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ハウルの動く城

2005-11-17 14:34:33 | 映画・DVDレビュー
ハウルの動く城 特別収録版

ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント

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出ましたね~。
私が買ったのはこっちの四枚組の方。
映画館で観た時には、ちょっと不満や言いたいこともありましたが、改めて観ると、やっぱり良く出来た楽しい映画です。

特典ディスクには、昨年のヴェネチアから今年のニューヨーク近代美術館での上映まで、各国のプレミアの模様も収められていて(まとめて見ると、鈴木プロデューサーの八面六臂ぶりもすごい!)、その最後のMoMAでのインタビューで、「原作との違いは?」という質問に、監督自ら
「いちばん大きな違いは『戦争』を描いていることです」
と答えているのが印象的でした。
その「戦争」の扱いがこの監督にしては中途半端ではないか、というのも、劇場で見た時の不満の一つでしたが、今回観て、それを前面に出さなかったのは、「戦争」は彼らの「日常」そのものであるという状況を描きたかったからかも知れない、と思いました。

この特典ではなく、別のところで読んだか聞いたかしたインタビューでは、「近頃の若い人の見るものって言ったら、マンガでもドラマでも惚れたはれたの話ばっかりで」などと批判していましたが、しかし、アナタの作っているものだって十分その範疇ですよ、と可笑しくなりました。
冒険活劇、戦争批判、環境問題、「飛ぶ」ことやデカいメカへの愛着等、宮崎駿を語る上で欠かせないキイワードはいくつもありますが、「好きなひとがいるから強くなれる」をテーマとしたピュアなラブストーリイこそ、御大が手を替え品を替えしながら描き続けて来たものではないですか。
『未来少年コナン』『ラピュタ』『耳をすませば』『千と千尋』…
今回は、主人公たちが「正しい」少年少女ではなく、美形だけどあまりやる気がなく、能力がありながら状況をやり過ごすだけだった青年と、健気だけどコンプレックスや不満を抱えた少女だと言うあたりが、新しいところかも知れませんね。
その他、どこか半端だったりいびつだったりする(人)物たちが、敵対したり欺き合ったりしつつも、いつしか集まって家族のようなものを形成して行く過程も面白く感じられました。

思うに、宮崎さんにはあまり映画の外での「言葉」によるメッセージなんて求めない方がいいんじゃないでしょうか?
時期的にはマンガ版『ナウシカ』完結から『もののけ姫』公開前後にかけて、この人から、社会問題に関する、または政治的な言質を引き出そうという動きがあって、その風潮にも、彼の発する「メッセージ」それ自体にも違和感を覚えたものでした。
ご本人は「教祖」になんかなりたくないから、わざと韜晦するようなことを口にして、するとまた、その言葉がひとり歩きして…みたいな状態には、ファンとしても首を傾げてしまいました。
当たり前のことですが、宮崎駿は「社会評論家」ではなくて、映画監督…「映画作家」なんですよ。彼の矛盾だらけな言説の揚げ足を取るより、こういう天才肌の作家の本質や(そもそも好きな言葉ではありませんが)メッセージは、その作品にこそ表れる-----作品にしか表れない、と考えるべきだと、私自身もごく最近やっと気づきました。

特典ディスクだとその他、メビウスとの対談もあり、またピクサーを訪問した時、「ミヤザキサーン!」と駆け寄って来るジョン・ラセターが可愛い。
ディスク2には各国吹替版を収録。米国版ハウル=クリスチャン・ベイルは知っていましたが、彼の渋い声が「ミスマッチの妙」という感じで面白かったです。
おばあさんソフィーがジーン・シモンズ、荒地の魔女がローレン・バコールと、往年の大女優の名前を(プレミア風景では姿も)見て、声も聞けて得した気分になりました。
そして、カルシファーの声がビリー・クリスタルだというのが、個人的には最大のツボでした
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