装着困難、高額がネック ダブルタイヤ用のチェーン 福島の300台立ち往生で
福島県西会津町の国道49号で乗用車など約300台が立ち往生する発端のスリップ事故を起こした大型トラックはダブルタイヤ用のチェーンを装着していなかった。
大型トラックは通常、ブレーキの利き(制動力)を高めるため後輪に2本以上のタイヤがある。チェーンを付ける場合、外側のタイヤだけに巻く「シングルチェーン」と内外両方に巻く「ダブルチェーン」の二つの方法が知られている。シングルでは、外側のタイヤが雪をかんでも内側のタイヤは制動力を発揮できず、ダブルと比べるとスリップしやすいとされる。
しかし、ダブルチェーンは高額な上、取り付けも難しいため「豪雪地帯の日本海側を走行する運送業者しか常備していない」(自動車関係者)のが実情だ。
「全日本トラック協会」(東京都新宿区)によると、高速道路は速やかに除雪されるケースが多い。広報担当者は、今回の運転手も高速道の通行止めを想定していなかった可能性を指摘し「『荷物を早く届けなければ』とのプレッシャーもあり、装備を整えないまま坂道の多い国道を選択してしまったのではないか」と推測した。