Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
著作権:REN(無断引用転載禁)

 2012年4月号 編集長からの手紙

2012年06月29日 | 編集長からのメッセージ
親愛なるKANERE読者と将来のサポーターの皆さんへ

ここカクマとその近郊は現在、大変な砂嵐で、非常に暑く乾燥した天候になっています。カクマの難民数は日に日に増大しています。しかし治安はこの増大数に対応できず、悪化しています。 難民とホスト・コミュニティー住民との関係は、引き続き不安定のままです。 昨年末以来、KANEREの最新版を出せずに日が経ってしまったのは残念ですが、その分、この版がキャンプ生活の様子をより多くの方にお伝えできるのではないかと期待しています。

キャンプ内の犯罪を減らすには、適切な保安対策が必要です。南スーダン、ウガンダ、エチオピアの国境沿いに広がるトゥルカナ郡の治安状況は、穏やかだと報告されています。 しかし2011年秋に、ケニア国防軍がソマリアでアル・シャバブ対策に取り組んだのを機に、人道作戦の一環として、ダダーブ・キャンプなどでセキュリティ警戒態勢が強化されました。 カクマでもキャンプ内やカクマ滑走路での警戒が強化されましたが、切迫したセキュリティ脅威はありませんでした。

トゥルカナの牛飼いと、トゥルカナ東および南地区出身のポコトの牛飼いの間で、牛への襲撃が何度か報告されました。ウガンダ出身のジーおよびトポザスの牛飼いは、トゥルカナ族に敵対的なままなのです。こうした状況は、長い乾季に牧草と水が不足するとエスカレートします。キタレ、ロドワル、カクマ、ロキチョキオから北西の回廊地帯を通る主要ハイウェイでは事件や盗賊との小競り合いも起きていて、国連とカクマのNGOスタッフがこのハイウェイを通るときは、武装警官の護衛を利用するのが常です。

この版を発行するにあたり、常に自主的に、たゆみなく取り組んでくれたKANEREジャーナリストに、心からお礼を申し述べたいと思います。資金提供なしに新聞を発行するのは簡単でありません。また、ここカクマと海外のKANEREコミュニティーが我々の仕事に対して法的、道徳的にサポートしてくれることに感謝します。隔月に出版し続けるために、こうしたサポートは是非とも必要です。この版は、昨年の11月からキャンプで起きた様々な事柄をカバーしています。出版は遅れましたが、読者の皆様が、これは有益で価値ある報道だと思って下さることを期待します。

キャンプに新たにつけられた番地はキャンプ居住者に歓迎されました。避難所の諸々の不備は、人が密集することに留まらず、家の倒壊による子どもの悲劇的な死までも引き起こす深刻な問題でした。殺人が起き、狂暴な強盗がキャンプの居住者を脅迫しました。 ルワンダ人にとって、難民『停止条項』は、死刑にも相当するようです。UNHCRが難民の地位を認められている人やグループからその地位を剥奪する事態に対して、その最終期限を延期させようと多くの努力が払われました。 新たなキャンプ憲法と選挙手順は、キャンプにおける世論を分けました。

難民を人間倉庫状態で野営させる方針には、『高度な政治的意図』があります。激しい権力闘争の犠牲となった罪のない人たちを確実に生き延びさせるために、支援者の寄付を引き出そうというわけです。しかし、人間倉庫は、家を追われ、移住を強制された難民が世界中の様々なキャンプで悪意や屈辱や虐待に苦しんでいる状況を的確に理解することを阻んできました。 ダダーブのIFO難民キャンプで昨年12月に起きた爆発に関連して、100人以上の難民が逮捕され、尋問されました。国中の難民キャンプに不安の波が伝播し、その結果、キャンプを出る難民の動きが厳しく制限されるようになりました。

キャンプはもっと良質の保護を提供すべきです。難民を見て見ぬふりをするようなことは、あってはなりません。かつての公務員や難民活動家、追放されたジャーナリストなど、教養もあり優秀な難民が、受入国でその才能を生かすことが許されないのです。ケニアのキャンプをはじめ世界中の難民が、単に『基本的な』人権のみならず、『完全な』堂々とした人権を認められるよう、KANEREは主張します。 彼らは、専門家として処遇されるのにふさわしい人たちです。1951年難民条約は、原則となった『基本的な』権利(例えば『難民』定義と『強制送還されない』権利)を述べています。 難民は、キャンプに人間倉庫状態で入れられるべきでなく、一日3グラムの穀類を与えて保護されるべきではありません。 彼らは世界で何かを生み出す市民なのです。国連や世界各国のリーダーは、かつては難民であっても世界に貢献したアルベルト・アインシュタインやマドレーン・オルブライトのような高貴な人びとがいることを、認めなければなければなりません。

皆様がこのKANERE出版を読んで楽しんでくださるように望みます。皆様の活発なコメントや寄稿、質問を歓迎します。 宛先はkakuma.news@gmail.comまで。
敬具


KANERE編集長


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