理系母の療育と自閉症児の成長の記録

3歳で自閉症スペクトラムと診断された息子。約3年でDQ57→97。14歳で診断が外れ,高校受験を経て通常学級デビュー。

字を書き始めるまで2 鉛筆の持ち方を正す

2017-07-26 16:36:53 | 発達障害

字を書き始めるまで アプリとプリントを合わせて使う(3)のつづき

息子が紙に書くことに興味を示し始めたとき,息子の鉛筆の持ち方は思いっきり「グー持ち」でした。

注意して直そうとしましたが,癇癪を起こして聞く耳を持たず,正しい持ち方を教えられません。

指の当たる位置にシールを貼ってもみましたが,無視されました。

 

このまま間違った持ち方が定着して修正がきかなくなるのが心配で,厳しくしかって無理矢理にでも矯正しようか悩みましたがやめました。

ここで息子とバトルをして鉛筆の持ち方を直せたとして,逆に書くことが嫌いになってしまったら,元も子もありません。

これは科学的根拠ではなく,個人の経験に基づく判断です。

みなさんは子どもの頃,親に無理矢理やらされたがために大人になっても嫌いになったままのものってありませんか? 

私にはあります。夫にもあります。私と夫の性格を色濃く受け継いだ息子も,一度嫌いになってしまったものは一生修正できないように思いました。

なので,私が療育で一番気をつけていることは,嫌いにさせない,です。

 

とはいっても,どうしたらよいか。

悩んでいたところにヒントをくれたのは,保育園の先生でした。

 

保育園の担任の先生とは毎日,その日の息子の様子やトラブルについて話しをしていたほか,家で取り組んでいる療育課題なども伝え,こちらが行き詰まったときには何かいいアイデアがないか聞いたりしていました。

 

あるとき私が先生に,鉛筆の持ち方を直せずに困っていることを伝えると,先生がこうおっしゃってくれました。

「H(息子)くんはお箸を持たせるときに,こちらが人差し指を突き出して鉄砲を打つように『バンバン!』ってやると,同じように真似してくれるんです。そこで,親指の付け根のあたりに箸をはさむと自然と人差し指と親指で箸をつまむので,鉛筆も同じようにやってみてはどうでしょうか?」

 

なるほど!「鉛筆の持ち方はね…」と教えるのではなく「てっぽうバンバン!」。これなら息子も反応してくれるかも。

 

私は早速,家に帰るとプリントを用意し,鉛筆を渡す前に息子に人差し指を出して「てっぽうバンバン! Hもやってみて」と言いました。

すると息子も同じような指の形をしてくれます。

その手の親指の付け根に鉛筆をあてると,息子は人差し指と親指で鉛筆をつまんでくれました。

そこで私はすかさず,その鉛筆の持ち方を褒めちぎりました。

「そうそう!それが鉛筆の持ち方!かっこいい!上手上手!」

 

息子も褒められてその気になったのか,それからは人差し指と親指でつまむように鉛筆を持つようになりました。脱・グー持ち!

 

ところがまだ問題はありました。

鉛筆を持つ位置が,グー持ちのときのように鉛筆の中央を持ってしまうので,先端から指までが離れていて,力の入り方が不自然です。

 

これは,注意して直すよりも単純でいい方法がありました。

それは,極力短い鉛筆を持たせる,です。

短い鉛筆であれば必然的に指でつまむ位置は先端に近くなります。

私はプリント課題をやってもらうときには長い鉛筆はすべて隠し,短いものだけを渡すようにしました。プリント課題をやるようになってから1カ月後くらいのことです。

 

この短い鉛筆については,最初は家にあった短い普通の鉛筆を使っていましたが,後からは「くもんのこどもえんぴつ6B」を使うようになりました。長さもちょうどよく,6Bなので筆圧が弱くてもしっかり線が引けるので,書く練習にはぴったりでした。子どもの特性をよく考え,研究された商品だと思います。

また,市販されているくもんの幼児ドリルには鉛筆の持ち方を示した写真がついているので,それを息子の机の前に貼っておき,いつでも目に入るようにしておきました。

 

次回は,文字の認識や微細運動,姿勢制御のためのこまごまとした工夫について紹介したいと思います。


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字を書き始めるまで アプリとプリントを合わせて使う(3)

2017-07-19 12:24:40 | 発達障害

字を書き始めるまで アプリとプリントを合わせて使う(2)のつづき

こうしてなんとかアプリの力で殴り書きを脱し,字を書くための出発点に立つことはできたのですが,まだ思い通りに鉛筆を動かすにはいたらず,市販のプリント課題もやはりやってくれません。

 

私はモジルートをプリントアウトしたものを練習課題として出しつつも,微細運動を鍛えられるほかの教材を考えていました。

 

そのころ,息子がipadの知育アプリの広告か何かに表示された「めいろ」のアプリをやりたがったので,ipadに入れました。

入り組んだめいろなら何かしらの頭の訓練になるかな〜とは思ったのですが,息子はそれ以外にも,ただ画面の左から右へとまっすぐ進むだけの超単純なものもやりたがります。

息子は4歳前にして200ピースのジグゾーパズルを一人で完成させるほど形の認識に優れていたので,直線や丸しかないめいろは簡単すぎると躊躇しましたが,息子がどうしてもやりたがり,害があるわけでもなさそうなので,しぶしぶipadにインストールしました。

最初に入れたのはキッズめいろ 123みんなの迷路 123です

 

動物や乗り物をゴールまで動かすのが楽しかったのか,息子はめいろアプリを喜び,簡単なものも難しいものも夢中になってやっていました。

 

ここで私は再びひらめき,このめいろアプリもプリントしてやらせたらどうだろうと考えました。

 

すると予想は的中。スタートからゴールまできちんと線をひいてくれます。

やはり,ipadで遊び慣れたものは,プリント課題にしたときにやるべきことがイメージしやすく,ほかのプリントよりもはるかにハードルが低くなるようです

 

ここで,めいろのプリントに慣れてくれればしめたものです。

運筆力を鍛えるための単純なめいろプリントは無料ダウンロードできるものが数多くあるほか,くもんのドリルなどでレベル別の優れた教材がたくさん利用できます。

 

息子はipadのめいろアプリのプリントに慣れたのちは,ほかの一般的なめいろプリントを抵抗なくやってくれるようになりました。4歳4カ月ごろのことです。

 

ここまで来るとホット一息ですが,鉛筆の持ち方など,まだ課題はなくなっていません。対策を考えます。

 

字を書き始めるまで2 鉛筆の持ち方を正す につづく

 


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字を書き始めるまで アプリとプリントを合わせて使う(2)

2017-07-19 11:03:26 | 発達障害

字を書き始めるまで アプリとプリントを合わせて使う(1)のつづき

 

さて,字を書きたいというモチベーションを持たせることに失敗した一方で,「認識」の課題についても並行して対策を進めていきます。要は字を読めるようにするための訓練です。

 

息子の場合,大きなものも小さなものも形の認識に優れていたほか,飛行機や飛行機のおもちゃに書かれたANAの文字を「アナ」と読めていたので,視覚的な障害はなさそうでした*。

しかしながら,ひらがなや数字など,文字全般には一切興味を示していなかったので,これについてもどうにかして息子の気を引き,字を読めるようにする必要がありました。

 

まずは,お風呂に100円ショップで売っているひらがなと数字のポスターを貼ってみました。

貼ったその日は喜んでいましたが,そこに書かれた絵に反応しただけで,こちらが指差した文字を見てくれず,字を教えることができません。

ここでもやはり,興味の偏りが障害になります。息子がこちらの指示に従うことは難しいので,息子が興味を持てるツールを考えます。

 

そこで,息子の好きなipadに文字の勉強用の知育アプリをいくつか入れてみました(このとき,ほかのゲームアプリや動画などは全部除いて,知育アプリしかできないようにしておきました)。

 

入れたアプリは大別すると(2013年の初代ipadのことだったので,2017年7月現在もあるアプリのみリンクをはっています)

①絵や音声とともにひらがなが表示されるもの(フラッシュカードライト - 動物編 日本語&英語

②表示されたいくつかのひらがなの中から絵に合うものを選び出すもの(FirstWords: Japanese

③文字をなぞるもの(もじルート

④お手本に習って文字をなぞったり模写するもの(久我弘美先生のひらがなもじれんしゅうちょう

 

この中で息子が喜んでやってくれたのは①,②,③タイプのものです。

(息子はipadに入れたアプリを一通りは開いたのですが,④タイプのものは難しかったのかつまらなかったのか,やってくれませんでした)

 

特に,「もじルート」は優れもので,文字の形になった道路や線路を,出発点からゴールを目指して車や自転車など乗り物を走らせるという内容。音声の読み上げもあります。しかも書き順は自動的に表示されるので,迷うこともありません。

 

このアプリがうまいこと息子の心を捉えてくれたので,私はふとひらめいて,このアプリをプリントアウトしたものを息子に鉛筆でなぞらせたらどうかと考えました。

 

私はモジルートのすべての文字についてスクリーンショットを撮り(ipadではパワーキーとホームボタンの同時押し),そのデータをパソコンに移してインデックスシートを印刷し,A4にいくつかの文字が並んだ状態のプリントを用意しました。

 

そのプリントを息子に見せると,息子はすぐに食いついてくれました。

そして,スタートからゴールを目指して,ipadで遊んでいた通りに鉛筆を動かしてくれたのです!脱・殴り書き!!

 

これはいける!と確信した私は,すぐさまトレーシングペーパーを用意し,モジルートのプリントの上に重ね,2枚がずれないようにテープで固定したものを息子に渡しました。

 

息子は同じようにトレーシングペーパーの上から字をなぞります。

 

書き終わったところで私はトレーシングペーパーをはずし,息子が書いたものを息子に見せました。

「ほら,これH(息子)が書いた字だよ〜」

 

息子は自分で字を書けたことに満足そうでした。

その満足感と達成感が正のフィードバックとなって,さらなるモチベーションにつながったと感じられた瞬間でした。先のぬりえの失敗からおよそ1カ月半,4歳3カ月のときのことです。

 

私が息子に書かせるために用意した机や鉛筆,ぬりえは,これらの道具に対する興味を引かせることには使えても,それらを使って何をしたらいいのか,というイメージを持たせるのには不十分だったのですね。ipadのアプリはその部分をうまく補ってくれました。

 

こうしてどうにか字を書くことに対する気持ちのスイッチを入れることができたのですが,これだけでは字は書けません。

息子の字は上記の写真を見てわかる通りふらふらなので,指のコントロール力を鍛える必要があります。ここでもやはりipadのアプリが役立ちました。

 

字を書き始めるまで アプリとプリントを合わせて使う(3)つづく

 

 

*学習障害や識字障害のあるお子さんの中には見る能力に問題があり,目のトレーニングが必要な場合もあるそうです。

 

 

 

 


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字を書き始めるまで アプリとプリントを合わせて使う(1)

2017-07-15 00:43:30 | 発達障害

着席して字を書くことを一つの療育目標としたのは息子が4歳をすぎたころのことです。

 

結論から言うと,息子は5歳11カ月で小学校入学前にほぼすべてのひらがなを書けるようになり,8歳の今は普通級でちゃんと席について板書を書き写しています。しかし,ここに至るまでには1つ2つの工夫ではすまず,多方面からあの手この手で攻めていく必要がありました。

 

長文になるため,何回かに分けて書いていこうと思います。

 

 ********************************************************************************************************************

 

「着席して文字を書く」,ただそれだけのことが,息子にとっては簡単なことではありません。

息子は自分の興味のあることにしか指示に従わないスーパー自由人。

息子が席についてノートを書いている姿が,母でありながら想像がつきません。

目標を立てておいて気が遠くなりますが,ここはがんばって息子の課題を細かく分けて考えます。

 

着席して字を書く,単純に見える行為ですが,実に様々な能力が必要とされます。

まず,字を書きたいというモチベーションと集中力があり,そして席に座って姿勢を維持しつつ,文字を目で見て脳で認識し,字の意味を理解,そして自分のイメージした通りに手と指を使って鉛筆を動かさなければなりません。

 

ここで,自由人の息子にとって一番の問題は,モチベーションです。

まずは鉛筆を持って字を書くことに興味を持ってくれなければ,何も教えることができません。

 

そこで私は何とか息子の気を引こうと,息子のための机と椅子,そしてまずは鉛筆に慣れてもらうための塗り絵,それも息子の大好きな飛行機が乗っている乗り物のぬりえを選び,鉛筆はやはり大好きなカーズのキャラクターが描かれたものを用意し,保育園から帰宅した息子に見せました。

 

その結果。

 (4歳2カ月)

 

母の言葉にまったく耳をかさず,グー握りした鉛筆で殴り書きをしたあと,数分もしないうちに去っていく息子。

別のぬりえを用意して何回か繰り返してみましたが,結果はやはり同じ。

 

思わずため息がもれますが,一瞬でも席について鉛筆を握ってくれたことをよしとし,次の策を考えました。

 

そして,あれこれ悩んでいるうちに,ipadの意外なアプリが役立つことに気付いたのです。

 

字を書き始めるまで アプリとプリントを合わせて使う(2)につづく

 

 

 

 

 


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今後のブログテーマ

2017-07-12 10:30:38 | 発達障害

ブログを始めて2週間,

書きたいことは山ほどあるのですが,遅筆な上に今週からはブログを書くための時間がなかなかとれないので,とりあえずこれから取り上げていくテーマについて,先にタイトルをいくつかあげておきます。

字を書き始めるまで アプリとプリントを合わせて使う

語彙を広げる コミュニケーションボードの次の工夫

過去の出来事を話す練習 目指せ!ほうれんそう(報告・連絡・相談)

「格安会議室で就学に向けた自主勉強会」

「詳細な療育目標を立てる」

などです。

 

私が実際に使った自作資料などもアップしてどなたでも利用できるようにしたいと考えています。

そのために,まずブログの使い方を勉強中ですので,しばしお待ちを。

 

 

 

 

 

 


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我が子が自閉症と診断されたとき 〜私がブログを書く理由〜

2017-07-11 12:01:22 | 発達障害

息子が発達の問題を指摘されたのは3歳6カ月,そしてはっきりと「自閉症」と診断されたのは3歳9カ月のことでした。

 

とにかくショックで,すぐには認められませんでしたが,

悩んでいるよりも,子どもが若く柔軟なうちに何か対策をしなければならないことだけはわかりました。

 

しかしながら,「療育」という言葉も「療育手帳」の存在も知らなかったくらいですから,一体何から始めればよいか見当もつかず,とにかく何かしなくちゃという焦りだけが募りました。

 

そして何より不安だったのが,息子はこの先どうなるのか,ということでした。インターネットや論文を検索すれば,%で表されるような統計データや,ブログなどで断片的な情報は手に入るのですが,もっと長期的で具体的な経過が体系的にわかるものは見つけられませんでした。

 

インターネットで調べたり,論文を読んだり,人に聞いたり,あれこれ試行錯誤を重ねながら家庭で療育を始めましたが,こんなんで良くなるのだろうかという不安は常にありました。

 

それから5年が経ちましたが,息子は本当に大きく成長してくれて,会話がまったく成立しなかったのが嘘みたいに,一緒にいることが楽しい日々を送っています。

 

もし私が昔の私にメッセージを送れるならこう伝えたい。

息子はちゃんと成長するから大丈夫だよ,と。

 

私は療育を始めた時に私が最も知りたかった情報,今何をすべきか,そして息子がどうなるのかを,昔の自分に教えるつもりでブログを書いています。

そして,私が息子が診断された時と同じように困り果てている親御さんにも,1例でしかありませんが,どうかこの情報が届くことを願っています。


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言葉を引き出す 自作コミュニケーションボード+デジカメで語りかけの効果

2017-07-10 16:59:45 | 発達障害

息子の言語とコミュニケーション能力の成長を振り返って,一番効果が大きかったのがコミュニケーションボードとデジカメでの語りかけだと思います。この療育を始めて1年弱で,新版K式発達検査の認知・適応が55から81に,言語・社会が55から71に伸びました。

これにはもちろん,本人の自然な成長や保育園での指導の影響もあるかと思いますが,それまで息子は人の話はまったく聞かず,自分の要求を訴えることにしか言葉を使わなかったので,会話を通じていろんな物事を理解したり,自分の感情を言葉で伝えるという概念がありませんでした。コミュニケーションボードやデジカメを導入しなければそういった言葉の力に気付くのはもっと遅かったでしょう。

 

これらの療育を始めるにあたり,参考にしたのは

あなたが育てる自閉症のことば 2歳からはじめる自閉症児の言語訓練 〜こどもの世界マップから生まれる伝え方の工夫〜 藤原加奈江 著」です。

最初の発達検査結果(3歳6カ月)を受けて,義母の知り合いの言語療法士から勧められました。

自閉症児の種々の言葉の問題がどうして出てくるのかが自閉症児から見た世界観に基づいて解説されており,具体的な声のかけ方や対処法も書かれた良書です。

 

この本によると,

「初めてのことばからほぼ半年かけて子どもたちは50語前後のことばを使うようになります。この時期を越えると子どもがことばを覚える速度が急に速くなり,『語彙の爆発的増加』と呼ばれる時期に入ります。」と,あり,「3歳になると,語彙も1,000語前後となります」とも書かれていました。

 

息子は発語自体は1歳3カ月ごろからあり,特別遅くはなかったのですが,この「語彙の爆発的増加」がありませんでした。3歳6カ月の時点ではかろうじて2語文は出ていましたが,語彙が極めて乏しく,しゃべれる言葉の数は数えられるくらいで,自分の名前すら言えませんでした。また,本に書かれているように,口にするのは自分の要求ばかりで,言葉を使うことで自分の気持ちを伝えたり知りたいことを質問できるという概念がまったくないようでした。

 

私はそれまで息子の語彙が少ないこと,話せないことが問題だと思っていたのですが,この本を読んでからは,言葉に興味がない息子に言葉の重要性を気付かせること,息子の狭い世界観を広げることが重要だと考えるようになりました。

 

とは言っても,いくら言葉だけあれこれ息子に浴びせても息子は私の言葉に耳を傾けないので,最初は息子が興味をもっているものにとことんこちらが合わせる必要がありました。そのためのコミュニケションボードとデジカメです。

 

コミュニケーションボードとは,おもちゃや食べ物,場所などのシンボルあるいは絵や写真をカードで提示して予定を伝えたり,カードを子どもに選択させて本人の希望を聞いたりする,意思疎通を視覚的に補助するためのツールです。

 

子どもの発達や問題に応じたコミュニケーションボードの具体的な使い方は上記の本に書かれていますが,ここでは私が実際に行った方法を紹介します。

 

用いたもの

・ デジカメ

・ 市販のホワイトボード

・ パソコン

・ プリンター

・ インクジェットプリンターで印刷できるマグネットシート

 

作り方

①まずは,カードに用いるための写真をデジカメで撮りまくります。その対象は,家でよく食べる食べ物,よく行く場所,家の中のお風呂や布団,家族を含めよく会う人,保育園の先生にも事情を話してお願いして写真を撮らせてもらいました。

②それらをPhotoshopやWordなど,写真を拡大縮小できる適当なソフト上でA4のファイルに配置します。

③マグネットシートにプリントアウトします。

④ハサミで切って出来上がり。

 

 

これを最初に作ったのは3歳7カ月ことで, はじめは写真カードをホワイトボードに貼り付けて1日の予定(保育園から帰宅後のことだったので「お風呂」に入って「寝る」)と明日の朝ごはん(「シリアル」)を伝えました。ことのとき息子は写真で示した「シリアル」をすぐに食べるものと勘違いして大泣きしましたが,カードを見せながら「お風呂」「寝る」「ごはん」と繰り返し説明したら,わかってくれました。

その翌日には保育園の写真とホットケーキの写真を使って,保育園でホットケーキを作ることを理解してくれました。

 

こうして日々の予定を伝えていったところ,4歳2カ月のときには写真カードを使わず言葉だけでその日の予定を理解できるようになり,4歳3カ月で「明日なに?」と次の日の予定を質問するようにもなりました。

 

また,コミュニケーションボードはこちらから予定を伝えるほか,本人の食べたい食べ物や行きたい場所を聞くときに,食べ物あるいは場所のカードを広げてその中から本人に選択してもらうのにも使いました。

これも繰り返していくうちに写真を使わずにすむようになり,4歳1カ月のときには私が口頭であげた食べ物や場所の中から自分の希望を言葉で教えてくれるようになりました。

 

このコミュニケーションボード,最初はホワイトボードと100枚くらいのカードを使っていたのですが,やっていくうちに写真カードがどんどん増えていきます。

作成が追いつかなくなったところで,「これ,デジタルでいいんでない!?」と気付き,翌月からは印刷はせずに,ipadに写真データを入れて食べ物,場所,人をフォルダごとに分け,フォルダの写真一覧をそのまま見せて,本人に希望を選択してもらうようにしました。

息子はipadの操作に慣れていたのもあって,コミュニケーションボードをデジタル化してもまったく問題がなく,持ち歩きもしやすくていいことづくめでした※。

 

これと並行して,家でもお出かけするときも常に手元にデジカメを用意しておき,息子が興味を持った対象物やその日の様子がわかる日常風景を撮り,夜寝る前にデジカメを見ながら語りかけを続けました。

息子が興味を持つのは道端に落ちている木の実だったり,ダンゴムシだったり,しょうもないものばかりでしたが,こちらの押し売りはせず,あくまで息子の視線で写真を撮っていきました。その日食べたごはん,お出かけした場所,一緒に遊んでくれたお友達も撮りました。そして布団の中で一緒にデジカメの写真を再生し,「ダンゴムシいたね」,「サーモン美味しかったね」,「◯◯くんと遊んだね」と1枚1枚,簡単な言葉で解説していきます。

息子は無反応だったり,一部の写真しか見なかったり,まったく見たがらない日もあったりしましたが,強要は一切せず,ただ母がブツブツ独り言を言っているような感じで続けていきました。

そして1カ月経ったころのことです。海でお友達のお父さんがSUPというサーフボードのような板に息子を乗せてくれる機会がありました。お友達と一緒に,そのお父さんに抱えられながら湾をぐるっと一周して帰ってくると,息子は私に駆け寄ってきて「楽しかった!」と言ってくれました。

息子が要求のためではなく自分で感じたことを言葉で伝えてくれたのは初めてのことで,このときの嬉しさは今でも忘れません。

 

 

※私がipadを療育に使い始めた当時,ipadにはカメラがついていなかったため,デジカメで写真を撮り,そのデータをわざわざipadに入れ替えていました。今のタブレットやスマホにはほとんどカメラが付いているので,わざわざ両方使う必要はないかもしれませんが,子どもに触られたくないもの(メールやYouTube,関係のないゲーム)などが入っている場合は,デジカメだけ,あるはほかに何も入っていないタブレットを使ったほうがやりやすいかもしれません。


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思い込みを正す方法 教えてgoogle先生!

2017-07-06 17:34:18 | 発達障害

息子のこだわりへの対処法は先日のブログ「消えた“こだわり”」で紹介しましたが,癇癪を起こすことはこだわり以外にもいろいろあり,間違って覚えてしまった言葉の意味を修正するときにも一苦労ありました。

 

例えば電車のおもちゃで遊んでいたときのこと。

一緒にレールをつないでいると,切り替えのパーツを指して「ふみきり!ふみきり!」と,連呼します。

そこで母が「これはふみきりではないよ,切り替えだよ」とやさしく教えるのですが,

「ふみきり!ふみきり!!ふみきりー!!!」と言い張ります。

母がどんなに口で説明しても,まったく聞かず,癇癪をおこすばかり。

 

ここで,“母”が“言葉”で説明することが無駄だと判明したので,別の方法をとることにしました。

もっと多くの情報を知っている大先生に,例示してもらうのです。そう,googleの画像検索です。

 

私はパソコンを持ってきて,ウェブブラウザで「電車,きりかえ」と入力して画像検索結果を表示しました。画面一面に本物の電車の切り替えポイントやプラレールの切り替えパーツの写真が現れます。

私は「ほらね,これが切り替えでしょう?」と,説明しました。息子はだまってじーっと見入っています。

続いてふみきりの画像検索結果を示します。おなじみの黄色と黒のバーに信号機がついた写真がたくさん表示されます。

息子はこれらの画像をだまってじーっと見た後,納得してくれたようで,これ以降,どちらの言葉も正しく使ってくれるようになりました。

 

また,こんなこともありました。3歳8カ月のときのことです。

息子はジグゾーパズルが好きだったので,パズルで一緒に遊びながら,そこに描かれた絵を見て「“窓”があるね」「“男の子”が遊んでいるね」と,一語一語教えるように語りかけていました。

そのパズルの絵で,ヨーロッパ風の家の屋根の上に煙突があるのを息子が見つけました。息子が「何?」と聞くので,「煙突だよ」と答えました。

ところが,息子にとって“煙突”とは工場から空に高く伸びた煙突のことを意味していたようで,「えんとつじゃない!えんとつじゃない!」と認めてくれません。言葉がつたなくうまく説明できないため「(♪数字の1はなあに?)♪こうじょうのえんと〜つ!」と歌を例に出して,涙目で訴えます。

母も「それも煙突なんだけど,煙突にはいろいろあって,世界のお家にはこういう煙突もあるんだよ〜」と説明しましたが,納得しません。

「じゃあ,google先生に聞いてみよう」,私はこう提案して,パソコンで「煙突」の画像検索結果を提示しました。最初の方に提示される写真のほとんどは,息子が言うような工場の細長い煙突ですが,ちらほらパズルの絵に似た石造りの煙突もヒットしています。さらにスクロールをしていくと,屋根の上でサンタクロースが煙突を覗き込んでいるイラストがありました。(↓これは母による再現イラスト)

そこで私はすかさず,息子が保育園で習っている歌を歌いました。

♪あわてんぼうのサンタクロース 煙突のぞいーて落っこちた♪

 

息子は瞬時に理解したようで,自分が間違っていたのが悔しかったのかおいおい泣き始めました。それもしばらくすると落ち着きました。

 

そんなこんなを繰り返すうちに,自分の主張を貫き通そうとすることも減り,わざわざ画像検索結果を示さなくても母の言うことを聞いてくれるようになりました。

 

小学校入学以降,自分の考えに固執することや思い込みに対する間違いを指摘されて癇癪を起こすことはあまりありません。(現在たま〜にある思い込みとその対策についてはまた別の記事で述べるとします)

よくわからなかったり,自分の理解を確認したかったりするときは,「母さんパソコン見せて」とか「母さんパソコンで調べて」と自分から 言ってきます。


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キネクトで全身運動 療育に使えるゲームあれこれ

2017-07-06 10:20:21 | 発達障害

さて,家庭で療育をするにあたり,話しかけや机でするような課題は,保育園から帰ってからでもどうにかできるのですが,難しいのが運動です。

 

息子は体の動きで特別おかしなところはなかったのですが,保育園で鉄棒など苦手意識のある遊具や遊びはとことん避ける傾向がありました。見よう見まねでもやろうとしてくれないので筋力や神経系が発達せず,余計に苦手になるという悪循環。

体を鍛えるのに平日夜遅く公園に行くわけにもいかず,土日に公園に連れて行ったところでこちらが提案する遊びには興味を示してくれず,すみっこにしゃがみ込んでダンゴムシを探すばかり……。

 

そこで,ここはひとつ,ゲームの力を借りることにしました。

「体まるごとコントローラー」のキャッチコピーで知られるXbox 360キネクトです(Xbox Oneの発売前のことだったので)。

プレイヤーの体の動きをセンサーで認識してゲームを操作します。画面を見ながらタイミングを合わせて手足を動かす必要があるので,協調運動の訓練としても期待。息子が4歳3カ月のときに導入しました。

 

最初に試したゲームは,Xbox 360キネクトに付属していた「KINECT アドベンチャー」です。

ボートに乗って川下りをしたり,トロッコに乗って障害物を避けながら進む,その名の通りの冒険ゲーム。ゲーム中のアバターが自分の動いたままに動いてくれるので,子どもでも感覚的にプレイしやすいゲームです。

 

それでも新しいものに対して慎重な息子はすぐにはやってくれないので,最初は父母がプレイしてみせます。

汗だくになり,だんだんとのめり込む父母を見て面白そうと思ってくれたのか,1~2週間後には息子も自分でプレイするようになりました。

かがんで障害物を避けつつ手を伸ばしてメダルをゲット。

 

リバーラフティング。体を傾けて方向転換。

 

 

ガラス張りの部屋の壁のあちこちに穴が開くのを手足でふさぐ。

(*プロジェクターでスクリーンの後ろから投影しています。余談ながら,リアスクリーンとしてはビニール製の断熱カーテンライナーの遮光タイプが見やすかったです)

 

やがてどハマりし,保育園から帰ったのち,1人で2時間くらいプレイすることも。

おかげですごく体力がついて,1年後には保育園から自宅までの2.3kmの道のりを走って帰れるくらいまでになりました。

 

ほかにこのゲームのよかった点として,飛んできたボールを打ち返すなど,瞬時に目的の位置に手足を伸ばさなければならない内容も多く,反射神経も鍛えられました。

あと何より重要なのは,母がどこかに連れて行かなくても自宅で自分でできる点で,母が忙しかったとしても本人が空いている時間に勝手に遊んでくれるから,1日10分でもできるし,1週間にしたら多い時で10時間以上運動をしていました。

専門家による感覚統合訓練とは比べられませんが,運動量と動きの種類の多さでかなりのことがカバーできたのではないでしょうか。

 

 

キネクトはプレイするのにスペースがいるため,日本の住宅事情に合わないのか日本版のゲームが少ないのが難点ですが,子どもでもプレイできそうなものは一通り試してみました。よかったもの,イマイチだったもの,一部紹介します。

 

Fruit Ninja ◎ 打ち上げられたフルーツを手でばっさばっさと切り分ける。キックでも切れる。単純だけど爽快感があってハマります。

Dance Evolution △ ダンスゲーム。プレイヤーのままの姿が画面に表示され,ポーズを決めると映像効果が。テンポが早すぎたのか,あまりやってくれませんでした。ダンスが好きな子にはいいかも。

KINECT RUSH ○ 「カーズ」や「トイストーリー」などディズニー映画でおなじみのキャラクターの世界に入れる。ゲームの内容やストーリー自体は面白いのですが,操作がやや難しく,歩くときのように腕を前後に振ることで前進など,自分の動きとキャラクターの動きまったく同じではないので,慣れるのに時間がかかりました。動作がうまく認識されず,パニックになることも。

KINECT Disneyland ADVENTURES ○ ディズニーランドを歩いておなじみのディズニーキャラクターに会ったり,アトラクションを楽しんだり。アトラクションは実際のディスニーランドにあるものに由来しますが,ストーリーと映像はゲーム独自のもの。操作の難しさは上記のKINECT RUSHに同じ。ある程度キネクトに慣れた子にオススメ。

KINECT ANIMALS ○ ライオンやタイガーなどネコ科動物と友達になって不思議な島を探検。障害物競争や的あてゲーム,隠れたアイテム探しなどで遊べます。最初は面白さがよくわからなかったのですが,お友達(リアル)が遊びに来たときに一緒にプレイをしているうちにハマっていました。

 

これらのキネクトゲームは,筋力・体力をつけるほか,保育園のお遊戯などで動きを模倣するのにも役立ったように感じました。

 

それと,保育園時代にはあまり役に立たなかったのが「DRAGON BALL Z FOR KINECT」(5歳1カ月〜)。

ドラゴンボールは言わずと知れた日本のアニメなのに,日本語版がないのでアジア版(操作に必要なアイコンは英語表示ですが,キャラクターの音声は日本語)を購入。

 

保育園などで戦いごっこにハマっていたので,ドラゴンボールのキャラクターになりきってパンチや気弾を繰り出せたら面白いかと思ったのですが,最初は慎重で見ているだけ。

母も必死に実演してみせるのですが,自分からは一向にやろうとしません。

40近いおばさんが画面に向かって必死にかめはめ波を繰り出す姿は人に見せられたものではありませんが,息子のためです。母がんばります。

でも息子はやってくれません。

 

結局,このドラゴンボールのゲームは,小学校に入学後,うちに遊びに来たドラゴンボール好きの友達がプレイしているのをずーっと眺めた後,小2になってやっと自分でやるようになりました。

パンチの連打等があまりにハードすぎるので,長時間プレイはできませんが,1時間くらい汗だくになってやっています。

 

そんなわけで,母のかめはめ波はまったくの無駄に終わりましたが,ドラゴンボールは後から役に立ちました。

 


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家庭で療育 わずかな時間と身近なツールで大きく前進

2017-07-04 14:42:43 | 発達障害

息子が3歳半で自閉症と診断されてから小学校に入学するまで,療育は主に家で行っていました。

その理由は,診断された当時,近くに通える療育機関がなかったからです。

市の療育センターでは,感覚統合訓練は6カ月待ち,言語訓練は1年待ちと言われました。

半年後には夫の仕事の都合で転居が決まっていたので,順番待ちすら意味がありません。

実家も遠く,近所に頼れる知人もいなかったので,本やネットで地道に情報を集めつつ,試行錯誤しました。

 

家庭での療育といっても,1日に何時間もマンツーマンで徹底的に教育をするような気合の入ったものではなく,特別に時間を割いたのは寝る前の1日15〜30分くらいで,あとは日常生活を適宜サポートする程度。

使ったツールも特殊で専門的なものでもなく

・ デジカメ(興味を持ったもの,1日の出来事を写真に収めて対話に利用)

・ ipad(フォトデータをコミュニケーションボードとして利用)

・ ipadの知育アプリ

・ くもん,学研などのドリルやウェブ上の無料学習プリント

・ Xbox キネクト(体まるごとコントローラー,全身運動でいい汗かけます)

などです。

 

4歳5カ月で別の県に引っ越したのち,月1回だけ言語訓練に通えるようになったのですが,ほかは行きませんでした。

専門機関での療育は有効かもしれませんが,うちの場合,送迎に時間がかかりすぎて,対時間効果が(おそらく対費用効果も)悪いと考えたからです。

1時間の訓練を受ける為に半日つぶれるくらいなら,保育園という集団生活を経験できる場所で実践を積んだ方がよいかと。

そのかわり,保育園の先生とこまめに相談して園での課題を確認,対策を考え実行していきました。

 

私はこれまでずっと仕事を続けてきたので,療育にかけられる時間があまりありませんでした。

でも大事なのは,親がどれだけ長く時間をかけたか,ではなく,子ども自身が成長できる時間と環境をどれだけ増やせるか,だと考えて,そこに注力しました。

 

幸いにも,息子の場合,目を見張るほど大きく成長してくれて,50台だったDQも3年でほぼ標準に,領域によっては40以上上がりました。

 

私が上記ツールを使ってどう療育を進めたか,そして息子がどういうふうに変化したかは,理系の性(?)ですべて記録してきたので,このブログを使って少しずつ紹介していきたいと思います。もちろん,観察対象が息子1人なので,息子の成長が療育の効果であるという因果関係は示せませんが,ブログを読んでくださった方の参考かヒントになれば幸いです。

 

ブログ初心者で至らぬところも多いかと思いますが,どうぞよろしくお願いいたします。


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息子が自閉症!?

2017-07-03 17:45:37 | 発達障害

息子が自閉症と診断されたのは3歳半のときでした。

 

いろんな意味で衝撃的で,すぐには認められませんでした。

それまで私が考えていた自閉症児は,他人に全く感心がなく,目が全く合わず,同じ言葉をただひたすら繰り返す,といったものだったからです。

これらは息子には当てはまりませんでした。

息子は人懐っこく,人をよく見る子だったので,なぜこの子が自閉症!?と専門家の診断を疑っていました。

 

保育園からは,絵本の読み聞かせを聞かない,集団遊びに参加しない,等,指摘されていましたが,それは本人がわかったうえで,やりたくないから参加しないだけのように見えました。

人の問いかけを無視することが多いのも,聞こえていないわけでも認識していないわけでもなく,わかったうえで興味がないことを切り捨てているようなところがありました。

だから,息子は自閉症ではなく,わがままで調子がよくて身勝手な子なのだと思っていました。癇癪をよく起こすのも,こだわりが強いのも個性だと思っていました。

 

でも言葉の遅れはいろいろ問題なので,言葉を伸ばすための療育を始めることにしました。

で,療育をやっていくうちに,息子の真にハードルに気付かされたのです。

 

・語彙が自然に増えない。

・言葉を覚えるのに,かなりの工夫がいる。

・発語は自分の要求ばかりで,こちらから始めた会話が続かない。

・過去の出来事について話ができない(だから保育園など,親のいないところで何があったかわからない)。

・育児でよく聞く「この子,どこでこんな言葉おぼえたのかしら?」がない。

・育児でよく聞く「子どもが話せるようになると,すっごく楽」がない。

 

一時期は,この子とは一生会話ができないかも……とまで絶望しましたが,療育が功を奏したのか,今は楽しく話ができるし,学校であったことも教えてくれます。

でも,日本語はたどたどしく不自然で,隠喩(たとえ)が理解できないなど,問題はまだまだあります。

 

息子が理解できなかった隠喩の例

 カップ麺の蓋に書いてあった川柳

「ふたをして ストップウォッチとにらめっこ」

息子:なんでストップウォッチとにらめっこをしなければならないの!?

 

最初はうちの子が自閉症!?って疑っていましたが,間違っていたのは診断ではなく私の認識で,今では息子はつくづくアスペルガーだな〜って思います。

 

 

 

 

 

 

 

 


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消えた”こだわり”

2017-07-03 15:13:45 | 発達障害

息子には特定の物や場所,やり方に対するこだわりが小さい頃からいろいろとありました。

 

例えば緑色(1歳6カ月〜)。

最初はカラーの積み木の中から緑のものだけを選んで遊ぶので,緑色が好きなのかな〜くらいにしか受け止めていませんでしたが,次第に保育園のおもちゃなどで緑色のものをほかのお友達に取られるとパニックになる,といったトラブルが出てきました。

 

ほかの例とそれが表れた年齢をあげると,

・飛行機のおもちゃを空港に駐機している飛行機のようにきっちり並べる。少しでもずれると激怒(3歳3カ月〜)

・保育園にて座面がすのこ状になった隙間のある椅子を嫌がる(4歳4カ月〜)

・保育園での水道の位置(4歳4カ月〜)

・冷蔵庫の卵入れに卵が10個全部そろってないと怒る(4歳8カ月〜)

・折り紙を折った時に端がきっちりそろわないと激怒(4歳8カ月〜)

・書いた線がはみ出るのを嫌う(4歳8カ月〜),

・母の作るレゴが見本と違うと怒る(4歳8カ月〜)

 

等々。

 

いろいろなこだわりが次々と表れ,そのときはいつまで続くんだろうと不安に思いましたが,結論から言うと,全部,自然と消えました。

特に無理やり矯正したり,禁止したりするようなことはなく,家では本人の気がすむようにさせていました。保育園では先生が配慮してくれて,ほかの子には適当にうまく説明してくれたようです。

なので,家としては特に何かするわけでもなく,じっと辛抱強く見守っていたら,いずれもなくなりました

 

ただ1点,工夫が必要だったのが飛行機のおもちゃならべ。

 

ほかの自閉症のお子さんだと,車のおもちゃを一直線に並べるといったこだわりがある子もいるみたいですが,我が子の場合は飛行機でした。

息子は生後間もない頃から私の仕事の都合で頻繁に飛行機に乗っていたのと,空港が家から近く,よく飛行機を見に空港に遊びに行っていたので,空港の様子をよく観察して再現しているのだと最初は感心していました。

し,か,し,テーブルでも部屋の出入り口でもどこでも空港に見立てて飛行機を並べ,少しでも動かそうものなら激怒してパニックになるので,生活に支障が出まくりです。

 

この異常なこだわりについては,保育園の先生や親から,飛行機を見せすぎたせいで,これ以上空港に行くな,飛行機グッズを与えるな,などと散々非難されました(いろんな相談所で相談しましたが,これらの意見は否定されています)。

 

私としては,空港の様子を忠実に再現したいという息子の気持ちも汲んであげたかったので,別の場所を用意して,そこで遊べるよう誘導してみました。

 

例えばgoogleの地図で空港の航空写真を印刷して段ボールに貼ったもの。邪魔な時は段ボールごと移動します。

 

 

空港のイラストを空き缶に貼ったもの。マグネット式の飛行機なら移動してもずれにくい。

 

これはスチレンボードで作った模型。そのまま戸棚にしまえます。父の力作。

 

 

こうやって定位置を用意してあげることで,テーブルや通路に飛行機を並べることはなくなりました。

でも,やがてはこの強いこだわりもなくなり,新居に引っ越した後(4歳5カ月)には手製の空港を出すことすらなくなりました。

 

こだわりが消えた理由はわかりません。満足あるいは納得したのか,ほかのことに興味が移ってどうでもよくなったのか。

 

いずれにせよ,小学校に入った頃には目立ったこだわりはすべてなくなりました。

8歳の今も緑色は好きですが,こだわりというほどではなく,洋服などを選ぶ際には緑以外の色も自分から選択します。


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