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フェルメール展2

2019-01-20 19:53:32 | 美術[は]
「フェルメール展」@上野の森美術館

 3か月ぶりにフェルメール展再訪。入場締め切り30分くらい前に行ったら5~6分並んで入場。中は結構な混み具合、特に2階の袋小路になっている展示室が厳しい。あそこを映像コーナーにでもしたらいいのに。先月で《赤い帽子の女》が去り、《取り持ち女》が来た。年末年始を挟んで再び8点がフェルメール部屋を彩っている。《取り持ち女》は割とでかい。女がでかいのではなく作品がでかい。《マルタとマリアの家のキリスト》にはかなわないがそれでもでかいので見やすい。


フェルメール 《取り持ち女》


 《取り持ち女》には4人の人物が描かれている。黄色い服を着た娼婦の女は『お金のためならしかたないわ』という割り切った顔で金を受け取ろうと右手を差し出している。赤い服を着た客が『うへへへへ、ひひひ、ぐへぐへぇ』と鼻息荒く、今まさに女に貨幣を渡そうとしているが、男の左手は早くも女の胸に張り付いている。フライングである。前払いが原則なのに数秒のフライングが発生した瞬間が描かれている。だからこの絵のタイトルは《フライング》でもいい鴨新米。黒い服を纏った取り持ち女(やりてばばあ)は『へっ、スケベ男が! おかげであたしゃ大儲けだわぃ』と、いかにもずるそうな眼をしてこの二人をのぞき込んでいる。絵の中ではわからないがこのばばあには娼婦に渡るよりも多くのお金が渡っているに違いない。そんなばばあの隣で場違いのニコニコ笑顔カメラ目線で観覧者を見ているおじさんはこの物語に関係なさそうで、居ても居なくてもどうでもいい人だ。その《絵画芸術》的な服装からこれはフェルメール自身の自画像だという説も出ている。フェルメールが女郎屋の総元締めをやっていたわけでもなくただ単に自己主張したかっただけで自分の絵に登場しても不思議ではない。『やぁみんな、ボク、ヨハネス、よろしくネ!』とでも言いたいのだろう。


ヨブ・ベルクヘイデ 《パン屋でレースを編む女》


 レースを編んでいる女の姿が、ノートパソコンでネット書き込みに精を出す人に見えてしまう。女の後ろの黒い枠、これは倉庫か何かの入り口なのだろうが、ちょうど女の背景を四角く縁どっているように見える黒がドゥォ~~~~ンと女を浮き上がらせて、極悪な悪口雑言罵詈讒謗を書き込んでいるネット中毒女に見える、ちょっと手を伸ばせばパンがあるので腹が減っても動かない。




 買わなくても何の困難も不都合も無いのだが、ミュージアムショップのレジがぜんぜん混んでなかったのでミントケースを買ってしまった。


・私がナマで見たフェルメールが21点になった。
01.牛乳を注ぐ女
02.小路
03.デルフトの眺望
04.ワイングラスを持つ娘
05.リュートを調弦する女
06.ヴァージナルの前に座る若い女
07.ディアナとニンフたち
08.マルタとマリアの家のキリスト
09.レースを編む女
10.地理学者
11.手紙を書く女
12.手紙を書く女と召使
13.手紙を読む青衣の女
14.真珠の首飾りの少女
15.真珠の耳飾りの少女
16.天文学者
17.聖プラクセディス
18.水差しを持つ女
19.赤い帽子の女
20.紳士とワインを飲む女
21.取り持ち女

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