カナダで高等教育を受けたいと願う人の中には、自分の名前を警察の指名手配広告に載せられた人もいる。今年は30人の学生にカナダへの片道航空券が与えられるが、学問を志す若いコンゴ人4人は、その最高の機会が原因で、身を危険にさらしかねない事態にまでなった。
今回問題となったウィンドル・チャリタブル・トラスト(WCT)の奨学金申請の手続きは、ナイロビのコンゴ大使館に書類の認証を得ることが必要とされていた。この団体は今回、奨学金を申し込んだ難民たちの中等教育の証明書や国家資格をナイロビのコンゴ大使館に手渡すという失態を犯したのである。
今年は、かなりの数の申請者が第一関門である面接に合格した。しかし合格者に対し最後に告げられたのは、自費で入学するか、授業料の安い学部に替えろという要請だった。
自分でお金を集め、大学の入学にまでこぎつけた人もいるが、骨を折ってこの要請に応えたというのに、待機を命じられた人も大勢いた。夢は、かなわぬままだ。
奨学金申し込みの手続きを行う団体が、学生や難民向けの基金を団体幹部の親類のために使っているという報告は、近年絶えない。
昨年、中等教育の証明書を提出し、問題なしとされていた人たちが、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の承認書がないとして突然はねつけられたことがあった。(この書類は、その人がUNHCRの基準に基づき、難民であるとの証明) 面接に合格した後、彼らにはさらなる関門が待っていた。「残るは試験だけだと思っていました」と、ひとりは言う。「びっくりしたのは、UNHCRのコミュニティーサービスとWCTから、提出書類の認証を得るために、郵送料を払うよう言われたことです」
その金額を払うことはなかったが、彼らはそうした書類がカクマに戻ってくるまで待機せざるを得なかった。書類が真正であると認証されてはじめて、この3人のフランス語を話す学生たちは合格者の列に戻ることができた。
さらに11月10日、申請者たちは自分の身を守るようにとの通達を受けた。彼らの名前が地元紙に載り、これらの人物を見たら「お尋ね者」とみなして、警察に通報するようにと書かれたからだ。
UNHCRなど、難民の保護にかかわる団体は、これらの新聞に名前を漏らした人は不明だとしている。難民たちは、新聞掲載は自分たちがキャンプにいると知った大使館の仕業だと言うが、UNHCRは申請者の一部がしたのかもしれないと言う。いずれにせよ、この掲載によってこれらの難民は拷問や苦しみの危険にさらされることになった。
KANEREに報告された一例によれば、2011年のワールド・ユニバーシティー・サービス・カナダ(WUSC)奨学金のエチオピア人枠に応募した一部の学生も、「露出の危機」にさらされたという。彼らの卒業証明書はエチオピア大使館に送られたが、エチオピアの卒業証書は色が違うという理由で、奨学金からはずされた。学生たちは、卒業証書の色は卒業年や試験により変わるものだとして、抗議した。
また、学生たちは、UNHCRの職員から書類がケニアの入国管理局を経てエチオピア大使館に送られ認証を受けると聞き、ショックを受けた。「奨学金は必要です。でも、エチオピア大使館に自分がどこにいるのか知らせる必要はない。これが、UNHCRがすべきことですか」と、エチオピアのオロモ人学生はKANEREの取材で語った。
エチオピア大使館の認証を受けるための書類郵送料として2,000ケニアシリングを支払うようにという手紙を、どの応募者もUNHCRから受け取っていたことが今回の取材で分かった。こうしたオロモ語話者のうち、2011年カクマからWUSCに受け入れられた人はいない。
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