カクマ難民キャンプでは、2012年1月に採択される新憲法のもと、様々な見直しが行われる。
キャンプをブロック分けするシステムは、キャンプのリーダーシップ、統治意識、コミュニティーの参加意欲を高め、2011年に施行されたキャンプの新しい住所システムへと発展した。カクマ難民キャンプでは、新憲法と歩調を合わせて様々な見直しが行われている。新憲法は、定期的な選挙実施などの新たな方策を取り入れることで、キャンプの生活やコミュニティー間の調和を向上させると思われる。
選挙に備え、150人以上の候補者が、ルーテル世界連盟(LWF)の平和構築コミュニティー支援機構の事務所に申請書を提出し、自分の名前が直ちに登録されるのを熱心に見守った。
キャンプの憲法は、キャンプの方針、民主主義、人権、自由に関するルールを制度化する事が目的であるが、はじめの2つの草案は、コミュニティーリーダー達に強く反対された。最終的な草案は、2011年秋に承認されたが、それも専門家による数回の諮問委員会やキャンプの統治責任者によるコミュニティーリーダーたちへの猛烈な働き掛けによって、ようやく到達したものであった。多くのキャンプ住人は、この憲法ではまだキャンプの倉庫状況の解決には至るまいと思っている。たとえば、この憲法では、難民がなぜ何十年もの間、移住か現地での融合かを選択する自由もなしに、長年、倉庫状態のまま収容され続けているのかについて、全く触れていない。
コミュニティーリーダーや住民たちは、この憲法に対して、複雑な心境を表明している。キャンプの大半の住民は読み書きができないので、憲法の中身を理解するには長い時間が必要だ。カクマ3の女性支援グループのリーダーは次のように話した。「私は、新しい憲法ができて、選挙があると言われただけです。私には、きちんと内容を知り、それに同意する権利は与えられていないのでしょうか?」
カクマ難民キャンプの2011年憲法第2条によれば、憲法の目的は、難民社会の自主的管理を強化し、キャンプでの難民の福祉、福利、諸権利が守られることを保証することにある。憲法を読んだことのある有給のスタッフや学校の教師たちは、新憲法は少なからぬ欠陥が目立つものの、社会に好ましい変化を与えるものだと述べている。「憲法は紙に書かれているが、どのくらい役に立つものだろうか? これからどうなるか注目したい」と言うのはカクマ2の小学校教師だ。
難民のリーダー達は、憲法に関して、いくつかの点で異論を唱えている。多くのリーダーは、新ルールの策定に当たり、コミュニティーに十分な情報開示がなされなかったことに不満を抱いている。別のリーダーは、この憲法は難民をキャンプの中に閉じ込め、管理しようという狙いを強化するものだと反発する。 「我々のコミュニティーでは、全く問題ない。我々は、新憲法を十分理解している。古いリーダーは不満かもしれないが、この憲法は素晴らしい。我々は選挙の準備をしながら、その日を待っている」と語るのは、カクマ1、ゾーン1、ブロック8のソマリア人リーダーだ。
互いの境界が自然の法則に反して区分されたブロックの間では、小さな対立が起きているという報告がある。そのためUNHCRは選挙の日を未だ公表していない。選挙人名簿に登録された候補者にゴーサインが出るまでは、コミュニティーの中で選挙運動をすることも認められていない。選挙運動は、決められた数週間の間だけ行われると予想される。何人かのコミュニティーリーダーは既に、選挙をどう戦うかについての夜間の秘密会議を始めている。特にキャンプ知事の選挙は、カクマキャンプで初めの激戦になっている。
〈キャンプ管理委員会〉
新しいカクマ難民キャンプ憲法は、キャンプ居住地の色々な場所に沢山の委員会を設けた。管理レベルは3段階ある。94個のブロック管理委員会、8個のゾーン管理委員会、そして2個のキャンプ管理委員会。各ブロックの住民はまず、ブロック管理委員会のための選挙管理委員を指名する。キャンプには、94の登録されたブロックがあり、それぞれのブロックに、ブロック管理委員会が置かれる。
ブロック管理委員会は、活動分野ごとの委員会で構成される。活動分野は住居とインフラ、健康と衛生、食料と薪、環境、平和と安全、教育と青少年、女性支援、子ども、身体障害者の家族となっている。
ゾーン管理委員会は、ゾーンの会長、副会長、警備関係者、通訳、それに地域委員会で構成される。それぞれのゾーンには、ブロックごとに選ばれる男女2人のブロックリーダーで構成される地域委員会ができる。委員たちは、議長、男女2人の副議長及び事務官1人を選出する。議長と副議長に選出されたブロックリーダーは、当該ブロックのリーダーの任を解かれ、そのブロックでは補欠選挙により新しいブロックリーダーが選出される。
キャンプ管理委員会は、キャンプ知事、副知事、事務官で構成される。各々のソーン管理委員会の会長と副会長、それに身体障害者と生活する人々の代表を含んだ統合的なキャンプ管理委員会ができる。
選挙は国籍、民族、宗教、性別等に基づく差別を排除して実施される。候補者の能力と献身度で選ばれるはずだ。すべての選挙は、憲法に示されているとおり、無記名投票で行われる。2011年憲法第7条によれば、選挙運動期間が終わると、ケニアの難民省、LWF、UNHCR、それに指名された団体の代表からなる選挙監視委員会の監視のもと、投票が行われる。
かつてのカクマキャンプとは違って、リーダーは、ブロック、ゾーンそして地域において選ばれる。選挙管理委員会のメンバーの一人は、「全体のプロセスは遅れ気味だが、新リーダー選出の選挙は、2012年の3月までには実施されるだろう」 と述べた。
それぞれのブロックでは選挙管理委員会が結成され、ブロックリーダーの選挙準備と地域委員会メンバーの指名の監督を引き受ける独立機構として動き始めるだろう。各ブロック管理委員会の選挙管理委員の大事な機能の中には、選挙運動の監視、投票箱の配布、開票作業の支援などもある。開票作業と結果の公表は投票場で行われる。選挙管理委員会が、選挙監視委員会と共に、当選候補者を公表することになる。
憲法は、広範囲に委員会を設立することで、キャンプ知事に今まで以上の権力を与えている。難民は、権力者がこうした権力を、政策の意志決定に都合よく使い、キャンプの住民たちの日常生活の向上に悪影響を与えるのではいかと懸念している。
〈職務の任期〉
憲法第8条に、選ばれた公職員の任期は2年間で、さらに2年間の再選が可能と明記している。2期を終了した後は、再選されることはない。
第3条では、すべてのケニア政府とUNHCRに登録された人々及びカクマ難民キャンプに住んでいる住民は、この憲法を遵守しなければならないと宣言している。
憲法に関する詳細は、次の章「コミュニティーの話題」の難民リーダーによる見解と意見を読んでいただきたい。
キャンプをブロック分けするシステムは、キャンプのリーダーシップ、統治意識、コミュニティーの参加意欲を高め、2011年に施行されたキャンプの新しい住所システムへと発展した。カクマ難民キャンプでは、新憲法と歩調を合わせて様々な見直しが行われている。新憲法は、定期的な選挙実施などの新たな方策を取り入れることで、キャンプの生活やコミュニティー間の調和を向上させると思われる。
選挙に備え、150人以上の候補者が、ルーテル世界連盟(LWF)の平和構築コミュニティー支援機構の事務所に申請書を提出し、自分の名前が直ちに登録されるのを熱心に見守った。
キャンプの憲法は、キャンプの方針、民主主義、人権、自由に関するルールを制度化する事が目的であるが、はじめの2つの草案は、コミュニティーリーダー達に強く反対された。最終的な草案は、2011年秋に承認されたが、それも専門家による数回の諮問委員会やキャンプの統治責任者によるコミュニティーリーダーたちへの猛烈な働き掛けによって、ようやく到達したものであった。多くのキャンプ住人は、この憲法ではまだキャンプの倉庫状況の解決には至るまいと思っている。たとえば、この憲法では、難民がなぜ何十年もの間、移住か現地での融合かを選択する自由もなしに、長年、倉庫状態のまま収容され続けているのかについて、全く触れていない。
コミュニティーリーダーや住民たちは、この憲法に対して、複雑な心境を表明している。キャンプの大半の住民は読み書きができないので、憲法の中身を理解するには長い時間が必要だ。カクマ3の女性支援グループのリーダーは次のように話した。「私は、新しい憲法ができて、選挙があると言われただけです。私には、きちんと内容を知り、それに同意する権利は与えられていないのでしょうか?」
カクマ難民キャンプの2011年憲法第2条によれば、憲法の目的は、難民社会の自主的管理を強化し、キャンプでの難民の福祉、福利、諸権利が守られることを保証することにある。憲法を読んだことのある有給のスタッフや学校の教師たちは、新憲法は少なからぬ欠陥が目立つものの、社会に好ましい変化を与えるものだと述べている。「憲法は紙に書かれているが、どのくらい役に立つものだろうか? これからどうなるか注目したい」と言うのはカクマ2の小学校教師だ。
難民のリーダー達は、憲法に関して、いくつかの点で異論を唱えている。多くのリーダーは、新ルールの策定に当たり、コミュニティーに十分な情報開示がなされなかったことに不満を抱いている。別のリーダーは、この憲法は難民をキャンプの中に閉じ込め、管理しようという狙いを強化するものだと反発する。 「我々のコミュニティーでは、全く問題ない。我々は、新憲法を十分理解している。古いリーダーは不満かもしれないが、この憲法は素晴らしい。我々は選挙の準備をしながら、その日を待っている」と語るのは、カクマ1、ゾーン1、ブロック8のソマリア人リーダーだ。
互いの境界が自然の法則に反して区分されたブロックの間では、小さな対立が起きているという報告がある。そのためUNHCRは選挙の日を未だ公表していない。選挙人名簿に登録された候補者にゴーサインが出るまでは、コミュニティーの中で選挙運動をすることも認められていない。選挙運動は、決められた数週間の間だけ行われると予想される。何人かのコミュニティーリーダーは既に、選挙をどう戦うかについての夜間の秘密会議を始めている。特にキャンプ知事の選挙は、カクマキャンプで初めの激戦になっている。
〈キャンプ管理委員会〉
新しいカクマ難民キャンプ憲法は、キャンプ居住地の色々な場所に沢山の委員会を設けた。管理レベルは3段階ある。94個のブロック管理委員会、8個のゾーン管理委員会、そして2個のキャンプ管理委員会。各ブロックの住民はまず、ブロック管理委員会のための選挙管理委員を指名する。キャンプには、94の登録されたブロックがあり、それぞれのブロックに、ブロック管理委員会が置かれる。
ブロック管理委員会は、活動分野ごとの委員会で構成される。活動分野は住居とインフラ、健康と衛生、食料と薪、環境、平和と安全、教育と青少年、女性支援、子ども、身体障害者の家族となっている。
ゾーン管理委員会は、ゾーンの会長、副会長、警備関係者、通訳、それに地域委員会で構成される。それぞれのゾーンには、ブロックごとに選ばれる男女2人のブロックリーダーで構成される地域委員会ができる。委員たちは、議長、男女2人の副議長及び事務官1人を選出する。議長と副議長に選出されたブロックリーダーは、当該ブロックのリーダーの任を解かれ、そのブロックでは補欠選挙により新しいブロックリーダーが選出される。
キャンプ管理委員会は、キャンプ知事、副知事、事務官で構成される。各々のソーン管理委員会の会長と副会長、それに身体障害者と生活する人々の代表を含んだ統合的なキャンプ管理委員会ができる。
選挙は国籍、民族、宗教、性別等に基づく差別を排除して実施される。候補者の能力と献身度で選ばれるはずだ。すべての選挙は、憲法に示されているとおり、無記名投票で行われる。2011年憲法第7条によれば、選挙運動期間が終わると、ケニアの難民省、LWF、UNHCR、それに指名された団体の代表からなる選挙監視委員会の監視のもと、投票が行われる。
かつてのカクマキャンプとは違って、リーダーは、ブロック、ゾーンそして地域において選ばれる。選挙管理委員会のメンバーの一人は、「全体のプロセスは遅れ気味だが、新リーダー選出の選挙は、2012年の3月までには実施されるだろう」 と述べた。
それぞれのブロックでは選挙管理委員会が結成され、ブロックリーダーの選挙準備と地域委員会メンバーの指名の監督を引き受ける独立機構として動き始めるだろう。各ブロック管理委員会の選挙管理委員の大事な機能の中には、選挙運動の監視、投票箱の配布、開票作業の支援などもある。開票作業と結果の公表は投票場で行われる。選挙管理委員会が、選挙監視委員会と共に、当選候補者を公表することになる。
憲法は、広範囲に委員会を設立することで、キャンプ知事に今まで以上の権力を与えている。難民は、権力者がこうした権力を、政策の意志決定に都合よく使い、キャンプの住民たちの日常生活の向上に悪影響を与えるのではいかと懸念している。
〈職務の任期〉
憲法第8条に、選ばれた公職員の任期は2年間で、さらに2年間の再選が可能と明記している。2期を終了した後は、再選されることはない。
第3条では、すべてのケニア政府とUNHCRに登録された人々及びカクマ難民キャンプに住んでいる住民は、この憲法を遵守しなければならないと宣言している。
憲法に関する詳細は、次の章「コミュニティーの話題」の難民リーダーによる見解と意見を読んでいただきたい。
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