2010年11月中旬に新しい人口集計作業が始まり、カクマキャンプ内は緊張した空気に包まれた。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が行う照合作業は、長くキャンプにいる難民には恒例の行事になっているが、今回ははじめてケニア政府の協力を得て人口調査を行う。最初の数日間、難民の多くはケニア政府が介入していることを懸念した。
カクマキャンプでの人口照合の第一の目的は、現在キャンプ内に暮らしている難民と難民認定申請者の数を把握することや、他の様々な統計学的情報を得ることにある。行政サービスや人道支援などの様々な計画に政府を介入させ実効あるものにするためには、正確な人口統計が必要なのだ。
UNHCRによる照合作業の知らせは、キャンプ全域に配布され、支援を受けている者の名前と登録番号が書かれた表が掲載された。難民達は指定日になると、キャンプの外れにあるUNHCR事務所に行くが、中に入って身元を証明する前に、建物の外で自分の名前が呼ばれるのを待たなければならない。キャンプ内で配られたUNHCRの告知文には、こう書かれている。「以下の国籍登録者:規模が1のエチオピア人家族、カクマ1に住んでいるウガンダ人とジンバブエ人。以上の者は指定日の朝6時半までに照会所に集合」
難民達は、キャンプの外れにあるUNHCRの建物で行われる照合作業に参加するために長距離移動しなければならないことに、不満の声を上げている。難民や難民認定申請者は、UNHCRやケニア政府難民担当局(DRA)事務所への交通機関もないので、照会所で報告をするために、朝早く家を出なければならなければならない。中には、照会所に時間までに到着するために、朝4時に家を出てキャンプ内を横断しなければならない人もいた。
KANEREの取材によると、いくつかのコミュニティーの指導者は、UNHCRが「距離を考えていない」ことに反対していた。UNHCRと難民コミュニティーの指導者との初期の会合で、老人や病人や障害者などはUNHCRが交通手段を手配するか、個人の家で調査を行うとの合意がなされた。しかし、どちらの約束も守られていない。「私達のコミュニティーには、多くの障害者や老人がいます。それなのに、彼らはまだ統計に含まれていません。中には、UNHCRの告知板に張り出された自分の予定日の登録番号すら知らない難民もいます」と、第5地区の指導者は言っている。
難民の多くが、キャンプの端にあるUNHCRの建物から7キロも離れたところに住んでいる。慣れない早朝に外を歩き、センターが混んでいると夜遅い時間に帰ることになる。これはとても危険なことだ。キャンプ内での襲撃事件を耳にしているので、最近は誰もがそうした時間に外を歩くことをとても怖れている。またスーダン難民のリーダーは、人口調査は南部スーダン人の住民投票の機会を妨害するものになりかねないとし、「UNHCRに、住民投票の期間中は南部スーダン人の人口調査を行わず、日程を変えてもらうようにお願いする。国民投票は、南部スーダン人にとってとても大事なことなのだ」と述べた。
人口調査の対象とされている難民と難民認定申請者は、指定日の朝6時半までにUNHCRの建物に登録に行き、職員に呼ばれるまで待たされる。したがって当日の食料等も持参するように指示されている。あまり長い時間待たされるので、幼い赤ん坊を連れた母親達がUNHCRに対し正門のところで冷たい水と軽食を配るように要求したほどだ。
調査会場で、不満を言い合う難民もいた。この調査はとても時間がかかるし、対応も悪い。おまけに、どこに並んでいいのか分からないような列で長いこと待たなければならないと言う人もいた。エチオピア難民は、「私は、カクマキャンプで5回も人口調査の対象になりました。私は定住するつもりはないと分かっているはずなのに、まだ私に対する調査を繰り返しているのです」と言っていた。
この調査について、DRA職員はKANEREに電話で次のように話した。「すべてが予定通りに進んでいます。私達はキャンプの地区ごとに、人口を数えています。現在はまだ、カクマ第1地区を調査中です」
UNHCR職員によると、この調査は、ケニアで難民関係の問題を扱っているDRAと協力して始まったという点で、他の調査とは違っているとの事だ。DRAを通じて、ケニア政府が人口調査を行い、難民や難民認定申請者に発行される身元証明書類の個別番号を割り当てる。UNHDRの職員は匿名で、「我々は2月初旬までにこの調査を完了する予定だ。この調査で、キャンプ全体で登録されている難民の数を調べる」と話した。
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