週の1位も初登場1位の作品だった、つまり新作の争いで競り負けてしまったアルバムを「準No.1アルバム」とすると、これもだんだん減ってきました。2017年は6枚ありましたが、2018年は1枚、そして2019年は2枚です。2019年のそれはジェイソン・アルディーン『9』とブレイク・シェルトン『フリー・ローデッド:ゴッズ・カントリー』で、どちらも11月以降にリリースされたアルバムですが、特に前者は「ついにジェイソン・アルディーンが1位を逃した!」となりそうな結果です(ブレイク・シェルトンの方はベスト・アルバム)。カントリーのチャート劣位が明らかになってくるなか、この年1位をとったのはトーマス・レットの『センター・ポイント・ロード』とルーク・コムズの『ホワット・ユー・シー・イズ・ホワット・ユー・ゲット』。トーマス・レットは再び快挙ですし、ルーク・コムズのこのセカンド・アルバムは2022年現在でもチャート上位をキープする、超ロングヒット・アルバムになりました。カントリーで1位をとれるアルバムが、かなり限られてきたという印象をもった年でしたね。

 

2020年・・・ ロックダウンによりフィジカル・セールスが打撃を受けた年!ロックやカントリーだけでなく、ポップもチャート的にきつい年でした。あのケイティ・ペリーが5位ですからね...。唯一1位を記録したカントリー・アルバムはケニー・チェズニーの『ヒア・アンド・ナウ』。これがまたかっこいい1位で、2018年にリリースした前作『ソングス・フォー・ザ・セインツ』が当時アルバム・チャート首位を独走していたドレイク『スコーピオン』にかなわず、2位で終わってしまったのに対し、『ヒア・アンド・ナウ』ではそのドレイクへのリベンジに見事成功!同じ週にドレイクの『ダーク・レーン・デモ・テープス』(未発表音源集)がリリースされていましたが、それに打ち勝ったということです。あ、念のためですが、これは文脈上リベンジとか言っているだけで、ドレイクが嫌いとかそういうことではないです、むしろ好きなラッパーなので。...話を戻して、しかしながらこれ以降カントリー・アルバムの首位は続きませんでした。ルーク・ブライアン、ティム・マグロウ、キース・アーバンと実力派のリリースはあったものの、1位からは遠く...。特にルーク・ブライアンの5位は低すぎじゃない?と思いました。

 

2021年・・・ カントリー・アルバムでいえばもう「モーガン・ウォーレンの年」といっても過言ではありません。1月に満を持してリリースされたセカンド・アルバム『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』が全米1位を記録したのも「おおっ!」となりましたが、それ以降10週連続で1位を独走し、約1年間連続でチャートのTop10にとどまるロングヒットになったのは信じられないような快挙です。カントリーはアルバム・チャートで比較的弱いはずなのに、あたかも彼だけが特別扱いされているようで、2021年はずっと不思議でした。なお、2021年のクリスマス・ウィークの前の週に『デンジャラス・・・』は初めてTop10落ちしましたが、それを除くと2022年6月現在まで、1年以上連続でTop10をキープしていることになります。しかもチャート上のポイントはまだ上昇したりしていて、驚くことだらけですね。ただ、2021年は幸先は良かったもののモーガン以降のカントリーNo.1が生まれず、期待されたトーマス・レットとダン + シェイはどちらも1位から遠い結果でした。うーん、一気に音楽性を変えたトーマスさん、その影響で1位を逃すのはありえても10位は考えられなかったし、前作リリース時より明らかに人気が高まっていたはずのダン + シェイも、チャート上の順位でその前作が記録した6位を超えられなかったのは残念だった。カントリー・アルバムは、大きく売れるのとあまり売れないのとで2極化しつつあるのかも。🧲

 

2022年・・・ 現時点で1位を記録したアルバムはなし。ミランダ・ランバート、ジェイソン・アルディーンらが新規Top10入りを果たしましたが、1位にはつきませんでした。とはいえ、上記二人の成績はまさに安定、といった感じで、人気の不動さを証明する素晴らしいチャート・アクションだったと思います。これからの1位候補としては、申し訳ないことにカントリー・アルバムのリリース情報に乏しいがために誰がいつ新作を出すのか全然分からないのですが、そろそろルーク・コムズやケイン・ブラウンの新作が期待できます。前作では全米アルバム・チャートTop5入りしていたのに、今作で一気にTop10落ち!というのを何回か見てきましたが、この二人に限って言えばありえないでしょう。余談ですが、ルークさんの "Doin' This" にしびれてきたところで、"Doin' This" がシングル・チャートからいなくなってしまいました。応援!!ってなるのが、遅すぎましたね。

 

追記:2022年の新規Top10入りカントリー・アルバム・・・9枚

   1位獲得作・・・なし

 

 以上、全米アルバム・チャートにおけるカントリー・ミュージックの実情を見てきました。本当は年間チャートとかも使って追加的にいろいろ書いてもよかったのですが、エネルギーが足りませんでしたね。 信用力に問題のある報告書みたいな記事になりましたが、読んでくださった方がいらっしゃいましたら、ありがとうございました!

 


 

「パーマリー」?

ブランコ・ブラウンというラッパーとコラボした曲が注目されてたアーティスト?

年末に調べたら、カントリーの4人組バンドだった。

そして今年初めて聴いたら、あれ...?って。

ラッパーとコラボするあたり、ジャンル横断的なアーティストなのかもしれない。面白そう!

 



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