自称・一兵卒の小沢一郎民主党元代表が20日、最高指揮官である菅直人首相が求めた衆院政治倫理審査会への出席を敢然と拒否した。この“激突”会談で、小沢氏は「懲らしめ」とばかりに離党勧告を暗に突き付けられ、形勢逆転をかけ窮鼠(きゅうそ)猫をかむことはできなかった。権力中枢から離れた一兵卒を取り巻く環境は日に日に厳しくなっている。
「政倫審に自ら出てもらいたいのですが…」
20日午前、暖かい日差しが差し込む首相官邸5階の執務室に小沢氏を招き入れた首相は単刀直入に切り出した。
小沢氏はおもむろに茶封筒から2枚のペーパーを取り出した。「裁判を今後行うことが確定している私が、政倫審に自ら出席しなければならない合理的な理由はない」。3日前、岡田克也幹事長に伝えたのと同じ文面を朗々と読み上げ、首相の要請を拒否した。
首相はさらに畳みかけた。小沢氏が強制起訴議決を受けた10月7日の記者会見で「国会が決めた決定にいつでも従う」と発言していたことを踏まえ、「政倫審で手続きを取れば出るということなんですか?」。それでも小沢氏は「出る必要性がない」と歯牙にもかけなかった。
会談は2人きりで1時間半余りに及んだが、同じ話の繰り返しだったという。それだけ白熱した論争だったともいえる。
「あいつら変わってねえなあ…」
会談後、小沢氏は周囲にこう漏らした。3日前に会談した岡田氏と首相のスタンスが違わなかったことに落胆したのか。それとも、首相らの出方を軽く見ているのか-。