QOOTESの脳ミソ

テキストのみで地味にやらせてもらってます。

シンガポールのライター時代。

2024-08-11 13:49:38 | 日記
2000年になる少し前、シンガポールで記者、ライター?のようなことをしていたことがある。

お得意の「なんちゃって」ライターである(笑)。別にその仕事をしようと思って始めたわけではなかった。

当時は修士論文を書き上げたあとで疲労困憊していたのでアルバイト先から長期休暇をもらって、マレー半島を旅行しようと思っていた。バンコクから南下し、徒歩で国境を越えマレーシアに入り、バスでシンガポールまで行く旅行は一度したことがあったので、今度はマレー鉄道に乗り通してみようと思っていた。

が、そんな話をマレーシア在住の友人にしたら、彼女の知り合いがシンガポールで日本語情報誌の会社に勤めていて人手が足りないから1か月程度編集記者をやってくれる人を探しているらしい。QOOTESくん行ってあげられない?日当と宿泊先、食事くらいは出ると思うから。というメールがやってきた。

面白そうな話だと思ったのでマレー鉄道は諦めて、そっちに行くことにしてみた。フットワークは軽い。

ただ行ってみたら、宿泊先としては会社所有のプール付きコンドミニアムの一部屋を提供されたが、食事も日当もなく(笑)、友人も「話が違うから、帰っちゃってもいいよ」と僕よりも憤っていた。

ただ、どうせ旅行するつもりだったし、バックパッカースタンダードからすると当時のシンガポールの宿泊費はそこそこ高かったので、「毎日記事書いてればホテル付きでシンガポールで遊べるからお得だな(笑)」と思い、なんちゃって記者生活を始めた。

日本語情報誌の中身というのはほぼ広告で成り立っている。朝出勤すると、営業担当が広告を取ってきた企業やお店にアポを取って取材に行ってくれと言われる。言われた通り一日分のアポを取って、その通りに取材をするのが主な仕事だった。

その他、独自の特集記事もあり、それが今年のクリスマスはこんなプレゼントはいかが?的な記事だと、めぼしいハイブランド、ファストファッションのお店にあたりを付けて営業が広告を取りに行き、僕ら記者がそのあとに取材に行く流れ。

記事が注目されるように、広告はいらないからどうしても掲載したいと思うようなブランドや老舗ホテルだと、単に取材交渉をして記事にできるネタを探すために取材をさせてもらう。

資本主義の世界だ(笑)。

シンガポールのスーパーで買える物品を編集部員でいろいろ試してランキング形式で紹介する定例の特集記事は作っていても楽しかった。

観光客、現地在住日本人を相手にしているだけに、広告提供元・取材先の多くはレストランで、そういうところに取材に行くとほぼ必ず試食させてくれて、食いしん坊の僕には最適なアルバイトだった(無給だったけど)。

アメリカから来たバーベキューリブの専門店ではリブをいただき、ピザのチェーン店では焼き立てのピザをいただいた。おいしそうすぎてすぐに食ってしまいそうになるが、写真撮影用に出してくださるので、よだれを隠してまず写真を撮った。会社で指示されたように、下に白い模造紙のようなものを敷いて外で撮影したら、非常にきれいに撮れた。なるほどなぁと思った。

それらの店のアジア大洋州の本拠地はシンガポールのことが多いんです、と運営会社の広報の方に聞いて、心の中で「へぇ」ボタンを連打していたが、続けて「でも、日本だけはそういう枠組みからは離れて独自でフランチャイズ契約をしていることが多いです。」とも言っていた。どれだけ生きても知らないことは多い。

一日におおよそ2~3件の取材をしたが、途中会社に戻らなくてもいいよと言われていたので、朝会社を出て午前いちばんの取材を終えたら、まずスターバックスでダメ人間なのに得意げなデキる人間風な顔をしながら原稿を書いた(笑)。モバイルPCはなかったので原稿はノートに。

当時、スターバックスはアジアではシンガポールにしか進出しておらず、そこで調子こいた仕事をするというのがその頃の僕のささやかな夢。それも無給でシンガポールのアルバイトを引き受けた理由の一つだった(笑)。因みに「調子こいている」の名古屋弁訳は「ちょ-すいとる」である。

新しもの好きのミーハーなので、東京と大阪に日本初のスターバックスが出店したときは名古屋に住んでいたので、大阪 梅田丸ビルの地下にできたスターバックスに真っ先に行った。その時に購入したキーホルダーはまだ使用中。しかし、その後かつてのシンガポールでの僕のように、スターバックスでダメ人間なのに得意げなデキる人間風な顔で勉強したり仕事したりする若者が急増してからは興味が無くなった。ミーハーなんで(笑)。

そんな風にして取り組んでいたその月の情報誌が発刊されるのをもって、僕の1か月のなんちゃって記者生活は終わった。そのあともコンドミニアムにいていいよと言われたので、1週間ほど滞在したような記憶がある。

それまでシンガポールにはちょくちょく行っていたが、その一か月で僕のシンガポール好きは決定的になった気がする。国土が小さいのでそこら中の住宅地の中に気の利いたレストランやお店があって、探索が非常に楽しい。

真夜中にタクシーに乗って運転手さんに「〇〇が美味しいレストランに連れてって」という遊びもちょくちょくした。真夜中でも営業してる美味しい店がシンガポール中のどこかにあるんですよね