「そうだな、まず、不思議だと感じる意識こそ、本来の君に属しているということだ。
これから頼りになるのは、その感じ、つまりフィーリングってやつだ。」
’何故、フィーリングが頼りになるわけ?’
「何故なら、それは、君の太古からの歴史をめくるめく体験して来た触覚(フィール)の
つぶやきだからだ。
それは君を護ったり、導いてくれるメッセージを発してくれる。その感じ...ってやつ、だ。
使い慣れた考え方ではなく、そのあいまいとも思えるつぶやきのような、フィーリングに
耳を傾けること。それが君を新しい、そして適切な体験に導く。使い慣れた思考や、感情は
声がでかいから、すぐにそれに捕われてしまう。
しかし、その思考は今までと同じところを廻っているだけに過ぎない。ほんとうは、そこに
は発見も自由も無い。
それ自体が自我なのだから。
そこからはずれて、その形を客観的に観ることを可能にするにはその中から聞こえる控えめな
声を聞きなさい。それを辿って行くプロセスが君の無意識のひとつひとつに灯りをともして
意識化していくことになる。つまり、それが掃除になるんだ。そうして、浄化が起こる。
浄化とは癒しだ。君が頼ることでフィーリングは、応える力を増すはずだ。」
’じゃあ、無意識というのが暗がりで、それを意識化すると光になるって事かなあ。
そして光になった時、癒しが起きる..?
「必然的にそうなってる。そのプロセスが自我の掃除ってことだ。
そうして、君と私の通路にいろんな石ころや岩(ブロック)、ホコリを被ったがらくた類
(もろもろの幼い頃に味わった感情)、たくさんの思い込み(観念)などでふさいでいる
ものが、君のそういう気づきという体験によって取り除かれていくんだ。」
’それを体験するにはどうしたらいいんだろう?’
「そうだな、思い出す、想起するってことだな。
その心構えとしては大きな自分が、自分の心を覗き込む、そんな感じかな。決して判断
しないで、見ること。それがコツだ。そう、可愛い幼子に対する親のように。」
「今まで体験したもろもろの感情.それに君があらためて思いをやること(気づく)によって、
過去の感情は光となって浄化される。そのとき、君はもうそれ以前の君とは違っている。
真新しい君になっているんだよ。
ほんとうの君への道は、そうやって君自身が創って行く。見えない道をたどって行く。
そして、振り返ると来たぶんだけ、道が出来ているんだ。」
もう、外はすっかり夜なのだろうか。ピッコロは未知の世界での体験で、急に疲れと
眠気に襲われたて、いつしかその場に座り込んでいた。微睡むかとおもうと、深い眠
りに落ちていた。
再び気がついたとき、そこは門をくぐる以前の世界だった。
もう朝だった。朝日があたり一面に神々しく降り注いでいた。
振り返ると石の門だけが立っている。昨夜.そこから入って、あったはずの石の大広間は..
消えていた..。
遠くにヤシの木立と、その足下にランタナのブッシュのシルエットが朝日を受けて金色の
オーラをを発しているようだった。
見渡すかぎり、建物といえばこの石の門だけだ。
人影といえば、この石の門に彫り込まれた、黄金の光を受けて聳えたっている羽根を休め
た石の天女だけだった。
ピッコロは独り、茫漠とした静けさと一つだった。
ピッコロは悲しくなった。
あの門をくぐって遭遇したあの世界、あの声も又、はかない夢だったのだろうか?
あの懐かしさは何だったのだろう?
あの手応えは、歓びは、つかのまの幻だったのだろうか..また、あの何かが足りないような
思いを抱いて、さりげない振りをして日々を重ねて過ごすのだろうか。
ピッコロはあの声を求める切ない思いで胸が一杯になった。
と、思ったとたん、ピッコロは、一瞬のうちに.再び門の中にいた。びっくりして転びそうに
なった。
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