「スタート前、みんなに『楽しく走れ』と言ってもらって、本当に楽しく走れた。このチームに入って良かった」。
過去2大会の爆発的な走りで、「新・山の神」の称号を得た絶対的エース。そんな「怪物」も、昨春のけがを機に、今季は大不振に陥った。夏場は全体練習についていけず、前哨戦となる出雲全日本選抜駅伝はメンバーから外された。全日本大学駅伝は2区で4位に終わり、敗戦の責任を一心に背負い込んだ。
ようやく復調してきたのは1か月前。本調子ではないが、箱根での雪辱を期す姿に、チームメートが奮起した。2年前は4分58秒差、1年前は4分26秒あった首位との差を、今年は2分54秒に縮めてたすきを託した。
柏原も気迫の走りで応えた。3位でたすきを受けると、持ち前の攻撃的な走りで前を追った。幾重にも続く坂道を、一際高い足音を響かせて駆け上がる。高低差864メートルもある急斜面を、鬼のような形相で攻め続けた。
7キロ手前で早くも東海大をとらえ、16キロ過ぎで首位の早大を一気に抜き去った。終盤はバテたが、最後まで首位は守りきった。ただ一人1時間17分台をマークし、往路優勝に貢献した。
タイムは1年前に自ら樹立した区間新記録に45秒及ばなかった。だが、チームは5時間29分50秒の往路新記録を樹立した。「みんなで往路新が取れて良かった。あすも東洋らしい粘りの走りで優勝したい」。絶対的エースがいなくても、3連覇を狙える真の強さが、今年の東洋大にはある。
柏原君、何か持ってる
何かしらね
お年玉にして貰いたいな