ざっきばやしはなあるき  

雑記林花或木 Since 2005-01-01 
美術とか映画とかなんとなくぶろぐ 

水と土の芸術祭2012

2012-10-22 21:20:16 | 美術[ま]
新潟市 水と土の芸術祭

 越後妻有と同じタイミングで3年に1度、新潟市内で開催される「水と土の芸術祭」は2009年に次いで今回が2回目。約70の作品が展開され、そのうち半数が、新潟駅から徒歩や自転車で回れる範囲に点在する。後の半数はバスやクルマでないと無理な距離にある。越後妻有と比べたら作品数もエリア面積も小規模なので、全件制覇もし易いと思う。今回は新幹線で行ったので、遠い物件は放棄して、駅近物件だけに絞って見学。

 1日目は歩いて行ける万代島メイン会場をブラブラ。旧水産会館、大かまぼこ、小かまぼこなどの古い漁業施設を利用しての作品展示。「おもしろ半分制作所」は2階建ての事務所だった建物内部を、無理矢理4階建てに改造した迷路みたいな不思議な空間が広がっている。メイン会場脇にある複合コンベンション施設「朱鷺メッセ」には高さ125mの無料展望室があり、新潟市内や日本海の眺望を満喫できる。

 2日目はレンタサイクルを借りて数キロ圏内をうろちょろ。市街地は平坦地が多いので自転車で走りやすい。でも海沿いの道は狭い歩道に海風で舞って来た砂が積もっていてちょっと走りづらい。

 旧齋藤家別邸は新潟三大財閥のひとつ齋藤喜十郎が大正7年に建てた別荘で、小高い砂丘を利用した庭園が広がり、二階建ての主屋からは仕切りの少ない開放的な窓越しに庭園パノラマが楽しめる。

 そんな古風な屋敷の中に照屋勇賢さんの作品が展示されている。お馴染みの紙袋フォレスト、裏表色違いの高級ブランド紙袋の作品もあって、もう照屋さんのために作られた紙袋と言っても過言ではない。もうひとつ、天井から床すれすれに吊るされたスーパーのポリ袋作品、なんじゃこりゃと素通りしそうになるが、よく見ると明かりに照らされた魚が床にいる。なんとポリ袋には魚の形の切り込みが入っていた。あまりの小ネタについ笑ってしまった。

おもしろ半分制作所の屋根


佐藤仁美 《Heart washing room -こころの洗濯-》


南川祐輝 《おひるねハウス》


王文志 《浴火鳳凰 - Phoenix From The Flames》


旧新潟税関庁舎;1869年(明治2年)の建築


朱鷺メッセ万代島ビル無料展望室から見た日本海


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マウリッツハイス美術館展

2012-06-30 22:56:47 | 美術[ま]
「マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の秘宝」@東京都美術館


 フェルメールの 《真珠の耳飾りの少女》、テレビ東京の「美の巨人たち」のオープニングCGにも出てきた、あまりにも有名なフェルメール作品が来た。知名度ではモナリザの足元にも及ばないだろうが、フェルメールと言ったらこれ!というくらいの人気。神戸市立博物館に巡回したあと、アメリカに向かうらしい。

 1984年にも西洋美術館で「マウリッツハイス美術館展」があった。他にもあったかどうかは知らないが、それには行ってないので 《真珠の耳飾りの少女》 をナマで見るのは今回が初めて。以前やった時は 《青いターバンの女》 とかいうタイトルだったようだ。

 あまり大きな絵ではないが、存在感は大きい。初日から混雑していて、この絵の前だけは1コーナー使ってジグザグの行列ができていて、かぶりつきは「止まらずにご覧ください」な状態だが、後列で見る分には止まって見られる。こんな混雑ぶりと特別にあつらえた展示空間が「あの絵に会えた」という臨場感を増幅させている。

 《真珠の耳飾りの少女》 は特定の人物を描いたものではなく画家が理想どおりに描いた「トローニー」と呼ばれるものだそうだ。だからモデルはいないようだが、今となってはホントだかどうだかわかりゃしない。フェルメールは眉毛の薄い女性が理想だったのだろうか。

 先着1万名にポストカードをプレゼントということで、《真珠の耳飾りの少女》 の絵ハガキをもらった。11am時点で5000人入っていたという噂もある。かなりの人気。

 《真珠の耳飾りの少女》 にたどり着く前に、なんとなく通り過ぎそうにさりげなく展示されていたのは、2008年のフェルメール展にも来た 《ディアナとニンフたち》。あっ、これも来てたのか、見るまで気付かなかった。同じフェルメール作品なのにこの差別は何じゃらホイ。

 わずか300mの距離に 《真珠のホニャララ飾りの少女》 2枚が集結した奇跡の夏。西洋美術館と東京都美術館、見に行かない人はどちらも行かないだろうし、見に行く人は多分どちらも行くのかな。

 どうしても、どう転んでも、どう足掻いても、すぐ近くだからとどんなに諭されても、一身上の都合により片方しか行けない人は、自分の好きなフェルメールのある方に行った方が良い。フェルメールは気にしないという人には、所蔵品約50点のマウリッツハイスよりも、多数の彫刻も含めて約100点のベルリンのほうがいろいろと楽しめる気がするので、もしマンガイチそういう人がいたら西洋美術館を薦めてしまう鴨新米。

 でも東京都美術館は新装オープン第一弾、展示室内にエスカレーターまで完備、ミュージアムショップは以前の数十倍の広さ、ピカピカの目新しさをキョロキョロと楽しむこともできる。
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森村泰昌 モリエンナーレ

2012-06-03 19:14:33 | 美術[ま]
「森村泰昌 モリエンナーレ まねぶ美術史」@静岡市美術館


 女装とかやっちゃう微妙な巨匠、森村さんの展覧会が、静岡駅前で開催されている。静岡市美術館は駅前の高層ビル3階にあり、地下街で通じているので暴風雨でも雷雨でもヒョウでもライオンでも濡れずに安全に辿りつくことができる。

 「まねぶ」は「まなぶ」と「まねる」が合わさったもの。影響を受けてマネをしながら学んできた森村さんの作品と、元になった作家の作品を並べて展示するスタイル。なかにはマネをしたはずの森村作品より、マネをされたはずの元ネタ作品のほうが年代が後になっているものもあり、巨匠になった森村さんがマネされる立場になったとかいうことらしいが・・・ 鼻付き洋梨だけは間違いなくマネしてもらった逸品である。

 アルブレヒト・デューラーのマネをしたという 《メビウス・マンダラの混淆図》 がお気に入り。幾何学的な模様の中に小さな菩薩が多数。そんな菩薩たちがコックピットに納まったエイリアン宇宙船のオペレータみたいで楽しい。

 美術家になるための心得
 (1)熱中すること
 (2)苦しみを味わうこと
 (3)「まねぶ」こころの持ち主になること
だそうで、好きな作品をマネしてみることは大事なことである。単なるパクリは才能が無い事を自白しているようなものだが、インスパイアされてマネしてみて何か新しい方向性が見えてくればそれはそれでいいのだ。

 今回の作品、よく見たら、個人蔵、作家蔵以外は高松市美術館蔵ばかり。それもそのはず、この展覧会は2年前に札幌、北九州を巡回した高松市美術館主催の企画展を借りてきたものだった。
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松井冬子展

2012-01-29 00:24:24 | 美術[ま]
「松井冬子展 世界中の子と友達になれる」@横浜美術館

 美人アーティスト松井冬子の展覧会。横浜美術館寄託作品である《世界中の子と友達になれる》は時々常設展示室に展示してある作品だが、たわわに垂れ下がる藤棚から外をうかがう少女が描いてある優雅に美しい作品。もうちょっと近づいて良く見ると、藤の花の先はぎょっとするような群がるハチの塊になっている。この薄気味悪さが松井冬子。この作品の薄気味悪さはまだ序の口。そのうちに内臓ぼろぼろ出血大サービスの解剖図やら死骸やら幽霊やらが、ぞわぞわと出現する。ぞわわ♪ ぞわわ♪ ぞわわ♪

《夜盲症》という幽霊画が面白い。黒いロングヘアーが足元まで伸びて消失しているような典型的な幽霊スタイルの美女幽霊が、羽根を毟られて死んだチキンをぶら下げている。ただぶらさげているのなら、なんとなく納得しちゃいそうなのだが、この美女幽霊さんはチキンを両手でわりかししっかりとつかんでぶらさげている。そのさまは、シェフがこれから腕によりをかけてチキン料理を作ろうとしているような姿だ。幽霊が作った料理を食う人や、自分でがつがつ食っちゃう食欲旺盛な幽霊を想像してみる。想像しきれないもどかしさが痒くて痒くて笑っちゃう違和感。幽霊なのに笑っちゃう。そんな意図で描いたわけでもないだろうが。
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メタボリズムの未来都市展

2011-10-16 23:25:59 | 美術[ま]
メタボリズムの未来都市展(戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン)@森美術館

 建築のことに詳しいわけでもないけど、なんかこのインパクトのある、大げさな、ほら吹きみたいな建築設計の歴史を見ているとそれだけで楽しい雰囲気。「新陳代謝」:環境に順応する生き物のように姿を変えながら増殖していく建築の名称をメタボリズムというようだ。メタボ検診でアウチが出るのは体内の建造物が増殖しているからである。

 六本木ヒルズの外には新橋にある中銀カプセルタワーのカプセルも展示してある。中には入れないが両側から覗きこめる。カプセルタワーの販促ビデオだかイメージビデオも流れていた。アタッシュケースを提げて颯爽と帰宅するビジネスマン、カプセルに入りデスクでかっこよく仕事の続きを終えて、かっこよくシャワーを浴びて、かっこよくベッドでくつろぐ。ベッドの上でテープから流れるミュージックに合わせてリズムを取っているビジネスマンの枕元では、大きな大きなオープンリールが回っている。ちょっと笑ってしまった(・v・)

 大阪万博の建築エピソードも興味深いし、計画だけでなく実現した建物も一筋縄ではいかない威容を誇っていて面白い。渋谷、新宿、築地などの都市計画のCG映像なども流れていて、物凄い規模の、まさに空中未来都市のような楽園のような東京湾が埋まるほど増殖する都市空間。それを見ながら思ったことは、そこに住んでみたい、ということではなく、うわぁ、移動に時間がかかりそうだな、延々と歩いたら足が疲れそうだな、広いだけ広くて淋しそうだな、こんな海の上のレゴみたいな建物に住みたくないな、きっと引き籠りになって家から出なくなるな、想定外の天変地異が来たらやだな・・・
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諸橋近代美術館

2011-07-16 22:58:46 | 美術[ま]
諸橋近代美術館

 福島県、猪苗代磐梯高原インターから裏磐梯方面に登って行くと現れる、ヨーロッパの古城のような美術館。その美しい佇まいとは裏腹に、ここにはダリの作品が約350点所蔵されている。7年ぶり、2度目の再訪。7年前は横浜から早朝に出かけた。今回は水戸から2時間半、隣の県だけれど、それでも遠い。

 ここの開館期間は4月中旬~11月下旬に限られている。冬は行きたくても行けないような場所にある。今年は震災の影響で開館が大幅に遅れて、6月25日にようやく開館した。今年はコレクション展として「印象派と20世紀の巨匠たち」と、テーマ展示「ダリ 人間への眼差し」をやっている。館内中央の通路はずっと奥まで見渡せて、あちこちにダリの怪しげな立体作品が置かれているパラダイス。今はそのいちばん奥に、ダリが58歳の時に描いた油彩画《テトゥアンの大会戦》が、3m×4mの堂々たる姿を見せている。トイレの壁には《雨後の隔世遺伝の痕》の複製画がさりげなく飾ってあったりして細かく感動。

 サイトにも「一部ナビゲーションシステムでの誤誘導について」という注意書きがある。2度目なのでナビはなくても行けるのだが、買ったばかりのスマホのNAVIを試してみたくて誘導通りに走ってみた。本当の入り口の少し前を右折するように案内されて「この先、右方向です」「左方向です」と進んで行くと、曲がりくねった狭い山道をどんどん奥へと連れて行かれる。舗装もしてないような何もない林の中の道端で「目的地に到着です、お疲れさまでした」と言われた。なんじゃいここは!? 多分、美術館の裏の谷の方なのだろうが、そこから美術館に入る通路はない。まるでダリのだまし絵のようなNAVIツアーである。





パノラマ写真も撮ってみた。
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耳をすまして@茨城県近代美術館

2011-02-26 22:53:31 | 美術[ま]
耳をすまして - 美術と音楽の交差点@茨城県近代美術館

 水戸駅から一番近い美術館が茨城県近代美術館。ここに来るのは十数年ぶり。その時はバイクで来てどこかのホテルに泊まったのだが、様変わりしてしまったせいか、それがどこだったか思い出せない。

 「耳をすまして」は「見えない、聞こえない音を聞く」と題した展覧会。第1部「音楽にあこがれる美術」では音楽に関連するシーンを描いた近代絵画作品が並ぶ。好きなのはラウル・デュフィの《オーケストラ》と、三岸好太郎の《オーケストラ》。他にもマン・レイ、ルドン、カンディンスキー、マティス、クレーなどの見覚えのある作品などが展示してあった。

 第2部「音と交差する美術」になると展示物ががらりと変わる。《4分33秒》という何も演奏しないインチキ曲?を作ったジョン・ケージの作品や、《EARS WITH CHAIR》の藤本由紀夫の作品。これは椅子に座って両耳にパイプをあてると「ヴォワァぁ」と音が聞こえる作品で、東京都現代美術館の常設展示室にあるやつ。1/10スケールのミニチュアも展示してあった。ハムスターが座るとちょうどいいくらいちっこくてかわいい。オルゴールがゴミ箱に落ちる《MUSIC DUST BOX 2》もあった。

 そしてちょうど八木良太氏のパフォーマンス&アーティストトークに遭遇。八木さんはレコードプレイヤーで氷のレコードを回して音楽を鳴らす《VINYL》など妙な作品を数点展示。2009年「ウィンター・ガーデン」@原美術館で実演を見たが、その時は八木さん本人はいなかった。今回も氷のレコードを実演、50人以上の観客が見守る中、コロムビアのレコードプレーヤーに乗せられた氷が回り、音楽が雑音に変わって行く様を興味深げに見守っていた。今日は結構いい感じにいったようだ。その他展示作品の解説をしたり、展示してない作品をムービーで紹介したりでおよそ80分の和やかなトークショーは終わった。

 美術館の脇には水戸市出身の中村彝のアトリエがある。これは下落合にあるアトリエを、昭和63年美術館開館時に新築復元したもの。中村彝といえば「日本の美術館名品展」の時に出品された《カルピスの包み紙のある静物》が好きなので再会できるかと思ったが、残念ながら常設展示はされていなかった。

 美術館から千波湖のほとりを歩いて行くと偕楽園に着く。梅まつりの最中でヒトやクルマで大賑わい。しかし梅はまだ四分咲きくらいで、ちょっといまいちな雰囲気だった。もうちょっと経ったらまた来てみよう。
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アルフォンス・ミュシャ展

2010-06-04 23:26:49 | 美術[ま]
「三鷹市市制施行60周年
 生誕150周年記念 アルフォンス・ミュシャ展」@三鷹市美術ギャラリー


 ミュシャは好きな画家のひとりなので、ぐるっとパスを持って見に行った。お馴染みのポスターだけでなく、油彩、水彩、デッサンなど、もろもろ150点が展示されている。特に好きなのが《黄道12宮》と《ヒヤシンス姫》のポスターで両方とも展示してあった。堺市所蔵の《黄道12宮》の下絵も展示してあったが、左下の円の中に《ムンクの叫び》みたいなのが描いてあった。ありゃいったいなんだったのだろう(゜_。)?(。_゜)


井の頭自然文化園

 ぐるっとパスがあるので、ついでに井の頭公園に向かい、井の頭自然文化園にも入ってみた。初めてだ。鳥や魚、リス、フェネック、ヤマネコ、その他いろいろ、なんとゾウまでいる。そういう動物園なだけだと思っていたら、彫刻園というのもあるという。「動物園のついでにちょっと彫刻も」という気分でいたら、なんとこっちのほうがメインになってしまった。

 長崎の平和祈念像の作者、北村西望(きたむらせいぼう)の彫刻園であった。朝倉文夫もライバルだったという。

 平和祈念像を作成した天井の高いアトリエと、A、Bふたつの展示棟、さらにその周辺にブロンズやアルミ製の像が立ち並び、大小合わせて250点ほどの彫刻作品がずらりと勢ぞろい。展示棟Aには長谷寺の観音もびっくり、高さ9m69cmの平和祈念像の原寸大石膏原型がド~~~ンと半跏趺坐黙想、天を指す右手は原爆を示し、水平に掲げられた左手は平和を示している。階段を上って顔の高さでも見ることができてけっこう壮観。井の頭公園の端っこでこんなモノに遭遇するとは思ってもいなかった。これも、ぐるっとパスラー様のお導きであろう。


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マネとモダン・パリ

2010-04-10 23:13:55 | 美術[ま]
「マネとモダン・パリ」@三菱一号館美術館

 レトロな割にピカピカの三菱一号館美術館はけっこうな賑わい。マネの油彩や版画など70数点と、モダン・パリな画家の作品など大小合わせて約150点ほど展示されている。ベルト・モリゾの肖像がなかなかよかった。

 《死せる闘牛士》は死体の絵である。闘牛場で牛を背景に返り討ちにあって「なんらかの痛手をうけて息をしなくなった闘牛士」が描かれていたが、世間の批判を受けて、上下半分ずつ切断、死体のほうだけ手直しした作品ということだ。上半分はまた別の美術館に所蔵されているというから面白い。そっちには死体の「し」の字も付いてないのに。

 「死体の絵」で盛り上がったまま、しばらく進むと、なんと今度は「自殺の絵」が登場してますます盛り上がる。←なんでや

 ピストル片手にベッドの上で「なんらかの痛手をうけて息をしなくなった男」が描かれている。これもきっと批判されたんじゃなかろうか。そのへんのことは知らない。

 アルフォンス・アドルフ・キュザン《ゲイテ座》、オーギュスト=ジョセフ・マーニュ《ヴォードヴィル座》などの、正立面図や断面図のような建築絵画などもあって、これはこれで好きな雰囲気。
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メディア芸術祭 & サイバーアーツ & AN10

2010-02-08 00:04:25 | 美術[ま]
 六本木と清澄白河をハシゴして、てくのろじじぃ的な作品を中心に見学した。

「第13回文化庁メディア芸術祭」@国立新美術館

 アニメーション、マンガ、アート、エンターテインメントに別れたコーナーで、それぞれいろんな作品を展示、上映していた。映像作品はあっちこっちで順番に上映していたりするので、限られた時間では見切れない。入場無料なので、好きな人は1日でも2日でも入り浸っていても問題ない。まあ、ある意味、問題ない。光ファイバーろくろなんてのも面白かった。学生CGコンテスト受賞作品なども、パンチが聞いていて面白い。2月14日まで。


「サイバーアーツジャパン - アルスエレクトロニカの30年」 @東京都現代美術館

 「アルスエレクトロニカ」はオーストリアで行われるメディアアートの世界的祭典だそうだが、その30周年記念ということで、展示傾向は「文化庁メディア芸術祭」と似通っている。明和電機やポストペットまで出てきて、何が何だか曖昧な気分だったが、観客が操作するインタラクティブな作品もあって、なんかなんとなくなんか面白かった。


「MOTアニュアル2010:装飾」 @東京都現代美術館

 「アニュアル2010」は若手アーティスト10人を紹介する展覧会で、メディアアートとは関係ない。今回は「装飾」がテーマとなっている。

 塩保朋子 《Cutting Insights》は6.5m×3.5mの巨大な紙に、植物と思われる模様を切り絵にした作品。真っ白い紙に当てられた光が、後ろの壁に幻想的なシルエットを映し出している。

 青木克世は、額縁や剣などを陶芸で仕上げた大きな作品を展示している。成功で贅沢な文様が、透き通るようなクリアな白さで迫ってくる。なんか、ゴージャスという言葉が湧いてきそうな雰囲気である。

 山本基 《迷宮》は、10m×17mという広い空間に盛り塩で模様を描くという、気の長い作品を、製作中。床に盛られた塩が、まるで竜安寺の石庭のように整然と、しかし、直線ではなく、カーテンの模様に似たクネクネとうねった不思議な文様を浮き上がらせている。

 そういうわけで、あれもこれも、デカイ。
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前原冬樹展

2010-01-23 23:46:35 | 美術[ま]
「前原冬樹 "いろはにほへどちりぬるを"」 @YOKOI FINE ART

 空き缶やら柿やら何やらを本物そっくりに木彫りする前原冬樹氏の個展を1/30までやっている。東京タワーが目の前に見えるギャラリー。新作として、ワニ革のベルトなどが展示されていた。これは下の板とベルトが一木彫になっている。彫り上げてから油絵の具で彩色すると、目の前で見てもこれが木だとは信じられない物体になる。昨年、長野県で展覧会があったのは知っていたが、ちょっと遠くて行けなかったが、その時の薄い図録が売っていたので買ってきた。
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三菱一号館美術館

2009-10-19 22:28:47 | 美術[ま]
竣工記念「一丁倫敦と丸の内スタイル展」@三菱一号館美術館

 鹿鳴館、旧岩崎邸、旧古河庭園などを手がけた建築家ジョサイア・コンドルの設計により、明治27年に建てられていたのと同じ場所に復元された。歴史を経て古びた状態に復元するのではなく、当時の状態に復元したので、館内はピカピカできれい。3階建てで、1階には天井の高いカフェもある。一号館の裏にはブリック・スクエアという商業ゾーンを含むパークビルが建ち、一号館とパークビルに挟まれた空間が一号館広場という公園になってる。ベンチでなごむ人たちや、カフェでくつろぐ人たちで賑わっていた。巨大なパークビルを背景にした一号館は、ホントにロンドンみたいな異国情緒を感じさせる佇まい。展覧会では、当時の様子や、今回の復元工事に関する記録や現物を展示している。開館記念展は2010年4月6日から「マネとモダン・パリ」というのが始まる。
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ミヒャエル・ゾーヴァ展

2009-04-29 23:57:30 | 美術[ま]
「ミヒャエル・ゾーヴァ展 描かれた不思議な世界」@銀座松屋8階大催場

 東銀座の「たれ蔵」でピリ辛醤油つけ麺大盛りをたらふく食ってしまってから、銀座松屋に行った。

 ゾーヴァ氏も来ていて、サイン会をやっていたが、整理券などを配っていたようで、サインはもらわなかった。

 絵本のような漫画のような、擬人的な動物が出てきたりして、なんか不思議なからくり絵画が面白い。電線の上を渡りブタがやってきたり、クマが洗濯バサミで干してあったり、犬が・・・

 そんなかわいい作品もあれば、並木道で男たちが立ち小便している絵(女もいるよ)とか、ボスが便所からでようとしている後ろで便器から小便が垂れ流れてる絵などの下世話な作品もあったりする。

 客の顔にウサギを押しあてている「瞬間リラックス法」や、みんな真面目なのに父だけバカ面してアッカンベェをしている「父、左から三番目」などの爆笑ものとか。

 映画「アメリ」のベッドのそばのブタランプや壁にかかった絵画がミヒャエル・ゾーヴァの作品だったようで、今日知った。あの映画も不可思議な映画だったもんなぁ。

 こういった、日常の中の「なんでやねん」がミヒャエル・ゾーヴァの魅力なのだろう。



ほぼ日にゾーヴァの面白い記事があった。
ほぼ日刊イトイ新聞
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国宝 三井寺展

2009-02-16 07:03:31 | 美術[ま]
「国宝 三井寺展」@サントリー美術館

 琵琶湖の脇にある三井寺から秘仏がやってきた。妙心寺展に行ったばかりだが、三井寺展のほうは、けっこうたくさんの仏像が来ていて迫力がある。

 まず目を引くのは《不動明王立像(黄不動尊)》。その名の通り、体中がなんとなく黄ばんでいる。いや、そう言うとなんか薄汚い雰囲気に聞こえてしまうが、ゴールデンマンのような色合いが、豪華な雰囲気を醸し出している。牙が生えていて筋骨隆々、ややメタボ腹で剣をまっすぐに構えて正面を睨んでいる。膝と肘がパットのように丸く縁取られていて、右肘などはちょっと赤くなっているから、きっと頬杖をつくのが好きなのだろう。この黄不動尊の坐像は2月 25日から展示されるので、残念ながら見られなかった。

 ゴールデンマンを取り巻くように、幾人もの《智証大師円珍の坐像》が展示されている。みんなシュレックみたいな、たまご頭をしている。やたら足の短い《十一面観音菩薩立像》もあった。その近くにある阿弥陀如来立像は均整がとれていてかっこよかった。《釈迦三尊坐像 康温作》の両脇に座る文殊菩薩と普賢菩薩が、小さいわりに緻密な造りでかわいい。

 《如意輪観音菩薩坐像》は大きくどっしりとしている。頭のデコレーションがものすごいことになってる。立て膝をした右膝に右肘を付けて頬杖をついている。寝かせた左膝だけツルツルピカピカに光っている。きっと昔の人々が「御利益御利益!」とか言いながら触っていたのだろう。

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特別展「妙心寺」

2009-02-11 23:19:58 | 美術[ま]
特別展「妙心寺」@東京国立博物館

 ずいぶん昔、一条紙屋川の親戚の家から今出川通りを西へ歩いていって、北野白梅町から京福電鉄で嵐山まで直行してしまったから途中の妙心寺は行ったことがない。北野天満宮には行ったんだけどなぁ・・・

 ちょっと気になった作品

《普賢菩薩像》 伝馬麟筆・・・これがまた菩薩という名に恥じる一品。くたびれたゾウに乗るむさ苦しい浮浪菩薩、あ、じゃなくて普賢菩薩は、う~ん、昔よく池袋駅の地下でお目にかかった人っぽい感じで、逆に目に焼きつく。

《大愚宗築墨蹟 遺偈》 大愚宗築・・・文末に入滅三日前と書いて、実際に三日後に亡くなったという計画老衰武勇伝がすごい。

《至道無難墨蹟 偈》・・・大きな文字で「平常道」の3文字。ニョロニョロした小さい文字で何と書いてあるのかよくわからない書の中で、ひときわ目立って判りやすい。

《楼閣人物螺鈿座屏》 伊勢屋直七・・・全面に貝細工をちりばめた緻密な作品。

《厳子陵・虎渓三笑図屏風》 狩野山楽・・・左下の岩の色合いが好き。

《山水図屏風》 雲谷等益・・・山水画のわりに、楼閣の直線がカチッと几帳面に描かれているところがいい感じ。

妙心寺で葬儀が行われたという、3歳で死んだ秀吉の子、棄丸(鶴松)の玩具船や武具が並んでいる。とくに小さな鎧が、小さいくせにいっちょまえの鎧だったりしてかわいい。
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