経緯
自作予定のQUAD#22 真空管プリアンプの回路図を見て、イコライザーアンプ部とフラットアンプ部の、それぞれのゲインを求めてみようとした。
しかし、イコライザーアンプ部のゲインがどこで決まっているか分からない。
更に、イコライザーアンプ部のどこで、RIAAカーブ特性を形成しているのかも分からない。
このまま自作しても良いけど、せっかくの機会だから、ある程度理解してから進めていこう。と、いうことで、調べてみました。以下に、理解できた範囲ですが、報告します。
(図1)イコライザーアンプ部
QUAD#22 真空管プリアンプのイコライザーアンプ部回路のみを抜き出してみた。
回路図から分かる事
・カソード抵抗R3に並列にコンデンサーC2が取り付けられているので、真空管T1はフルゲインで動作している。
・プレートからグリットに負帰還がかかっている。
(図2)単純化した回路図
RIAAカーブ特性とゲイン-周波数特性を見るために、単純化してみた。
単純に見えるが、負帰還回路でR6とC5が接地され、その後で直列にC6(180pF)が入っている。
(図3)RIAAイコライザーカーブとは(参考)
RIAAイコライザーカーブは、抵抗とコンデンサーで、1次のローパスフィルターまたはハイパスフィルターの組み合わせで形成される。
時間値T1、T2、T3は、屈曲点でのフィルターを構成する抵抗とコンデンサーの積の値だ。
QUAD#22 真空管プリアンプの、RIAAイコライザーカーブを構成する素子を探す
図2の単純化した回路図から、図3のRIAAイコライザーカーブを構成する素子を探してみた。
まず、図2でR5とR6とC5の部分で、OUT側からのローパスフィルターとして計算し、さらに負帰還回路なので分母と分子を反転させると、周波数応答G(ω)が求まる。
周波数応答G(ω)の分母がローパスフィルター、分子がハイパスフィルターを形成する。
分母のR6C5の積:75μSは、図3のT3の値と一致し、分子の(R5+R6)C5の積:310μSは、図3のT2の値とほぼ一致する。
RIAAイコライザーカーブのT3とT2の屈曲点を構成する素子が分かったが、T1の屈曲点(ローパスフィルター)を構成する素子が見つからない。
入力部のR1とC1がローパスフィルターを形成しているが、
時間値68μSは、T3よりさらに高周波領域(2341Hz)であり、異なる。
ここで、C6をT1のローパスフィルタの代わりに用いているのでは?と気づいた。
図2で、回路の周波数応答を求めてみる。低周波領域では、C1とC5が無い(オープン)と同等なので、
分母のローパスフィルター部は、低周波(0Hz)から、20dB/decで周波数特性が落ちていることを示しており、RIAAイコライザーカーブのT1から落とす周波数特性を、C6で代用しているのが分かった。
イコライザーアンプ部のゲイン
周波数が1KHzでの、C6のインピーダンスを求めてみると、
884KΩとかなり大きな値だ。負帰還回路に直列に入っている抵抗R5(47KΩ)をほとんど無視できる。
従い、1KHzでのイコライザーアンプ部のゲインは、
イコライザーアンプ部で、RIAAカーブやゲインを決定する抵抗やコンデンサーがほぼわかった。その中で、C6(180pF)は、小さい容量ながら、RIAA特性とゲインの両方を決めている重要な素子であり、経年変化や温度変化に強いコンデンサーを選ぶ必要があるようだ。
なお、理解が十分に出来ていない中での調査です。不明点、疑問点等ありましたら、コメント欄にてご連絡願います。
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OPアンプで等価回路を考えられていて面白いです。
一回やってみたい回路ですが、
QUAD22は次段が500KΩの抵抗負荷を考えられた回路
だったと思います。
OPアンプで果たして付加抵抗の影響がどうなるか知りたくなりました。
カップリングコンデンサーの影響も大きいですね。
OPアンプでも同様に動くと思います。
ただ、再度、図2の単純化した回路図を見て気づきました。
C6があるので、50Hz以下でも20dB/decの急な増幅回路ですので、レコード盤の反りで発生する超低周波を大きく増幅します。
C6に並列に抵抗を付加して、時間値T1(3180μS)にして、増幅を抑えるのが良いみたいです。
しかし、漏れ電流で、自然に実現する可能性があります。