支援級からの高校受験3 学力はどこまで伸ばせるか? 前編の続き
勉強を続けていけば学力が上がり、限界を突破できるはず、
それが試験日に間に合うようにするための対策を考えます。
はじめに述べておくと、私は受験の専門家ではないし、受験のために猛勉強をしたこともありません。
受験に関しては素人です。
それでも確実に言えることがあります。
それは、入試本番において合格点以上の点数が取れていれば受かる、ということ。
偏差値はあくまで相対値であり、受験者の集団が異なれば値は異なるし、出題の仕方が本人に合っているかどうかでも違ってきます。
志望校の偏差値はネットで検索すると60前後でしたが、地元の学力試験で偏差値が60取れたとしても、肝心の入試で合格点を取れるかというと、そうとも限りません。
一方、志望校の合格ラインは在校生の話によると入試問題で5教科合計300〜320点。
だから、過去問/類似問題で同じくらいの点数を取れればいいわけです。
そこで、目標に向けて逆算して勉強計画を立てました。
★最終目標:5教科320点←入試当日
↑
●過去問が解ける←入試までラスト1カ月で繰り返し解く
↑
●類似問題の解き方を身につける←冬休みに専用の問題にチャレンジ
↑
●中学3年間で学ぶ基本的なことがわかる←中3の12月までに基礎的な問題集を終わらせる
障害を取り除き、勉強量を増やす
上記の目標をどのように実行していったかというと
まず、基礎を身につけるための教材としては、明治図書の「整理と対策」シリーズを使いました。
しかし、教材を与えただけで自ら勉強するような息子ではありません。
私はこのシリーズの目次と学習計画表・記録表を見ながら進捗をチェックし、その日にやるべき課題を決めて遠方に住む祖父(私の義父)に依頼し、
祖父がAmazonのEcho Showを通じてオンラインで息子に国語・数学・理科・社会の4教科を教えました。英語は週末に私が教えました。
また、いろいろあった勉強の障害については
- 問題集をなくす→予備を用意しておく。
- 筆記用具をなくす→1本で書く・消す・丸付けができる多色フリクションペンを用意して、管理コストを減らす。
- 机が汚くて勉強するまでに時間がかかる→母が机を片付ける、あるいは食卓にスペースを確保して問題集を開いてあとは勉強するだけ、という状態を用意する。
- 家だとほかのことが気になる、勉強に集中できない→会議室をレンタルして集中できる環境を整える。
こういった地味な工夫で無駄な時間を減らし、勉強に集中できる時間を増やしました。
また、息子が英語を書くのを嫌がる、書くのに時間がかかりすぎる問題については、
本人に書かせることを諦め、代わりに英文を読み上げ+口頭で意味を確認、または口頭で英文を答えたのを私が代筆するようにしました。
さらに、重要な構文を家中の壁に貼り、夜寝る前や隙間時間に読み上げ+意味の確認を繰り返しました。
志望校の英語の試験が選択問題だけで記述問題がなかったので思い切った戦略に出たのですが、結果、息子には功を奏しました。
以前は1日に1単元をやるのがやっとで、これだと300語程度の英文にしか触れなかったのに対し、書くことをやめたことによって1500〜2000語の英文を読むようになり、学習量を増やせました。
また、本人が読み上げて私が意味を聞く、を繰り返すと、息子が覚えていない単語や間違って覚えている語がすぐにわかるので、この言葉は大事だから絶対に覚えよう、と繰り返し注意することができた点もよかったです。
そうこうして基本の問題集を大方終わらせて迎えた冬休み。
入試に向けた勉強は私や祖父よりプロに学んだ方がいいのではないかと、オンライン動画で学習ができる塾の講習を申し込むことにしました。
ところが、オンライン講座では息子は寝ていたりぼーっとしていたりネットでほかのサイトを盗み見したりして、まったく学びません。
ほかのサイトが見られないように、YouTubeプレミアムを契約して学習動画をダウンロードしたのちWifiをオフにしてPCを渡すなど、あれこれ試しましたが、集中はできず。
受身の一方的な授業は息子には合わなかったようです。
ちゃんと最後まで見ることができたのは、国語のみでした。
しかたなく、その塾の教材だけ使って、私と祖父とで家庭教師を続けることにしました。
祖父には社会をお願いし、私が数学・理科・英語を担当しました。
理系人間なら中学の数学・理科は余裕と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
中学の数学は20〜30年前に家庭教師のアルバイトで教えたっきり。
理科に至っては学習内容が昔とだいぶ変わっているのと、中学理科は浅いけれど広いのでわからないことだらけ(天気や地学、電気などはさっぱり…)
しかし、50年以上前に家庭教師のアルバイト経験があるだけの元公務員の祖父が毎日予習をして勉強を教えてくれているのに、私ができないというわけにはいきません。
何とか時間を作って解答を見ながら予習し、息子に解説しました。
限界突破
飲み込みがいい息子ではなかったのですが、それでも少しずつわかることが増えていき、県内の実力テストも冬休み明けには5教科偏差値が53にまで上がりました。
ただ、上がったといっても、合格圏にはとても届きません。
普通の子だったらきっと心が折れていたでしょう。
でも息子のメンタルは鋼でした。
誰が何と言おうとやると決めたらやる、そんな小さい頃からの特性が幸いしました。
結果を受け止めつつも、
「(偏差値が)足りないならもっとやればいいんだろう」とやる気を高めていったのです。
しかし、口でそうは言っても、できれば勉強をしたくないというのが息子の本音。
私が目を離せばすぐにゲームに心が流れていくので、できるだけ隣にいて勉強を見守りました。
そうすることで、休日は朝9時から夜10時過ぎまで勉強に取り組めるようになりました。
冬休みから入試本番までにこなした過去問と問題集の山
息子に変化が表れ始めたのは1月中旬のことです。
何度教えても覚えられなかった英単語が、数学の解法が、確実に身についているのが私にはわかりました。
そして2月に入ると、過去問や模擬テストで5教科300〜310点取れるまでになりました。
しかし、ここで終わりではありません。
入試の数日前に、その時はやってきました。
数学の過去問で、私でもこれは難しいと思える問題を息子が「簡単じゃねーか」と言ってすらすら解き始めたのです。
驚きのあまり私が声も出せずにいたら、息子は自分の学力が一気に跳ね上がったことに気づいていないのか、それが本当に簡単な問題だと思っていたようで「なんだよ、母さんは俺のこと馬鹿だと思ってたのか?」と怒り出したのです。
これは数学だけではありません。
秋には30点台だった英語が、過去問で80点以上を連続して叩き出したのです。
息子が限界を突破したのがはっきりわかりました。
そして挑んだ試験当日。
息子は会場からガッツポーズで出てきました。
試験結果
合格発表までの1週間は、人生で一番長かったように感じました。
いくら本人の手応えがあったとはいえ、第一志望の学科は倍率2倍超え、まず期待できません。
学校全体でも1.5倍近い倍率なので、第二志望でもひっかかるかどうか。
内申点も不利にはならないように配慮してくれることにはなったものの、どう扱われるかは不明でした。
発表は平日の正午で、オンライン公開でした。
その日は私も夫も在宅ワークだったので、昼休みに2人で結果を見ることにしました。
PCの時計が12時ちょうどに切り替わった瞬間、夫がリンクをクリックしてPDFを開きました。
たくさんの受験番号が並んだ列に目をこらすと、何度も記入練習をした見慣れた数字が目に飛び込んできました。
あった!
しかも一番難しい第一志望の科に!!
息子を育てていて泣いたことは何度もありますが、このときほど号泣したことはありません。
息子の努力が報われたこと、そして限界を突破して新たな成長を遂げられたことが嬉しくて、ただただ泣き崩れました。
後の成績開示でわかったのですが、
この時の息子の点数は、5教科合計351点と過去最高点で、1番人気学科の成績中位以上で合格していました。
この結果は息子に自信を与え、更なる成長へとつながっていきました。
次回は予想もしなかった
合格・入学後に起きた変化
についてまとめたいと思います。