「電子母の進化」の続き
息子が小学5年生の3学期末から6年生の1学期にかけて,コロナ休校がありました。
学校の休みは息子にとっては嬉しいものでも,母にとっては地獄。
息子がもてあましている暇を,フルタイムの仕事をこなしながらどうコントロールしたものか。その闘いは突然に始まりました。
ただ幸いなことに,AmazonのAIスピーカーEchoを介してじじ(私の義父)による宿題の見守りを続けていたおかげで,サポート体制の下地は整っていました。
じじも協力を快諾してくれました。
問題は息子です。
天から降ってきたような自由な時間。その誘惑を退けて勉強しよう!とはならないのが子どもの心理。家で学校と同じだけの勉強をこなすことは困難なので,少しでも自ら勉強に取り組む姿勢をつけることを最初の目標としました。
宿題以外で最初に取り組んだのは社会の参考書の音読です。
社会を選んだのは,社会のテストが他と比べて悪い,というか,その間違え方から判断して社会に出てくる語彙の覚えが悪く,語の使い方がめちゃくちゃだったからです。
本人の興味のなさにも一因はありますが,うちには新聞もテレビもなく,ニュースは私も夫もそれぞれがネットやラジオで個別に確認しているため,時事ネタを息子が耳にする機会がなかったことも影響していたと思います。
そこで,用語に慣れるという意味で,参考書を音読するのをじじに聞いてもらうことにしました。参考書はGakkenの「?に答える小学社会」を用いました。
これはテーマとしては非常によかったのですが,息子の滑舌が悪かったり読み間違いがあったりして,それをじじが指摘するたびにけんかに発展(というか息子が怒り出す)してなかなかうまくいきません。息子は指摘された間違いをうまく受け入れられず,そんなこと言っていない!と言い張ったり(言ったつもりはなくても,そう聞こえてしまう場合もあるよね,って諭しても受け入れ不可),自分で勝手に聞き間違えておいて怒られた!と被害者的に受け止めたりと,困難続きでした。
しかしながら,そういった争いの全部が全部,息子に否があるというわけではなく,例えばネット通話の音声品質の問題だったりとか,じじ側の思い違いというのもなくはありません。
これらの問題は,本当に些細なことですが,そもそも勉強なんてしたくないと思っている子どもにとっては非常に大きな障壁となります。家庭勉強を続けてもらうためにはそういった些細なことを一つ一つ解決していくほかありません。
ネット通話の音声品質に関しては,夫がネット回線などを調べて改善してくれました(前記事「電子母の進化」を参照。
じじの方の誤解をなくす,というか息子が文章をきれいに読み上げられなくても正しい文章をじじが確認できるように,同じ参考書をネットで注文してじじに送りました(欲しい本が注文翌日に必要な人に届くって,すばらしい時代ですよね!)
こうして本当に少しずつ問題を改善し,最初は10〜20分だった勉強時間が,1学期が終わるには30分くらいに増えていきました。
最初は勉強内容も参考書の読み上げだけでしたが,読売KODOMO新聞の音読も始めました。これも,同じものがじじの家に届くように,こちらから手配しました。
受験勉強開始!
そして2学期に入る頃,息子が近所の中高一貫校を受験したいというので,急遽,受験勉強を開始することにしました。見学に行った際に見た食堂でお昼ごはんを食べたい!という程度の理由でしたが,きっかけは何であれやる気になったことが大事ですので,勉強量を増やすことにしました。
受験する!とはいっても基礎学力が十分ではなかったので,4教科の総合学習を進めることにしました。使った教材は学研教育出版の「中学入学準備 小学の総復習全科 英語つき」です。
これも息子用とじじ用,それぞれに用意しました。
私は毎朝,宿題としてどのページをやるか(1日1〜2単元くらい),付箋で指定したテキストを息子に渡し,じじにはそのページを連絡。息子は放課後等デイサービスもしくは帰宅後にその課題をやり,じじと夜,決まった時間に答え合わせ。その後,じじはその日の正答率や勉強態度をこちらに報告,私はじじの報告とテキストの実物を見て息子の理解度をチェックしつつ次の課題を出す,という流れを繰り返しました。
この指示出しが大変な作業で,毎日4時起きで対応しました。
しかし,息子もそれ以上にがんばり,2学期から3学期の始めまで,毎日1時間以上勉強を続け,先の問題集も4回終わらせて受験に挑みました。
受験の結果は残念ながら不合格でしたが,本人にとって大きな成長になったと思います。
また,母としても,塾に行かずに家で勉強してくれたおかげで仕事を続けることができたので本当によかったです(息子は過集中タイプで周囲をちゃんと見ないので,送迎なしには塾に通わせられなかったので)。
このような勉強スタイルを確立できたのは,電子母=Echoというデバイスがあったからこそです。でもその電子デバイスで人間をコントロールするには,まだまだ人間の補助が要ります。電子デバイスがもたらす革新的な変化に比べたら,私のやっていることは本当に地味で,息子の前に転がった小石を一つ一つ取り除くような作業です。ただその単純な除去作業が息子を歩き出させる結果につながったのかな,と自分では思っています。
電子母ありがとう。リアル母もがんばりました。
もちろん,じじにも大大大感謝です。
次回は,この勉強で,中学生になった息子の浅知恵に対抗する小技を紹介します。