『アートと暮らす』~アートセラピストブログ

アートセラピストとして活動するクエストSTAFFが現場の声をお伝えします。アートセラピー情報もタイムリーにお届けします!

私を育ててくれた現場「心のアトリエ」 Ⅱ

2008-12-11 11:39:01 | 心のアトリエ
「毎日その日が終わるとカレンダーに×印をつけて、“はやくアトリエの日にならないかなぁ”って心待ちにしてるんですよ」
と、Hくんのお母さん。

「今日何して遊ぼうか?って聞くと、“アトリエに行こう!”って言うんです」
と、Kちゃんのお母さん。

毎回毎回、扉をドンドンドン!!!と壊れそうなくらいたたいて、扉があくのを心待ちにしている子ども達は、私の元気の素であり、勇気です。

でも、昔、半年位通った女の子Nちゃんは、いつも怒った感じでアトリエの場にいました。
挨拶もしないし、シェアもしない。何かをきいても黙ってる。
笑わないし、けってくることも。
誰かがガムテープをぴーっと貼っていると、「フン!!」と怒りながら、それをすぐにはがしたり。

でも、ある日を境に、笑顔も見えるようになって、たずねたことにも「うん」とか「ううん」とかこたえるようになって、だんだん楽しそうにいる姿が増えてきました。

そして、お母さんの都合で、Nちゃんがアトリエ最後の修了式の日、「ずーっとアトリエで遊んできたね。どうだった?」ときくと、恥ずかしがって彼女は黙ってしまいました。
でも、全部終わって、子ども達みんなが部屋から出ていっても、彼女だけ部屋にずっと残っているのです。
そして、小さな声で「帰りたくない」と言いました。

彼女が変わった境となった日。
その日は彼女と闘った日でした。乱暴で、いやがることをして、誰かが何かきいてもこたえない彼女と、真っ正面から「エイヤー!」と棒を振り回して。

きっと、彼女はもがいていたんだと思います。小さい弟がいて、アトリエに来ても、いつもお母さんのお膝には弟がいて、自分は離れたところにすわってる。思い返してみればば、私たちにも蹴ったり、なぐったり随分してきました。若干乱暴ではあったけれど、「彼女から」いっぱい関わってきていたのです。

どう関わっていいか、触れていいか、伝えていいか、いっぱいもがいていたのかもしれないな、と思うのです。
そんな彼女の気持ちをアートの素材は引きだしてくれました。
そして、同時に受け取ってくれたのです。

いつも、子ども達を見ていると、アートの力はすごいと感じます。
声にならないことも、素材がほんとにちゃんと受け取ってくれるのです。


*もう1回だけつづく*

written by mackey


*アトリエ風景『小麦粉』

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2 コメント

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ありがとう (ロッタちゃん)
2008-12-12 21:49:07
マッキーありがとう!
とってもとってもそう思いました。

今の私に、マッキーの体験がたくさんたくさん響いてきます。


『どう関わっていいか、触れていいか、伝えていいか、
いっぱいもがいていたのかもしれないな、と思うのです。』

大人になっても、親になっても・・・
ぶきっちょながらも、ハートは満タン。


『そんな彼女の気持ちをアートの素材は引きだしてくれました。
そして、同時に受け取ってくれたのです。』

アートのチカラってホントスゴイ!!!
そしてとってもやさしいです。
返信する
ほんとだね。 (mackey)
2008-12-12 22:24:26
アートは力強くて、そしてほんとにやさしいよね。
広い地球のようだよ。

最近のロッタちゃんもすごくキラキラしてる。
私自身が、その姿にとても励まされます。

これからも仲間だ。
いろんなことをシェアしながら、この体験を、場を、育てていこうね!
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