皆さま、こんばんは。
関東は、朝から冷たい雨…。
今日の関東は、北海道よりも気温が低いのだとか。
そんな冷たい雨の今日、文学座の八木昌子さんの告別式に参列してきました。
八木さんの御主人である林秀樹さんが「里奈、久しぶりだね、雨のなかありがとう」と、優しく微笑みながら声を掛けてくださり、涙を堪えるのに必死でした。
昨夜、マコさんとの思い出の品々を引っ張り出して思うのは、いつも、マコさんの側には、にこやかな林さんの姿があって、それがとても自然で温かくて素敵なご夫婦だな…と。
マコさんには、久保田万太郎の勉強会がきっかけで、とても御世話になりました。
私が、まだ劇団から徒歩圏内に住んでいた頃のこと。
準座員になったものの、アルバイト中心の生活で、日中、暇があれば劇団へ行き、今はなき、モリヤの2階の部屋で独り戯曲を読んだりVTRを観たり…まぁ、東京での生活をもてあましていたのです。
今思えば、家に独りで居るのが不安だったんですかね。。。。。よく、モリヤに住んでるの?と、聞かれていました。
そんな時、マコさんに「私達ね、畳の部屋(←これもモリヤ2階)で集まって久保田万太郎を読んでるのよ。里奈も、いらっしゃいよ。」と、声を掛けていただきました。
畳の部屋には、本山可久子さん、八木昌子さん、三木敏彦さん、林秀樹さん…大先輩がズラリ。
「発表とかするわけじゃないけど、読んでるのよ」
和物の芝居は愚か、着物の着方もイマイチな私でしたが、参加するようになりました。
毎週、マコさんから「火曜日は2時集合ね。」とかメールを頂いくようになり…平日の昼間の数時間、色々な作品を読みました。
台詞の「へぇ」の一言が、「違うのよね」…となり、何度繰り返しても、なかなかマコさんや可久子さんのようにはいかず(当たり前ですが)、「現代っ子ねぇ~」と笑われたりしながら、毎週、毎週、楽しい時間を過ごしました。
今、振り返ると、なんて贅沢な時間だったんでしょう。。。。。。
昨夜、戯曲を引っ張り出して、読み返してみたのですが、やっぱり難しい。
台本に鉛筆で、語尾の上げ下げやニュアンス…沢山書き込んであるんですが、全然。
マコさんや可久子さんが、口だてで教えて下さった【音】は、今でもしっかりハッキリ耳に残っているのに、その音は出せません。
けれど、耳にしっかり残っているって、これは凄い財産です。
あの頃は、そんな意識なく、ただ参加して、先輩方の台詞を聴いているのが心地よいという感じで(聴くと心地よい台詞なのに、自分が話すと全くそうならない)、やっぱり文学座って凄いな~と、まるで文学座の座員でないかのように存在してました。
でも、続けていくなかで、名古屋や大阪に呼んで頂き、朗読会という形で、お客様の前で読ませて頂くことも出来て、本当に幸せでした。
その時の、私の衣装は、マコさんから頂いた
向日葵の柄の浴衣。
その後も「里奈、せっかくだから着物着なさいよ。」と、帯に小物に…色々下さいました。
マコさんの御母様が、マコさんに贈られたという、素敵なお着物も下さいました(たとう紙に書かれた「昌子へ」という文字まで素敵です)。
この着物は、とても華やかで、マコさんとお話しして、その後、文学座の座・パーティーで着させて頂きました。写真も沢山残っています。
本公演でご一緒した際には、楽屋をジャージでウロウロする私に、「楽屋着持ってないの?!」と驚き、数日後「もう、この楽屋着、若い柄で、私、着ていないから、里奈にあげるわ」と、可愛らしい楽屋着を下さいました。
なんと、御主人である林さんの手作り。
私は、それ以来、全ての公演で、この楽屋着を着ています。
旅公演でも着て、汗と涙が染み込んで、ガシガシ洗濯して、着倒したので、かなり色褪せていますが、いまだに、これ以外の楽屋着は持っていないので、大のお気に入りです。
あと、NHKの『御宿かわせみ』に出演が決まった際には、文学座で和物についたことのない私に、マコさんご自身がテレビ出演の際に、使いやすいように工夫をされた襦袢やステテコを下さいました。
後日、衣装あわせの時に、NHKの衣装の方に驚かれたのを覚えています。
こうして書いていると、稽古着、楽屋着、お着物、小物…マコさんからは言葉だけでなく沢山の物を頂いていたことに驚きます。
休座をしている間、お目にかかったのは数えるほどでしたが、年賀状のやり取りは10年以上続いていて、毎年、添えられた短い文章の中になかに、マコさんの大きな優しさを感じでいました。
今日の告別式の法話に「告別式は、継承式です。」と、ありました。
聞いた瞬間、胸に刺さりました。
《継承》。
研究所の頃から、よく聞いていた《継承》という言葉。
文学座でいえば「女の一生」など、作品の継承、演技の継承。
《継承》は、されていくものではなく、していくものなんだな、と、今日、改めて強く思いました。
またひとつ、マコさんに教えて頂きました。
マコさん、ありがとうございます。
お別れは言いません。
これから先も、ふとした瞬間に、色々と教えてくださるであろうマコさん。
どうぞ、見守っていて下さい。
マコさんに頂いた全ての【音】【事】【物】
、この先もずっと大切にします。
2015.9.17.里奈
今日のブログは…うまく纏まらないまま書いてしまって言葉が溢れました。すみません…。皆さま、今夜は冷えます、どうぞ、あたたかくしてお休みください。
関東は、朝から冷たい雨…。
今日の関東は、北海道よりも気温が低いのだとか。
そんな冷たい雨の今日、文学座の八木昌子さんの告別式に参列してきました。
八木さんの御主人である林秀樹さんが「里奈、久しぶりだね、雨のなかありがとう」と、優しく微笑みながら声を掛けてくださり、涙を堪えるのに必死でした。
昨夜、マコさんとの思い出の品々を引っ張り出して思うのは、いつも、マコさんの側には、にこやかな林さんの姿があって、それがとても自然で温かくて素敵なご夫婦だな…と。
マコさんには、久保田万太郎の勉強会がきっかけで、とても御世話になりました。
私が、まだ劇団から徒歩圏内に住んでいた頃のこと。
準座員になったものの、アルバイト中心の生活で、日中、暇があれば劇団へ行き、今はなき、モリヤの2階の部屋で独り戯曲を読んだりVTRを観たり…まぁ、東京での生活をもてあましていたのです。
今思えば、家に独りで居るのが不安だったんですかね。。。。。よく、モリヤに住んでるの?と、聞かれていました。
そんな時、マコさんに「私達ね、畳の部屋(←これもモリヤ2階)で集まって久保田万太郎を読んでるのよ。里奈も、いらっしゃいよ。」と、声を掛けていただきました。
畳の部屋には、本山可久子さん、八木昌子さん、三木敏彦さん、林秀樹さん…大先輩がズラリ。
「発表とかするわけじゃないけど、読んでるのよ」
和物の芝居は愚か、着物の着方もイマイチな私でしたが、参加するようになりました。
毎週、マコさんから「火曜日は2時集合ね。」とかメールを頂いくようになり…平日の昼間の数時間、色々な作品を読みました。
台詞の「へぇ」の一言が、「違うのよね」…となり、何度繰り返しても、なかなかマコさんや可久子さんのようにはいかず(当たり前ですが)、「現代っ子ねぇ~」と笑われたりしながら、毎週、毎週、楽しい時間を過ごしました。
今、振り返ると、なんて贅沢な時間だったんでしょう。。。。。。
昨夜、戯曲を引っ張り出して、読み返してみたのですが、やっぱり難しい。
台本に鉛筆で、語尾の上げ下げやニュアンス…沢山書き込んであるんですが、全然。
マコさんや可久子さんが、口だてで教えて下さった【音】は、今でもしっかりハッキリ耳に残っているのに、その音は出せません。
けれど、耳にしっかり残っているって、これは凄い財産です。
あの頃は、そんな意識なく、ただ参加して、先輩方の台詞を聴いているのが心地よいという感じで(聴くと心地よい台詞なのに、自分が話すと全くそうならない)、やっぱり文学座って凄いな~と、まるで文学座の座員でないかのように存在してました。
でも、続けていくなかで、名古屋や大阪に呼んで頂き、朗読会という形で、お客様の前で読ませて頂くことも出来て、本当に幸せでした。
その時の、私の衣装は、マコさんから頂いた
向日葵の柄の浴衣。
その後も「里奈、せっかくだから着物着なさいよ。」と、帯に小物に…色々下さいました。
マコさんの御母様が、マコさんに贈られたという、素敵なお着物も下さいました(たとう紙に書かれた「昌子へ」という文字まで素敵です)。
この着物は、とても華やかで、マコさんとお話しして、その後、文学座の座・パーティーで着させて頂きました。写真も沢山残っています。
本公演でご一緒した際には、楽屋をジャージでウロウロする私に、「楽屋着持ってないの?!」と驚き、数日後「もう、この楽屋着、若い柄で、私、着ていないから、里奈にあげるわ」と、可愛らしい楽屋着を下さいました。
なんと、御主人である林さんの手作り。
私は、それ以来、全ての公演で、この楽屋着を着ています。
旅公演でも着て、汗と涙が染み込んで、ガシガシ洗濯して、着倒したので、かなり色褪せていますが、いまだに、これ以外の楽屋着は持っていないので、大のお気に入りです。
あと、NHKの『御宿かわせみ』に出演が決まった際には、文学座で和物についたことのない私に、マコさんご自身がテレビ出演の際に、使いやすいように工夫をされた襦袢やステテコを下さいました。
後日、衣装あわせの時に、NHKの衣装の方に驚かれたのを覚えています。
こうして書いていると、稽古着、楽屋着、お着物、小物…マコさんからは言葉だけでなく沢山の物を頂いていたことに驚きます。
休座をしている間、お目にかかったのは数えるほどでしたが、年賀状のやり取りは10年以上続いていて、毎年、添えられた短い文章の中になかに、マコさんの大きな優しさを感じでいました。
今日の告別式の法話に「告別式は、継承式です。」と、ありました。
聞いた瞬間、胸に刺さりました。
《継承》。
研究所の頃から、よく聞いていた《継承》という言葉。
文学座でいえば「女の一生」など、作品の継承、演技の継承。
《継承》は、されていくものではなく、していくものなんだな、と、今日、改めて強く思いました。
またひとつ、マコさんに教えて頂きました。
マコさん、ありがとうございます。
お別れは言いません。
これから先も、ふとした瞬間に、色々と教えてくださるであろうマコさん。
どうぞ、見守っていて下さい。
マコさんに頂いた全ての【音】【事】【物】
、この先もずっと大切にします。
2015.9.17.里奈
今日のブログは…うまく纏まらないまま書いてしまって言葉が溢れました。すみません…。皆さま、今夜は冷えます、どうぞ、あたたかくしてお休みください。