Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
著作権:REN(無断引用転載禁)

2009年3-4月号 ダルフール人、女性教育を開始

2009年08月16日 | 教育
【写真】ダルフール人女性のための英語教室、最近の風景

ダルフール人コミュニティーが始めた女性のための英語教育は、大きな成果を上げている。しかし人道支援団体のサポートはない。

2008年9月、ダルフール人コミュニティーは、コミュニティーの女性に英語を教えるという画期的なプロジェクトを始めた。プロジェクトは若い男性2人が思いついた。ダルフール人女性は英語が話せないのだ。

ファレドとカニスは二人とも、2007年にダフールからカクマ難民キャンプにやってきた。到着してすぐ、彼らは国際救済委員会(IRC)の成人教育の授業を受け、2008年には初級、中級、上級クラスを無事終えた。ファレドはスーダンにいる時、ジュバのハルツーム大学芸術学部に所属し、2005年に卒業している。

ファレドとカニスはキャンプで教育を受けている当時から、スーダン女性が市場やミーティング、食料配給所でのやりとりに四苦八苦しているのを見てきた。彼らは自分達が持っている知識を女性達が持っていないことに気づき、この知識を効果的に普及しなければと考えた。

彼らは、自分達の知識とエネルギー、時間をダルフール人女性に英語を教える事に注ごうと決めた。同じ民族なのだから、彼女達の問題は自分達の問題でもあるという考えのもと、ボランティアで教えている。この二人の教師によると、目的は、英語の知識や技術を与える事で女性を力付け、コミュニティーでの彼女達の生活を改善していく事にあるという。

二つのクラスが設けられた。一つは初級クラスで、英語を全く知らない人達のクラスであり、もう一つは中級で、少し英語の知識がある人達のためのクラスである。現在、クラスは週4日(月曜、火曜、木曜、金曜)の午後に行われている。スケジュールは教師の都合により、変更される事もある。

クラスの教材はどうしているのか聞くと、一人の教師から素晴らしい答えが返ってきた。チョークは、ダフール小学校の生徒が持ってきてくれる。生徒達は学校で余ったチョークを女性のための英語教室に寄付してくれるよう、先生に頼んだのだ。教材としては、ポロタカ小学校の教室を一つ借り、その教室の黒板を使っている。午後は毎日、教室を使えるよう、小学校校長に要請し、許可を得た。

教師は二人とも、自分達がかつて受けた英語教育のノートを教材の資料として使っている。またキャンプの学校に通っているダルフール人生徒から、英語の教科書を借りている。女性聴講生は皆、自分でノートとペンを買っている。参加者も、このプロジェクトの運営に少しずつ協力している。

〈良い影響〉

このプロジェクトを立ち上げ、運営してきた努力の効果を考えると、参加者もコミュニティーメンバーも皆この結果に喜んでいる。クラスを受講している女性達はこのプロジェクトで得たものを誇りにしている。一人の女性は、「今は,『これから市場へ行くの』と言えるようになったわ」と誇らしげに笑みを浮かべた。現在は、文法を少し間違えるものの、英語で考えを伝えることができるようになった。

この計画はすでに、生徒達の間で成果を上げている。教師によると、大勢の女性が自信を得て、今までは見向きもしなかった講座に参加したり、参加を申し込んだりしている。今も数人の生徒が、イエズス会難民サービスのカウンセリングコースやウィンドル・トラスト・ケニアの英語コースに受講を申し込んでいる。

教師もコミュニティーメンバーも、大勢の女性が以前より英語が出来るようなった事に誇りを感じている。

〈人道支援機関の援助不足〉

このプログラムがコミュニティーに良いインパクトを与えているのは明らかだが、まだやらなければならない事もある。教師たちによると、箱入りチョークがいるし、ノートやペン、そして適切な読み物や教材も必要だ。教師にしても、自分達の知識を広げるために、もっと勉強したいと思っている。

ファレドによると、このクラスがスタートした直後の2008年9月に、ルーテル世界連盟(LWF)にノートやペンなど役立つ物を援助してほしいと申し出たと言う。ルーテル世界連盟はクラスの様子を見にくると約束した。しかし、来てはくれなかった。ファレドは、教師も生徒も「つくづく嫌になり、失望した」と言う。そして、もうルーテル世界連盟には協力を求めないことにしたそうだ。

UNHCRには支援を求めていない。ファレドは、この可能性も考えた。しかし、予約申込書がないと、UNHCRの事務所に入ることはほとんど不可能だとわかった。UNHCRに予約申込書を貰う手立てがないので、UNHCRの支援を期待するのは時間の無駄だと思っている。

〈自立へのサポートとコミュニティーの独創力〉

UNHCRの2009年の目標の一つに、事務所は「女性や若者の生活力を強化し、技能を習得させ、自立をサポートし,難民の本国帰還や社会復帰に備える」 (UNHCR Global Appeal 2008-2009,)とある。ダフール人コミュニティーの女性のための英語教育プロジェクトは、まさに自立をサポートし、生活力を強化するもので、純粋にコミュニティーをベースとした試みである。残念ながらこの計画は、どのNGO団体からもUNHCRからも、後押しされず、協力されていない。

ダフール人コミュニティーの、女性に対する努力は、感動的で素晴らしい。彼らの試みは、すべての人々に能力がある事を再認識させる。その能力を使えば、周りの人々、特に母親や姉妹、娘達を良い方向に導く事が出来る。

革新的に始まったこの教育は、すでにコミュニティーに良いインパクトを与えている。しかし、このグループが支援も協力も得られなければ、間もなく終わってしまうかもしれない。ダフール人が始めたこの教育は、NGO団体に受け入れられ、援助される必要がある。教師も生徒達も安心してプログラムを続けることができるような支援が必要なのだ。

引用:UNHCR Global Appeal 2008-2009


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