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「 梗 概 」 恋愛小説 白いYシャツと青いTシャツ 第16話 最終章

2012-02-07 16:25:17 | 梗概/白いYシャツと青いTシャツ
精神科医としては・・・哲也は彼の話を止めた。

精神科医だからといって、彼女は幸せになるかどうかはわからない。

彼女には、彼女らしい生活を送らせる環境を与えて欲しいと思いを伝えた。

哲也には心残りはあるが、妻のかおりのおかげで苦しむ事はなかったが、香織はそうではない。

香織は、哲也に2つのチャンスを与えたのだ。

哲也は、今でもあの占いからの事は忘れる事はなかった。


「共有できれば結ばれる」


占いでの、この言葉が、哲也の心に残されている。

20年という長い歳月が経ち、

哲也が求めるものと、再び出逢う事が出来た。

香織の言葉で、哲也のこれまでの人生を全て思い出していた。

この再会が、哲也と香織に、

再び強く、前へ前へと生きる力を与えていく。

カウンターで、となりに座る香織の左手には、包帯が巻かれていた。

あの頃は、包帯が巻かれている事はなかった。

この20年の間に、香織の左手には、

包帯を巻かなければならない事があったのだと哲也は思った。

香織には、嘘をついたこと、結婚してからの事を、すべて話した。

しかし、香織は、笑顔でこう言った。


「哲也は辛いと思うかもしれないでも家族の絆は大切にした方がいいよ、私には、これからの私の哲也と生きていくんだからね」


「すまなかったな。もう一度聞くが、こんな僕でかまわないのか?」


哲也は香織に、もう一度だけ確認した。

香織は、しばらくの間、哲也を抱きかかえた、

香織は、哲也への思いを正直に態度で示したのだ。


「哲也ー占い当ったでしょ。やっぱり、哲也は青が好きなんだね」


香織は、哲也の耳元でささやき、哲也はこう言った。


「いつもと同じだな。お前は、白が好きなんだな」


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「 梗 概 」 恋愛小説 白いYシャツと青いTシャツ 第15話

2012-02-07 14:22:46 | 梗概/白いYシャツと青いTシャツ

哲也は、正直な生き方をしてはいなかった。

でも、正直な生き方をしていきたいと心のどこかで思っていた。

都会での生活には、いつも香織の面影を追い求めていた。

それは、自分で作り出してしまった、苦悩の日々である。

哲也は、結婚という形で、少しずつその苦しみから逃れていった。

妻は、哲也の苦しみを知り、その苦しみを少しずつ安らかにしていった。

それは、いつかもしかしたら、

離婚ということになることも考えていたのだろう。

そう考えることで、その思いを、妻自身の不安、苦しみとして、

哲也の思いを背負っていたのかもしれない。

いつも都会の空を見上げる、哲也と妻のかおりがいた。

妻のかおりは日に日に強くなっていく。

哲也にとっても、幸せな生活をおくることになる。

妻は晴れた日には、青い空だねと言っているが、

哲也には都会の空は灰色にしか見えなかった。

確かに、青い空、白い雲がゆっくりと動いていく。

しかし、空と雲は決して混ざりあうことは、

哲也には思えなかった。

時には、

都会を離れ、家族で、空気の澄んだ場所へ旅行する事もあった。

青と白が、はっきりと分かれている空を哲也は見上げると、

香織の事を思い出す。

香織に婚約者ができた頃、

なぜ、哲也と一緒に暮らそうとしたのだろうか。

すれ違う数ヶ月の生活の中で、何を考えていたのだろうか。

哲也は婚約者の彼と二人で会っていた。

彼女は、空を見上げるのが好きで、

雨の日を嫌がり、睡眠薬で、自殺未遂を繰り返していたという。

彼は、香織の全てを受け入れたいと思い、プロポーズをした。

そして、香織の全ての要求を結婚式までに、はたさせたいというのだ。


「香織の心を満たすのは君だったんだ」

彼は哲也に言った。


香織は、満たされぬ日々、

満たされぬ心をたった一人で苦しんでいたのだと思った。

婚約者の彼の職業は、精神科医であった。


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「 梗 概 」 恋愛小説 白いYシャツと青いTシャツ 第14話

2012-02-06 15:39:28 | 梗概/白いYシャツと青いTシャツ

面接はなく、名刺に書かれた名前の人からの紹介で、

哲也を探したというのだ。

名刺に書かれた名前をみると、全く知らない人物であった。

あるプロダクションのマネージャーで、

ある企業で適した人財を探していたところ、

哲也の名前があがったというのだ。

哲也は、この際、どうでも良いかと思い、

社会の流れにのり、2日後からの出社となった。

会社に出社して哲也は驚いたことがあった。

高校生の時、デザイン事務所でアルバイトしていた時の人達がいたのだ。


「やあ、元気してた?」

「また、一緒に仕事が出来て嬉しいよ」


哲也に、笑顔で声をかけてくる。


「どうしてここに、みんながいるんですか?」


哲也は、不思議に思いきいてみた。

当時の事務所は、ある企業と合併し、新会社設立になったという。


「お前さんをしたっていた人がいてね、探すのに苦労してたらしいよ」

「そうそう、もう一緒に仕事は出来なくなったけどね」


哲也はいったい誰が、自分の事を探してたのだろうと思った。

「相変わらずだね、その格好は、昔と変わらないんだな。」

初日から、いつも通りのスタイルで、そう、

青色のシャツにジーンズ、スニーカーの姿である。

出社すると、そのスタイルに対しては何も触れられなく、

そこでは、広告、企画、宣伝、出版などの仕事で、

まぁーそれなりにこなしていった。

一年が過ぎると、もう一人前にみられ、

企画、撮影、プレゼンなどの仕事をしていた。

そんな時に、香織に再会した。

哲也がこの会社に勤めている事を知っていたのだ。

何かと色々あったが、哲也がここにいるのは、

香織が所属するプロダクションの、

マネージャーの紹介であったということである。

日程表をみると、その日は撮影の仕事で、

香織の所属するプロダクションのモデルの撮影であった。


哲也は目を疑った。

目の前にいるのあの香織の姿である。

ただ、呆然としていたところ、マネージャーから声をかけられた。

あの彼女とは、どういう関係かとね。

哲也は答えることができなかった。


「あの時と一緒だ」

アクセサリー店のバイトで、香織のオーダーで、

やってみたかった、アクセサリ制作、香織はチャンスをくれた。


今回の就職は、

香織が、またチャンスを与えてくれたのだと思った。


数ヵ月後、香織は、プロダクションを辞め、結婚したという。

哲也は、香織と占い師に会い、朝まで一緒だった事を思い出す。

一夜を歩き回り、二人で陽の出を見た後の帰りの電車の中。

哲也は、あの時のように幸せを願い、祈った。


その後の哲也は妻子を持った。

妻は、哲也の思い出の半分を共有してくれた。

もし、香織と出逢っていなければ、

こんな幸せの生活はなかったと思う哲也だった。




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「 梗 概 」 恋愛小説 白いYシャツと青いTシャツ 第13話

2012-02-06 11:55:39 | 梗概/白いYシャツと青いTシャツ

その後、しばらく香織と逢う事も電話もなく、

忙しい日々が過ぎ、哲也は専門学校を卒業した。


いくつかの企業からの内定はもらったが、

しばらくの間、就職もせず、アルバイトで生活をしていた。

デザインとは全く関係のないアルバイト、

あの店へ行けばきっと、雇ってもらえたと思うが、

アクセサリーの店でのアルバイトをする気持ちはなかった。

東京の自宅近くでの掛け持ちバイトで何とか生活はできた。


どうしても絵が描けなくて、白いキャンパスに向かっても、手が動かない。

ありきたりの募集、絵葉書などが精一杯の絵だった。

お金にはならない、掃除機や毛玉とり、コップ、皿など日用品ばかりだ。

漫画を描いては、公募し一度も本に載せるまでにはならず、

香織の事も忘れかけていた。

哲也は、親からは「就職は?」とうるさく言われる。

香織と逢わなくなった哲也には、何もなくなった、

哲也自身の、全てを失ったような、そんな気がした。

以前のバイトで少しの貯えはあったが、

酒、パチンコ、競馬、競輪に消えていった。


家賃も払えず、電話、ガスも止められた。

新聞の勧誘でヤクザ関係者とも知り合いになった。


「いつでも事務所に来いよ」


ヤクザ関係者に声をかけられ、事務所の前までは行ったが、

事務所へは入らず、もうやりきれない状況になっていた。


そんな時、学校からの手紙が届いた。

ある企業が、哲也を探してるとの事だった。

もうこの際、勤め人にでも出るかと哲也は思い、

指定どおりにその場所へ向かったが、様子がなんか変な感じがした。

二人のスーツ姿をした人がいた。

履歴書を渡すとすぐにバックの中へ入れ、何か書類を出してきた。


それは、1枚の契約書であった。


「どうして僕を探してたんですか?」


哲也は、一枚の名刺を出された。


「面接は、ないんですか?」


哲也は、こんな不思議な事があっていいのかと思った。



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「 梗 概 」 恋愛小説 白いYシャツと青いTシャツ 第12話

2012-02-06 09:02:18 | 梗概/白いYシャツと青いTシャツ

朝日が昇りはじめたとき、二人は神宮前でしゃがんでいた。

陽が昇るのを哲也と香織は見ながら、

手をつないだまま、香織は笑いながら左手で目を拭いていた。

哲也は、いつもどおり何も考えず、ボーットしながらすわっていた。

香織は何かを考えながら、日が昇るのをみていたと思う。

哲也はなさけないくらい、言葉に詰まってた。

香織は、下向きになり、じっと道路をみていた。

数時間、この状態が続いた。

お互いに会話などなくなった。

スナックでの状態と一緒だと思った。

ただ、違う事は、香織は哲也の手を握っていたことだ。

軽く握られていた手を哲也は強く握りしめた。

香織は顔を上げて哲也を見てる。


「これでいいだろ」


哲也は声をかけると、香織は深い深呼吸を何度かして、寄り添ってきた。


「私達ってなんなんだろうね、知り逢って、これからどうなるんだろう」


香織のこの言葉で、哲也は、いたためられないものを感じた。

お互い立ち上がり、ここにいたら前へ進めないよと哲也は言った。

彼女に見送られながら電車に乗った。

哲也は、原宿駅から電車に乗って家に向かった。

電車の中で哲也は涙が、抑えきれなかった。


「僕は香織は、いったい何なんだ」


哲也は、そう思いながら、

都会の空を見上げていると、夢や希望ばかりが、一人よがり。


香織に夢を与えてくれるが、はかない夢になるかもしれない。

もし、神様が本当にいるのなら、香織を幸せにして欲しい。

相手が僕でなくてもいい、別の誰でもいいから、

香織に幸せを感じさせて欲しい。

夢など希望などなくてもいいから、ただ平凡でもいい、

香織の心を満たして欲しい。

夢に惑わされて一人にしないで欲しい。

そう願わずに入られなかった。


家に戻った哲也は、そのまま、眠る事ができなかった。

その日の夜遅くに、香織からの電話があった。


「仕事みつかったよ」


その後、哲也も専門学校の後期に入り、何かと忙しくなり、

哲也と香織は、しばらく逢わなくなった。

そして、電話の鳴る音もなくなった。




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