山田里奈オフィシャルブログ∞

文学座 山田里奈本人によるブログです。

おばあちゃん。

2011年07月18日 05時06分08秒 | Weblog
7月17日、夕暮れ時。

祖母が亡くなりました。

ブログに書くのもどうかと思いましたが…今の私が在るのは祖母が居たからこそだと思うので、書くことにします。


片親の私に、寂しさ、そして不自由さなど、何ひとつとして感じさせなかったおばあちゃん。


私の育ての親。


毎日、オムツをかえてくれて、ありがとう。


毎日、幼稚園のお迎えしてくれて、ありがとう。

毎日、学校から帰ったら「お帰りなさい」と、優しい声で玄関を開けてくれて、ありがとう。


毎日、セーラー服にアイロンをかけてくれて、ありがとう。


大学時代、授業で使う浴衣を縫ってくれて、ありがとう。


文学座への入所、支えてくれて、ありがとう。


東京での生活、励ましてくれて、ありがとう。


結婚や出産の頃には認知症も進み、私の事は、なかなか思い出して貰えなかったけれど、それでも曾孫になる息子達の名前を呼んでくれて、ありがとう。

その腕に抱いてくれて、ありがとう。

他にも、いっぱいのありがとう。


あまりにも急で、今は「ありがとう」としか言えません。

今、私の両隣で、おばあちゃんの血をひいている息子達が、小さな小さな寝息をたてています。

かつて、おばあちゃんと私とで寝ていた寝室で、安心しきった顔で寝ています。

里帰り出産で福岡に居たおかげで、息をひきとるおばあちゃんを見守る事が出来ました。


救急車で運ばれていく時、息子が救急車に大はしゃぎし「曾おばあちゃん、はやく帰ってきてね~♪」と、この家から笑顔で見送ったこと。


運ばれていく数10分前に、突然大きな声で「里奈ちゃーん!」と、何年か振りに名前を呼んでくれたこと。

全て、全て、忘れません。


90歳のおばあちゃん。

そのうちの約30年を一緒に過ごせて幸せでした。

夕暮れ時、必ずお日様に向かって手をあわせ「今日も一日照らしてくれてありがとう。おかげで今日も無事に一日を終えることが出来ます。里奈ちゃんもお日様に感謝しなさい」そう言って、実家のベランダからお日様を拝んでいた日々が懐かしいです。

いまだに、夕日に出会うと、どこであろうと、ひっそりと手をあわせてしまいます。

そんな夕暮れ時に、おばあちゃんは息をひきとっちゃったね。


桃が好きで、藤色が好きで、海が好きで…。


私が海を好きなのは、海を眺めて落ち着くのは、おばあちゃんの【血】かもしれない。

海と青空の似合うおばあちゃん。


よくドライブして、青空の下で一緒にお弁当を食べたね。


私は、おばあちゃんのにぎってくれた、シンプルな塩味の“白いおにぎり”が大好きでした。


あ~、もう、きりがないですね。

今日がお通夜で明日は告別式、息子達のお世話もあるから眠らなくてはいけないのに…眠れません。

そろそろ、せめて目だけでもつぶります。


最後に、私が【山田里奈】で居られたのは、そして居られるのは、おばあちゃんのおかげです。


これからも、真っ直ぐに生きます。


おばあちゃん、ありがとう。


あ、そうだ。

追伸。

今日の昼間、息子達を連れて、私が幼稚園生だった時に、おばあちゃんが毎日お迎えに来てくれてた《あの道》を教えたんだよ。

「曾おばあちゃんがね、お母さんが幼稚園生だった時にね、毎日お手手を繋いでここを歩いてくれてたんだよ」って。

息子は「???」な顔してたけど、何十年か振りに通った《あの道》は、あの頃のままだったよ。

まさか今日亡くなるなんて思いもせずに《あの道》を歩いてきたよ。

また、一緒に手を繋いでお散歩したかった。


大好きなおばあちゃんの手。

お別れの時、看護士さんから「手を握ってあげて下さい」と、繰り返し言われたけれど…握ってあげる事が出来なかったよ。

なんか、駄目だったよ。

おばあちゃん。


今は新しい家族、小さな息子達としっかり手を握っているから、それが終わったら、またいつの日にか、私の手が空っぽになったら、また、手を握らせてね…。


おやすみなさい。
コメント (3)
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