
定家様(ていかさま)ではなく、定家様(ていかよう)。
平安時代の流れるように美しい続け文字ではなく、
上の囲みの中に散らばる、定家が生み出した独特な字体のことです。
その筆跡は当初「悪筆」と評されましたが、江戸時代に大流行。
徳川家康を始め多くの人が真似たそうです。
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今から約800年まえ、平安時代から鎌倉時代に活躍した藤原定家。
定家の偉業は大きく分けて三つあります。
一つ目は、10代からほぼ毎日書き続けた日記「明月記」。
当時の宮廷の様子、天皇行事の手順など、子孫が参考にするためのマニュアルに加え、
天気や星の記録もあることから、国宝や日本天文遺産に指定されています。
74歳までの56年分が残り、冷泉家時雨亭文庫に収められています。

二つ目は、詩歌の制作。
歌人として秀でた定家は、天皇の命を受け、
「新古今和歌集」「新勅撰和歌集」の編纂に携わりました。
三つ目は、写本。
「歌人は源氏物語を知るべきだ」と考える父・藤原俊成に倣い、
源氏物語の研究に力を入れ、書き写して残しました。
現在、紫式部直筆の源氏物語の原稿は残っておらず、
定家の写本が多くの本で参考にされています。
私たちが源氏物語を読めるのは、定家のお陰と言っても過言ではないのです。
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相方を誘った時、
「絵ならエエが、字ばっかりじゃろう」と、乗り気ではなかったのですが、
NHKの大河ドラマを熱心に見ていて、
定家が左大臣・藤原道長の六男の子孫だとか、定家の孫が冷泉家だとか、
紫式部とか、知っている名前があるので興味が湧いたようです。
筆の里工房の30周年企画は、是非おすすめしたい素晴らしい展覧会でした。
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