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進化する だまし絵II

2014-08-10 13:31:41 | 美術[さ]
「進化する だまし絵II」@Bunkamura ザ・ミュージアム


 2009年に開催された「奇想の王国 だまし絵展」の続編というわけで、前回出尽くしたので今回はカスだらけかというと、そんなわけでもなく、いろいろな隠し玉がぞくぞく登場し、だまされる心地よさを体感できる。前回たくさんあった浮世絵や幽霊画などは今回は出ていない。

 マグリットが3点、ダリが2点、マグリットの《白紙委任状》は前回来ていたのに今回も来ている。まぁそれだけ、この、樹木を縫うように歩む馬の絵は、だまし絵の基本形みたいな不思議さと判りやすさと、愛しさと切なさと心強さを兼ね備えた優れた作品だということだろう。

 だまし絵展のマスコットキャラとして、定番のアルチンボルド、ゆらゆら動く立体絵画で衝撃を与えたパトリック・ヒューズ、だまし絵日本代表の福田繁雄、だまし絵地球代表のエッシャーなどが相変わらず大活躍。それらに混じって、現代アート展で変なモノを展示する田中偉一郎や、見過ごしがちな小技が得意な須田悦弘なども登場している。

 福田美蘭の《Copyright 原画》は、一見、何が描いてあるのかわからないのだが、あれ? よく見ると、もしや、あいつでは? と思われる、あの有名なキャラっぽいのが見え隠れしている。はっきり描くと夢の国とかいろんな方面から、著作権がうんぬんだからけしからんとか、苦情が出るであろう危なっかしい作品。著作権侵害のセーフかアウトかギリギリのラインを攻めていて面白い。これなどは視覚的トリックというよりも精神的トリックなのかも。そういう意味で言えば、西郷隆盛の肖像や頼朝の肖像なども、実は別人かも、という意味では歴史的だまし絵であると言えないことはないとも言えないようなこともないとは言えるような言えないような。

 この展覧会は兵庫県立美術館、名古屋市美術館に巡回予定。だまし絵展でだまされる訓練をしておけば、オレオレ詐欺やリフォーム詐欺などの凶悪犯罪から身を守ることができる! かどうかはあなた次第です。




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